事業所名

帝國製薬株式会社

所在地

香川県東かがわ市

事業内容

医薬品製剤製造業、生薬・漢方製剤製造業

従業員数

611名

うち障害者数

11名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1
肢体不自由	5
内部障害	1
知的障害	4
精神障害	0

目次

1. 取り組みの背景
2. 取り組み事例
3. 全体としての評価

事業所外観

ホームページアドレス

http://www.teikoku.co.jp/

1． 取り組みの背景

パップ剤の生産量世界一を誇る当事業所は、1848年の創業以来、160年の歴史を誇る。当事業所は規模を大きくすることよりも、ユニークな技術をもつオンリーワン企業となることを目指し、香川県東かがわ市から世界へその技術力を誇りつつも、地域への貢献を主眼においた経営を行っている。ちなみに、パップ剤の生産能力は、年間約18,000トン、10cm×14cmのサイズで約12億枚、面積にすると甲子園球場の420倍となる。

障害者雇用の歴史は長く、法定雇用率を達成するためだけに障害者を雇用するのではなく、幅広く能力を生かすことのでききる職場を提供したいと考え、全社的な取り組みを継続している。

村山社長

2． 取り組み事例

a．地域にある企業として

• 当事業所は世界初の温感パップ剤・経皮吸収型消炎鎮痛パップ剤の開発に成功するなど、創業以来、消炎鎮痛パップ剤のパイオニアとして、業界をリードしている。また、製品の80%以上が医療機関向けで、積極的に国内外の企業と協力して研究・開発を行っている。
• しかし、当地香川県で創業した企業として、地域貢献は企業におけるCSRとして常に意識している。障害者雇用もその一環であり、古くから障害者を雇用し、活躍できる場の提供を行ってきた。
• 採用経路は幅広く、ハローワークや香川障害者職業センター、さらには養護学校からの卒業生の紹介など、門戸を限定することなく、事業所サイドからも障害者雇用に対して前向きに取り組んでいる。

b．職場配置と教育指導

• 障害というハンディキャップを背負っている以上、他の従業員と全く同等の職業能力を発揮することは難しいと考えている。しかし、それを理由として活躍できる場を限定するようなことはせず、持てる力を発揮できる場所を当人・事業所双方が協力して探し、見つけ出す努力を怠らないようにしている。
• 工場内作業においては危険な箇所などは限定されており、事業所の人事担当者と現場担当者が十分話し合った上で、職場配置を決定している。
• 教育指導についてはOJTを中心に、気長に時間をかけて行っている。当初、50%程度の力しか発揮できていなくても、それを60%に引き上げていくことができるよう、本人がギブ・アップしない限り、長い目で見て教育指導を続けている。
• 職場実習やトライアル雇用も積極的に受け入れ、障害者が少しでも事業所や職務になじむことができるよう工夫している。なお、実習期間中やトライアル雇用期間中は養護学校の先生や職業訓練センターの担当者などが付き添ってくれており、積極的支援をしてくれている。
• ジョブコーチの派遣依頼を行うこともある。事業所単独では解決が難しかった問題も、ジョブコーチは普段から幅広い障害者を見守ってきている視点から解決策を模索してくれ、効率の改善に役立った事例もある。

c．職場内での人間関係

• 障害者の担当している職務は、工場内のラインにおける作業、書類の作成等の間接業務、製品運搬、清掃・除草などの広範にわたっている。そのため、コミュニケーションはそれほど頻繁ではない。
• ただ、各担当業務において障害者と他の従業員の間のコミュニケーションは密であり、管理者の監督下で職務に励んでいる。
• 特に、若手の障害者は、周囲の年配従業員が可愛がっていることもあり、工場内での人間関係は良好である。
• 三本松の本社にはゆったりとスペースをとった食堂も設置されており、交流しながら昼食時間などを楽しんでいる。
• 清掃・除草作業は外回りが中心となっており、危険回避のため2人をペアとして作業に当たらせている。雨の日なども積極的に作業に取り組み、2人いることがお互い良い刺激となって、作業効率の面を考えてもプラスとなっている。
• 職場の人間関係は就業時間だけにとどまらず、各種レクリエーションにも生かされている。年1回実施されている社員旅行にも8割方が参加しており、周囲の従業員が積極的に声掛けするなどして参加を促している。また、社員旅行に行った先でも皆が一緒になって楽しんでいる。

d．健康面への配慮

• 障害のある従業員についても、他の従業員と同様な健康診断を受診させ、日常より体調などには注意している。
• 障害の有無を問わず、個人個人の体調に十分注意を払い、不慮の事故や病気等にかかることなどないよう配慮している。
• 健康面やこころのケアについては、現場だけに任せることはせず、人事担当者も時間を見ては働く現場へ出向き、声をかけたり話を聞いたりしながら、抱えている問題や悩みなどを少しでも発掘し、解決していくことができるよう努力している。

工場入口スロープを設けている

工場内でのライン作業
製品梱包のための段ボール箱組立

清掃・除草作業
屋外での作業が中心になるため、2人でチームを組んで共同作業を行う

社員食堂
明るくゆったりとした食堂で、社員同士のコミュニケーションが図られる

3．全体としての評価

当事業所は、知的障害者においては採用以前の段階から、職場見学や実習などを通じて、障害者本人の適性を見極めている。障害者自身にも職場を体験してもらうことで、スムーズに職場に溶け込めるように配慮している。養護学校や障害者施設との連携も密に保つことで、就職して以降でも問題などが発生したときには素早く問題解決を図ることができるようにしている。また、こういった密な関係から新規採用時により当事業所の職務に適した人材を紹介してもらえるという利点もある。

障害者雇用に関しては、急ぐことなく長い目で見ていくことが必要であると強く感じている。じっくりと教育訓練を行うことで、障害がハンディキャップとなることなく、健常者と同等に活躍することのできる場を提供することができる。社会貢献の意味からも、もっと障害者を雇用していきたいと考えてはいるが、無理をしてバランスを崩してしまってはいけないと考えている。あくまでも自然体での雇用を心がけたい。ただ、将来的に素地が固まったら特例子会社を設立するなど、障害者雇用に対して前向きな姿勢は堅持していきたい。

職場全体において高齢化も進展している。障害者・高齢者ともに十分に活躍し続けてもらえるよう、ジョブ・プロセスの見直しなどを行わなければならない時期にさしかかってきていると感じる。若い層をどんどん活用していくとともに、障害者・高齢者への仕事の確保についても真剣に取り組んでいきたい。