事業所名

近江鍛工株式会社長崎工場

所在地

長崎県松浦市

事業内容

手のひらサイズから5Mまで、産業機械、建設車両、軸受け部品などのリング物の鍛造品製造

従業員数

63名

うち障害者数

1名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	品質保証部担当（データ管理、図面管理、ISO諸関係担当  その他）
内部障害	0
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の現状
3. 雇用のための取り組み
4. 環境、社会貢献への取り組み

事業所外観

1． 事業所の概要

当工場の創業は平成6年長崎県と松浦市による企業誘致にてスタートし、14年を迎え従業員も70名に届くまでになった。長崎県内では類を見ない「リング鍛造」を主たる業務としており、具体的には、ベアリング部品、産業機械部品、建設機械部品、自動車部品、船舶部品等の各メーカーに50年を超える経験と知識の積み重ねにより多くの品物を納めている。

その中でも特にベアリング部品については、高い技術を必要とする新幹線向けの軸受けを鍛造から旋削加工まで一貫して行い70%のシェアを有している。新幹線の足もとで高速走行を支えている部品はこの工場より生まれたものである。

また、企業誘致ということで従業員は100%地元採用者であり、松浦、平戸、江迎、鹿町等の近隣はもとより、佐世保、伊万里からも通っていて、皆人間性に優れた従業員ばかりでとてもやさしいが、いざ仕事となると厳しい条件のなかで確実に遂行できる職人集団である。

ISO14001、9001も早くから取り組み「環境優先の理念をもって、自然環境と社会と人に優しい事業活動と環境作りに努め、環境保全の充実による豊かな企業を目指します」を会社理念として日々取り組んでいる。これからは、ただ儲けるだけの企業ではなく、どれだけ環境にやさしい事業活動であるかが問われる時代であると考え、今後も活動を続けていく。

リング鍛造

旋削加工

2． 障害者雇用の現状

本年より脊髄損傷により車いす利用となった従業員を、現場担当から事務職へと配置転換した。もともと現場の職長であった彼はとてもスキルが高いうえに、勘所もよくパソコンも早く覚えた。その後の進捗も早かったので、品証部の担当としてデータ管理、図面管理、各種資料管理を頼んだ。努力家でありポジティブな彼はすぐに対応してくれ、半年たった今は無くてはならない戦力となった。人は必要とされることがその人の能力を引き出し、答えることができて喜びを覚えるものなのだと感じた。最近では、車いすバスケットにも参加し交流を深め仲間もふえて、大変であろうが欠かさず通っている。また、週に一度リハビリにも通院し改善に向けての努力は怠らない姿勢が他の従業員の手本にもなっている。

事務所にて

佐世保WBCバスケットチームの皆さんと。

3． 雇用のための取り組み

まず、環境整備が整っていなかったので、事務所のバリアフリー化とトイレの改装、専用車庫の整備を、長崎県雇用支援協会の担当者の協力と助成金を活用して実現できた。最初は、リハビリの先生に来てもらい、本人の状況を分析し計画を立てたのだが、昨今の業界は我々が考えるより先生の指示は厳しく、必要以上の設備は本人のためにならない「あまやかすな」が口癖の先生で今のリハビリの考え方を垣間見たようであった。

事務所内のレイアウトも変更し、車いすでも机の間をすりぬけることができるよう整理整頓し、不必要なものは処分し応接室も別に移動した。これにより事務所内も広くつかえて、皆に好評であった。専用のデスクも設けて、車いすのままで事務仕事を可能とした。また、もともと現場担当であったために工場に行くことを想定し、現場専用の車いすも購入し当社従業員がハザードランプも設置して工場内の移動でも目立つようにした。

車の車庫も従業員通路を一部ゆずってもらい、確保できたし、スロープも従業員と同じルート上に設置することで、とかく閉鎖的になるところを回避できた。精神衛生上最も望ましいことだと考える。これも、従業員の協力なしではできなかった事であると考えている。

専用デスク

専用トイレ

専用車庫（屋根あり）

バリアフリースロープ

現場への出入り口

4． 環境、社会貢献への取り組み

（1）ボランティア活動

地元との共存共栄を方針の一つにかかげ、地域貢献を実施している。年2回の清掃活動（草刈）については積極的に参加し、しかも極力若手従業員を参加させ、地域住民とのコミュニケーションに努めている。いっしょに汗をかくことにより、お互いの心がかようことができれば、何よりの躾になると考えている。日頃から利用している道路の清掃も自分たちの手できれいにしていく参加型の活動が、従業員一人一人の意識向上につながる。

（2）リサイクル活動の推進について

製品のほとんどが木のパレットを使用した陸上輸送に依存していて、返却のないワンウェイであるために多くの数を必要としている。今の時代購入したものでは採算が合わないので、その多数を各協力会社に依頼し、廃却予定の物などを無償にて譲受け再利用している。その数は月当たり700枚にもおよび資源の枯渇の防止に努めている。また、破損して使用できなくなった物、残材等は近隣の障害者施設で加工品を作るための燃料として使用してもらっている。そこでは約34名の方が在籍してひじきの加工品やシフォンケーキなどを手作りし、就労支援の一環として作業工賃を得ている。このことで、お互いのメリットを共有することで還元型社会を構成している。

シフォンケーキ
チョコ、バナナ、抹茶、紅茶、
tec  全て手作り！

ひじきの加工のために燃料となる

（3）自治体、地元小中学校への取り組み

地元の青少年の健全育成のためここ数年寄付を行っている。市立図書館へ図書購入費用として、あるいは工場の在籍する地域の中学校区にと、少しでもお役に立てることができれば企業としての役割の一つを果たすことができると考えている。また、自主規制として7時から8時までの間、児童の通学路への大型車の通行を規制している。国道から県道を経て工場までのほんの数kmであるが、歩道の確保がままならない事情を鑑み、当社としてできることは、鋼材等の大型車を規制することで、子どもたちの安全に少しでも寄与できればよいと考えている。勿論各運送会社様のご協力が不可欠であるが、皆紳士的にご協力してもらっている。

われわれを取り巻く環境は益々厳しさをますと思うが、これからも社会に貢献できる企業でありつづけたい。

美化運動のひとつの植樹

安全運転励行の看板