事業所名

株式会社イシカリデリカ

所在地

北海道札幌市

事業内容

食料品製造業

従業員数

163名

うち障害者数

2名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	2	ピッキング、容器洗浄
精神障害	0

目次

1. 事業所概要
2. 障害者雇用の経緯、背景
3. 障害者の従事業務、職場配置
4. 取り組みの内容
5. 取り組みの効果、障害者雇用のメリット

事業所外観

1. 事業所概要

キユーピー株式会社の100%出資のグループ企業として平成10年8月設立された。主に弁当用の総菜やサラダを生産し、そのほとんどを親会社であるデリア食品株式会社に出荷している。

設立の経緯は、キユーピー株式会社の関連会社が北海道から撤退することとなり、同社では外部企業に生産を委託することを検討したが、品質管理が困難であることから、キユーピーが直接、グループ会社を設立することとなった。

経営理念としては、「安心・安全な食品」「地域に貢献」「先端技術の開発」が挙げられる。

従業員数は現在163名で、うち、社員23名、パート140名である。

2. 障害者雇用の経緯、背景

障害者を採用しようとした最も大きなきっかけはキユーピー株式会社からのコンプライアンス（法令順守）の要請であった。それまでもハローワークから依頼があり、当社としても障害者を雇用しようと考えていたが、ノウハウも全くなく、どのような業務を担当してもらうことができるのか、職場にうまく適応できるのかなどについては全くわからなかった。

しかし、上記のように要請もあり、障害者を採用することを決心したので、どのような仕事をしてもらえばよいか、本当に採用してうまくやっていけるのかどうかについて実際の取組事例を見て参考にするため、すでに、障害者を5～6名採用している市内の同業他社を訪問した。「百聞は一見に如かず」というが、この訪問により「当社でもできそうかなあ」と思った。

その後、障害者が従事できる仕事の内容を社内で検討し、ハローワークの職員の方とも相談しながら平成19年4月に当社としては初めて障害者を採用した。この障害者の雇用が順調であったことから、平成20年4月にさらに1名を採用した。

3. 障害者の従事業務、職場配置

これまで雇用した障害者は2人（以下、「Aさん」「Bさん」という）であり、現在も当社で働いている。

○Aさんについて

30歳代の男性で、軽度の知的障害がある。平成19年4月に採用した。健常者とあまり変わりないが、一度にたくさんの指示をするとパニックになってしまうことがある。

主な業務内容はピッキング（配送店別に商品を仕分けること）で6名のうちの1名として働いている。基本的には健常者と同じ扱いをするようにしているが、あまり新しい業務をさせないようにしている。

○Bさんについて

30歳代の男性、軽度の知的障害、言語障害がある。平成20年4月に採用した。言葉を発するのがやや不自由で、うまく話すことができない。

主な業務内容は、機械を操作し容器の洗浄を行うことである。危険がないような比較的簡単な仕事である。また、新しい仕事を覚えるのが難しいので、採用後は現在までほぼ同じような仕事をしてもらっている。

ピッキング作業風景

洗浄作業

4. 取り組みの内容

当社は障害者を採用するのは初めてであり、障害者の雇用管理等については全くノウハウがなかったので、うまくやっていけるかどうか大変不安であった。このため、北海道障害者職業センターのジョブコーチによる支援をお願いしたが、これがスムーズな障害者の受け入れに関して大変大きな効果があったと思っている。特に、採用直後の1週間程度はジョブコーチの方がつきっきりで指導していただいたので大変助かった。

これは、本人にとっても大きなプラスであったが、それ以上に我々指導する側にとっても大きなプラスであり、また、一緒に業務を行う社員にとっても障害者に対する理解が進んだと思う。ジョブコーチはその後、間隔を空けて来てもらうことになり、現在は週に1回から月に数回程度来てもらっている。

当社の取組みとしては、基本的には健常者と同じ扱いをすることにしており、特段、設備などを工夫していることはない。

しかし、細かい点では様々な配慮をしている。

例えば、一度にたくさん指示をするとパニックになるA氏に対しては、「せかさない」ということや、言葉を発するのが少し不自由なB氏に対しては「じっくりと話を聞く」ということを社員が心がけている。また、聞く方も慣れてくれば話していることはわかるが、早とちりをしないようこちらから再確認をするようにしている。

また、何事においても再確認するなどのきめ細かな配慮をしている。実例としては、各個人の休日など勤務体制については社内に一覧表にして掲示しているが、一度、本人が間違った場合があったので、本人には確認のため、個人用のペーパーを手渡しするなどの工夫をしている。このような工夫はこれまでの失敗などから少しずつ学んだものである。

さらには、新しい仕事を覚えるのはなかなか難しいのでできるだけ同じ機械を操作し、同じような仕事をしてもらっている。

また、障害者雇用のためではないが、社内に目安箱を設置し、社員は不満や要望があればどんなことでも意見を言うことができるような風通しのよい職場風土を作りあげているつもりである。こういう地道な取組みが健常者と障害者という区別なく気持ち良く働く土壌になっているのではないかと思う。

通常のシフト表

工夫したシフト表

5. 取り組みの効果、障害者雇用のメリット

効果としては、大きなメリットもデメリットも感じていないのが正直な感想である。しかし、もともと明るい社風であり、役職者、正社員、パート社員も一体となって仕事や様々な社内行事を実施している。したがって、食事や休憩も障害者と健常者が一緒にとっており、採用形態や仕事の内容、年齢、障害の有無などによる上下関係もないということが当社の大きな特徴である。こうした中で、障害者を雇用することにより、強いていえば、社内の一体感がより強くなったような気がする。

また、障害者を採用するに当たって、一つ一つ業務内容を見直したり、従業員に対してよりきめ細かな配慮や工夫ができるようになったというメリットがあったかもしれない。