事業所名

階上キユーピー株式会社

所在地

青森県三戸郡

事業内容

キユーピーマヨネーズの製造ではなく地元の食材を生かした主な商品は冷凍食品で350種類の商品を製造

従業員数

373名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	3	食品製造工
内部障害	0
知的障害	4	食品製造工
精神障害	0

目次

1. 事業所概要
2. 障害者雇用に至った経緯、背景
3. 取り組みの内容
4. 今後の課題

事業所外観

1. 事業所概要

（1）設立

（2）事業内容

キユーピーといえばマヨネーズを思い出す人が多いと思うが、ここ階上キユーピーでは、マヨネーズは製造していない。冷凍食品・総菜・食肉製品・ソース類等の食品製造を行っている。今回の取材に対応してくれたのは事務課長の古沢さんである。階上キユーピーのコンセプトは地元の食材を活かした食品を作ることである。親会社のキユーピーから原材料の提供を受け、食品の製造を委託されている。

主な商品は、冷凍食品ではパスタソース・カレーソース・中華ソース・目玉焼き（ハンバーガー用）など、レトルト調理食品ではカルボナーラ・釜飯の素・ごまだれなど、総菜ではポテトサラダ・ごぼうサラダ・具沢山タルタルソース・山芋サラダ・味付けトロロなど、食肉製品では照り焼きチキンステーキ・スコッチエッグ・鶏そぼろ・唐揚げなど、その他の商品としてピザ用の固形マヨネーズ・クリーミーヨークなどがある。年間約15,000tの生産量で350種類の商品を製造している。商品はすべて業務用として生産され、キユーピー名で販売されている。販売先は主にコンビニエンスストア、ホテル、学校給食センター等である。

食品製造のため衛生管理には充分配慮している。

また、従業員の福利厚生のために別棟で建物が準備されている。

従業員福利厚生棟

2. 障害者雇用に至った経緯、背景

最初の障害者雇用は、特に意識して雇用したわけではなく、一般採用した人が障害者手帳を持っていることが後で分かったという。知的障害者の受け入れのきっかけになったのは2006年に養護学校の生徒を現場実習で引き受けたことからである。その頃からキユーピーグループ全体で障害者雇用率を引き上げていこうという取り組みが始まった。2006年に現場実習をした生徒2名と既卒者1名が2007年4月に雇用された。知的障害者が雇用されたことで、この会社では障害者を受け入れてくれることが分かり、身体障害の手帳を持っている人が名乗り出るようになった。2007年にも養護学校の生徒を現場実習で受け入れ、本人の頑張りもあり2008年4月に雇用された。

実際に知的障害者を雇用してみて、古沢さんは一緒に働いている従業員の雰囲気が優しくなったような気がすると話していた。また、普段自分たちが忘れかけている基本的なあいさつや返事を教えられることがあると話されていた。

割卵の検品をするAさん

3. 取り組みの内容

（1）雇用時の状況

生徒の特性にあった場所で現場実習を積んでおり、さらに学校の先生に実際に現場に入って指導してもらっていたので、特に改めて指導はしなかった。障害があるからといって特別視しないで、他の新人社員と同様の研修も実施している。

ただ、仕事面では問題はなかったが、話し好きの知的障害のBさんが、周りの従業員にプライベートのことまで聞いたりして、雰囲気が悪くなり従業員がストレスを感じるようになってしまった。そこで身体作業の部署に配置換えをする。本人に合っていたようで仕事中は無駄な話もなくなった。本人の性格をいち早く察知して対応してくれたことがいい結果に繋がったと思われる。課題をそのままにしておかないで、上司に報告し対応を委ねる職場環境は誰にとっても働きやすい職場だと感じた。

身体作業に変更したBさん（右）

（2）現在の業務状況

割卵の検品、冷凍食品の製造、長芋の加工、製品の運搬等彼らの特性にあった部署に配置しているので、特に仕事上では問題はない。同じ部署で仕事内容を変えたり、できることを少しずつ増やしている。特性に配慮した配置によって、他の従業員と一緒に働く職場を実現している。

現在は同じ部署で固定しているが、将来的には本人の適性や能力によって部署が変わる可能性は充分考えられるということであった。

トロロ担当のCさん（左）

（3）雇用してみて

障害のある従業員が頑張って仕事をしていることにより、周りで働いている従業員も彼らに優しく接するようになり、職場全体が優しい雰囲気になった。また、彼らは挨拶がすばらしいなど、他の従業員も見習って欲しいと話していた。

現在、5つの部署の中で4つの部署に障害のある従業員が雇用されているが、あと1つの部署に特性や適性が合う人がいれば雇用を考えていきたいとのこと。

4. 今後の課題

地元の食材（野菜、鶏肉・卵など）を使うことを会社のコンセプトにしているので、農産物の生産地に近い所に会社があり交通の便があまりよくない。自力で通勤することが困難な人もいる。現在はグループホームを運営しているサポートセンター虹の送迎を利用しているが、今後どうなるか心配である。運転免許の取得も一つの選択肢であるが、自動車の維持費等を考えると難しい問題でもある。また、長く勤めたとき彼らの生活（ずっとグループホームなのか、一人暮らしなのか、結婚するのか）がどうなっていくのか心配だとのこと。グループホームを出たときの支援のあり方について、会社と関係機関を交えた情報交換が必要だと感じた。職場定着を図る上でも極力仕事以外では会社に負担をかけないようにして行かなければならない。