事業所名

レンゴー株式会社小山工場

所在地

栃木県小山市

事業内容

段ボールシート、段ボールケースの製造・販売

従業員数

114名

うち障害者数

1名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	0
精神障害	1	一般事務

目次

1. 経営方針、組織構成、障害者雇用の理念
2. 障害者雇用の取り組みの経緯、背景
3. 障害者への配慮と仕事内容
4. さいごに（事業所の取り組み状況に対する意見、評価など）

事業所外観

1. 経営方針、組織構成、障害者雇用の理念

レンゴー株式会社は段ボール業界トップメーカーであり、この『段ボール』と言う言葉は、わが社の創業者である井上貞治郎が命名した言葉なのである。

創業以来の脈々と流れる経営哲学を紹介する。

井上は艱難辛苦の経験の中から、独自の経営哲学を会得した。

それは、『きんとま』というものである。

すなわち『きんとま』とは、gold and timing、金鉄の意志・金・真・間の四つを握ったら死んでも離すなという商売の鉄則であり、タイミング・チャンス・商機を逃さず、人・モノ・金と心を大切に経営せよと説く貞治郎翁の造語である。

現代風にいえば、『お金と強い意志を持ち、人・時間・ものを大切にしながら、真心をこめて事業経営をしなければならない』ということになるだろう。

レンゴーは1909年（明治42年）に日本で初めて『段ボール』を世に出し、2009年4月に創業100周年を迎える。

2. 障害者雇用の取り組みの経緯、背景

障害者雇用に対するレンゴー全社での取り組みを進める中で、当小山工場は2007年秋頃から積極的な取り組みを開始した。しかしながら、当小山工場は1980年建設ということもあり、いわゆるバリアフリー対応の設備要件を満たしておらず、今までも何人かの応募がありながら1人の採用実績も残せなかった。設備的な制約がある中での取り組み開始としたが、対象者を事務職採用で軽度の身体障害者とした。

まず地元の小山市役所訪問からスタートし、その後は、ハローワーク各所（小山・筑西・栃木・宇都宮）を度々訪問しながら、当社の姿勢をアピールした。

ハローワークでの対応は様々だったが、熱心に紹介する担当者にすがるような思いで訪問を重ねた。その後、ハローワークから数人の紹介を受けたが、職業適性検査などの結果、残念ながら事務職としての採用には至らなかった。

そして昨年春頃から、希望している軽度の身体障害者の雇用は無理ではないかと感じるようになった。その一方では、世の中には精神障害者が大変に多く、わが社全社の障害者雇用の取り組みにおいて、他工場で精神障害者の雇用にも取り組んでいることを知った。

以降、障害者雇用の対象を精神障害者にも広げると同時に、障害者雇用に対する認識の浅さを痛感し、各種障害者支援団体のパンフレットや紹介記事を並行して学習した。しかし、当初の軽度の身体障害者雇用が出来るのではないかとの期待感が離れず、その後もハローワークからの紹介も続けてきた。昨年10月に初めて障害者就職合同面接会（宇都宮・小山）に参加し、数人の応募（軽度の身体障害者・重度の身体障害者・聴覚障害者）を得たものの、ここでも残念ながら採用には至らなかった。

そして11月、ハローワーク小山からの紹介により、以前に会った発達障害者支援センター『ふぉーゆう』からの支援により、2人の応募者の中から採用を検討することとなった。

採用ルールに則り、通常の採用試験（クレペリン検査・職業適性検査・面接）を実施したところ、従来経験したことのない驚くべき高得点結果と能力の高さやPCスキルの高さを実感し、十分に事務職として務まるという期待を抱いた。

そして、次に気がかりになったことは、初めての障害者雇用の中で身体障害者ではなくて発達障害者の受け入れ環境を作れるかどうかという非設備的問題であった。しかし、障害者職業センターや他の支援機関の見学や聞き取り、雇用支援制度（雇用前から職場定着まで利用できるジョブコーチ支援制度など）や障害者対応へのアドバイスを受けた結果、実現出来ると確信し採用決定に至った。

実際の勤務開始を前にして、管理職を含む事務職全員と現業職主任以上対象の『障害者雇用の現状と発達障害者への正しい理解』ミーティングを持った。その結果、全員で取り組もうという空気が生まれ、受け入れ環境を整備することが出来た。今現在では、4月からの新たな障害者1名事務職採用（軽度の身体障害者）も決定している。

3. 障害者への配慮と仕事内容

発達障害者は、一般的に知的レベルが高く、ある一定の特性を理解することによって、仕事上でも能力を発揮することが出来た。仕事上、マニュアルや指導者を明確にすると同時に不必要な指導や叱責をなくすことで、障害者と指導者双方の心的ストレスを減らせると考えている。

特別な配慮としては、他の社員とは別に、独自の休憩時間帯（昼食時間帯含む）と休憩場所（不特定多数の者が自由に出入りしない場所）を設けている。また、数名の指導者から本人の顔が良く見える位置で勤務し、表情の変化や仕事の進行具合が掴める配慮もしている。

勤務場所

4. さいごに（事業所の取り組み状況に対する意見、評価など）

障害特性や性格を理解し、障害をハンディキャップととらえず、あくまで一つの個性であると考えることで、従事できる仕事の幅も広がる。障害者・事業所それぞれの努力と歩み寄りによって、可能性が引き出されている。関係機関との関わりも適切になされているため、障害者に対してバランスの良い雇用・支援がされている。障害者にとって働きやすい職場として今後も期待できる。

執筆者  :  社会福祉法人せせらぎ会 ジョブコーチ 野 健次