事業所名

社会福祉法人柏崎刈羽福祉事業協会

所在地

新潟県柏崎市

事業内容

特別養護老人ホーム等の社会福祉事業

従業員数

341名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	施設内の清掃及びトイレ消毒
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	3	室内掃除及び施設敷地内の草刈、施設利用者の給食調理
知的障害	2	施設内の清掃及び施設利用者の入浴後の整容とシーツ交換
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯、背景
3. 障害者の従事業務・職場配置
4. 取り組みの内容
5. 取り組みの効果

事業所外観

1. 事業所の概要

（1）事業の特徴・内容

昭和34年に柏崎市鯨波の地に「社会福祉法人かしわ荘」として障害者を対象とした救護施設を開設し、発足した。その後、施設の増設・増築を重ね、昭和55年現在の法人名となった。さらに、救護施設「おぐに荘」を開設、昭和58年に「かしわ荘」は現在地に移転した。

平成に入って、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホームの開設に見られるように、高齢者を対象とする施設を開設してきた。

現在、救護施設2施設、ケアハウス1施設、特別養護老人ホーム3施設、養護老人ホーム1施設の計7施設の経営と柏崎市北地域包括支援センターの受託経営を行っている。

（2）経営方針

経営理念は「私たちは、地域の福祉事業の主たる担い手としての使命を全うするために

・ 利用者の尊厳を損なっていないか?

・ 提供している福祉サービスは万全か?

と、常に謙虚に反省しつつ、法人・施設の健全経営に努めます。」としている。

（3）組織構成

法人本部の下に、柏崎市内と長岡市小国町に救護施設を2施設職員106人、柏崎市内に養護老人ホーム1施設に職員18人、特別養護老人ホーム3施設に職員257人、ケアハウス1施設に職員5人を配置し、また、柏崎市から委託されて柏崎市北地域包括支援センターを運営し職員総数386人（パート雇用を含む。）で構成している。

（4）障害者雇用の理念

当法人は、福祉事業を展開しており、その使命の一つとして障害者の雇用に努力している。

2. 障害者雇用の経緯、背景

（1）経緯

当初は、職員数も少なかったので、障害者雇用について今ほど関心は無かったし、ハローワーク（公共職業安定所）の指導もあまりなかった。

平成になって、介護保険法の施行に伴い高齢者を対象とした施設の増設のため、職員数も大幅に増加した。

その職員数は、300人を超えて、障害者雇用促進法の法定雇用率の関係から納付金・調整金の対象企業となったことを期に、納付金を納めることは、事業の性格から苦慮することになった。

平成14年にハローワークの勧めで、福祉施設の使命を果たすとともに雇用率制度を遵守するために2人の障害者を雇用することとなった。

最初に軽度障害の人を採用したところ、現場ではスムーズに支障なく適応することができた。

また、もう一人ははじめての知的障害者の受け入れであった。職場としては経験のない対応であったが、本人は障害程度がB判定ということであり、面接でも素直に受け答えし、家庭的にも働かなくてはならない環境を自覚しており就労意欲も旺盛であったので採用し、介護補助で職場配置したところである。

本人は職場でも明るく振舞っておりスムーズに職場に適応した。仕事の指示は予め業務の内容を説明して、口頭指示を行うことで十分である。

（2）背景

前述したように、組織の拡張による職員数の増加から、障害者雇用納付金・調整金制度の適用を受ける状況になった際、タイミング良くハローワークから障害者を紹介され、上手く定着できたため、引き続き障害者雇用を推進することができた。

また、施設自体がバリアフリー構造になっているので、施設設備の面で障害者雇用には問題がなかった。

3. 障害者の従事業務・職場配置

シーツ取替え作業

廊下の清掃作業

4. 取り組みの内容

（1）取り組みの具体的内容

知的障害者の受け入れには、当初、初めてのことでもあり問題がなかったか管理者に聞いたが、最初の従業員は自動車免許も取得しており、口頭指示で業務をこなし、特に苦労した様子の説明は無かった。今年入った従業員も在学中の実習した場所が気に入って就職したものであり本人の希望が適えられたもの。

内部障害の従業員については、業務が体調に無理のないよう日ごろから助言し、見守っている。通院の必要のある人は、有給休暇の活用や交代勤務の非番日を利用しており、管理者として特別の措置をとる必要は無い様子である。

（2）活用した制度、助成金

・トライアル雇用の活用

3ヶ月のトライアル雇用を実施した。その間、ジョブコーチ支援を利用している。

5. 取り組みの効果

（1）取り組みを実施したことによる効果

・障害者を職場に配置したことで、職場の障害者を取り巻く職員からの不満は挙がっていない。

・現在障害者が従事している業務は雑事が多いが、これらの仕事は従来外部に委託したり、職員の時間調整でやっていたことであった。障害者が各職場に配置されてから、職員の手から雑事が離れ介護業務に集中できるメリットが生じた。

・障害者雇用率を達成し、平成17年度以降の障害者雇用率は法定雇用率を超えており、雇用調整金を受給している。

・障害者職業生活相談員を3人選任している。障害者が数施設に分散配置されていることによって管理の目が行き届かないことのないよう、それぞれの施設に配置された障害者職業生活相談員が障害者をフォローする体制を取っている。

・職員の健康診断は年1回、恒例行事として施設ごとに忘年会、新年会、慰安旅行を実施しているが、障害者も健常者と同様に参加している。また、職員互助会にも加入している。

・平成17年度に障害雇用優良事業所として社団法人新潟県雇用開発協会長賞を受賞し、さらに、平成20年度には新潟県知事表彰を受賞した。

（2）障害のある従業員の声

「社会に出た自分」（Aさんの作文）

今自分は「なごみ荘」という老人ホームで働いています。自分の仕事はそうじをしています。そうじは手すりみがき、玄関そうじなどをやっています。

いつもそうじをはじめる時は手すりみがきからはじめてます。手すりみがきはしせつないのおとしよりが使う手すりをふいたり食堂にあるテーブル、イスをきれいにふいてまわってます。手すりはたくさんあってとてもたいへんですけどやりがいのある仕事です。毎日手すりみがきをがんばっています。

社会にでてつらかったことは時間ないにおわらせるのがたいへんです。短い時間ないでそうじをしたり次の仕事の準備をしたりすることです。

あとあいさつをすることです。あまり大きな声であいさつすることができなかったことがありました。今はすこしずつ大きな声でいえるようになりました。

社会にでてよかったことはそうじをしている時おとしよりの人や職員の人にいつもありがとうと声をかけてもらったことがとてもうれしかったです。

そうじの仕事はたいへんですけどこれからもつづけていきたいです。