職務の再編成により、障害者が活躍できる分野を確保し、
勤務日数や時間の調整で働きやすい職場環境を整備
- ホームページアドレス
- http://www.aidic.co.jp
1. 事業所の概要
平成元年6月、富山市でサポートシステム株式会社として設立、コンビニエンスストアへの共同配送業務を受託するなど小売店舗への事業を拡大し、平成9年4月に、現在地に新社屋、物流センターを建設して移転し食品卸の物流業務を受託。
平成15年4月地域スーパーマーケットへの共同配送業務を受託した。
さらに平成17年7月からは、従来の物流受託から小売支援業務に業態転換し18年9月に社名をアイディック株式会社に変更した。
事業の拡大とともに従業員数も平成16年77名、17年160名、18年114名、19年209名、20年223名と大幅に増加した。
お客様に誠意と感謝の心で接し、安心・安全・価値ある商品とサービス、満足と信頼を提供し食文化への貢献をめざしている。
環境・時代の変化に対応できる地域密着型スーパーマーケットの店舗作りを、お得意様とともに創造し、あらゆる角度からの支援を可能にする深化したリテールサポート機能を備え、流通の革新に挑戦している。
2. 障害者雇用への歩み
-初めての採用は平成19年、20年にも採用—
メーカー・卸業と地域密着型スーパーマーケットの間の総合的なサポートを業務とし、食文化への貢献を目指す企業として成長してきた会社として、CSR・コンプライアンスへの関心が高まってきた。
特に、大躍進を果たした平成18年以降その気運が醸成されつつあったところへ富山県雇用開発協会の障害者雇用アドバイザーや富山障害者職業センター、高岡障害者就業・生活支援センターのスタッフの訪問を受け、19年6月に男性の障害者2名を初めて採用した。
この時期は、一部惣菜の生産も開始し、より迅速な流通を目指して各部門のスタッフも急増し勤務形態も多様化していた。
マンツーマンによる0JTやジョブコーチとの綿密な協議で、2人の新規雇用者の作業内容が確立され、20年12月には、さらに男性1名が採用され障害者雇用は現在（平成21年1月）3名となっており、障害者介助等（業務遂行援助者の配置）助成金を活用している。
3. 取り組みの内容
（1）作業内容
3人が配属された職場は配送の拠点である。
地域のスーパーマーケットへ商品を届けた後、空になったケースや発泡スチロールの容器が大量に返ってくる。このケースを丁寧に整理・整頓していく作業である。
従来は、パートタイム雇用の女性が受け持っていた分野だったが、今では3人が入ったことで、パートタイマーは他の生産性の高い分野での就労が可能になった。
（2）作業環境の改善点
3人が担当している作業を大きく分けると、①空になって返ってきたバット（プラスチックコンテナ）に貼付されているシールを洗浄前に取り外すこと、②発泡スチロールの容器を産業廃棄物運搬用の大きなコンテナに積みこむこと、③混在した状態で戻ってきたクレート（牛乳を運ぶケース）をメーカー別に整理することである。
この作業の中で、複雑な工程をできるだけ少なくするよう工夫している。
たとえば、メーカー毎に色が違っている牛乳のケースは積み上げるスペースの壁に、同じ色のテープを貼って色別に積み上げれば作業が完了するようにした。
また、従来、一区切りの仕事が終わると指導の立場にある人が、次の仕事を指示していたが、最近は、仕事のスケジュールを書き込んだカードを3人がそれぞれ所持し、自分の判断で次の仕事に取り掛かれるようにした。
特に食料品は鮮度が要求され、 朝早くスーパーへ届ける必要があるため、夜間・早朝の仕事量が多い職場だが、3人には勤務時間帯の配慮がされており、すべて日勤となっている。
（3）3人の状況
① Aさん（54歳・男性） 精神障害
3人の中では最年長で、平成19年6月に採用された。
平成20年12月、3人目として入社したCさんの若さに刺激されて、このところ仕事に一層の励みが見られる。
マイカー通勤で、午前9時から午後2時までの週20時間勤務。
② Bさん（38歳・男性）重度知的障害
Aさんと一緒に、平成19年6月に入社した。
得意な分野は発泡スチロールケースの整理作業。丁寧で早いと評価されている。
バス通勤で、午前9時から午後4時までの週30時間勤務。
③ Cさん（26歳・男性）重度知的障害
平成20年12月採用の新人。
3人の中では一番若く、仕事をてきぱきとこなし、とても楽しいと意欲を見せている。
先輩の二人に溶け込んでいるだけでなく、職場に元気を与えている
マイカー通勤で、午前9時から午後4時までの週30時間勤務。
4. 上司・家族の評価
・Cさんの直属上司の評価
とても素直に指示を受け、作業が丁寧で集中力がある。注意が必要な時に「強い言葉」にならないように気をつけてはいるが、障害者であることを理由に指導を緩めることはない。よく理解して日々の進歩を感じる。
・Cさん家族の話
富山障害者職業センターへ数ヶ月間通い、就職を待ち望みましたがなかなかかなわず、不安な気持ちになっていた時にアイディック株式会社さんへのトライアル雇用が決まり、本人にとって最高の喜びでした。
“がんばろう、認めてもらおうという”と努力している様子が充分感じられます。
毎日元気に出勤しています。
注意され反省していた日もあります。（これも経験）
最近は「新しい仕事を教えてもらったよ」と得意そうです。
今後、職場のみなさまに迷惑をかけず、まじめに、きちんと仕事をし、上達することによって、自信を身につけていって欲しいと願っています。
5. 今後の方針
当社に勤務している3名の障害のある従業員は、いずれも、富山県雇用開発協会、富山障害者職業センター、高岡障害者就業・生活支援センター担当者の訪問を受け、チャレンジトレーニング、トライアル雇用制度を利用することからスタートした。
というのも、それまでは、当社の職種・業務内容からみて障害者が働くには厳しい環境であろうと思われていた。
しかし、雇用して驚いたのは、障害のある従業員の仕事に取り組む姿勢が積極的であり、業務によっては任せることも可能になり、部署全体で効率的に作業を運営できるようになってきたことである。
当社における、障害者の雇用の取り組みは始まったばかりであり、多くの課題がある。今は3名を雇用しているが、障害者が働ける職種（作業）が極端に少なく限られており、また、障害者が働きやすい環境の整備も遅れているのが現状である。
しかし、3名の障害のある従業員を通して、社内に「障害者の雇用」という意識づけが着実にできている。今後さらに、あらゆる角度（職種・環境整備等）から可能性を探り、少しでも雇用の拡大に努めていきたい。
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