事業所名

富山県生活協同組合（通称「けんせいきょう」）

所在地

富山県富山市

事業内容

食料品、日用雑貨の生活用品を主に無店舗事業で供給している。また社会福祉事業、共済事業も行っている

従業員数

184名

うち障害者数

2名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	データ処理、システム管理
内部障害	0
知的障害	1	商品の仕分、輸送車両への積込
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 在宅勤務とみなし労働時間制
4. おめでとう、永年勤続表彰
5. 今後の方針

事業所外観

ホームページアドレス

http://www.toyamaken-coop.or.jp

1. 事業所の概要

「けんせいきょう」は、組合員による出資・利用・運営の富山県労働者消費生活協同組合として昭和34年4月に設立され、昭和63年に現在の富山県生活協同組合に名称変更し、本年（平成21年）4月に50周年を迎える。

食料品・日用雑貨などの無店舗供給を中心に事業は順調に展開し、設立初年度の組合員数30,000人弱が63,000人に、総事業高も約1億,6000万円が62億円、さらに出資金も300万円弱から約20億円となった。

更に、平成12年、15年に通所介護施設、18年に訪問介護ステーションを富山市内に開設し福祉事業を進めている

・こども110番の車の取り組み

・富山県「とやま子育て応援団連帯事業」に認定

・富山県第1回「女性が輝く元気企業とやま賞」受賞（平成19年6月）

・富山県「男女共同参画推進事業所」認定（平成20年6月）

・富山県「元気とやま!仕事と子育て両立支援企業表彰」受賞（平成20年9月）

・消費生活協同組合法制定六十周年記念 厚生労働大臣表彰（平成20年10月）

「わたしたちは協同の力で、心豊かなくらしと共生社会を創ります」が組合の理念で、障害者雇用もその範疇にある。

理念を掲げた額

2. 障害者雇用の経緯と現況

「けんせいきょう」の事業が拡大される中で、平成5年3月知的障害の男性を採用したのが「けんせいきょう」にとって最初の障害者雇用であった。

その後、新規の採用はなく経過したが、平成17年10月ハローワークの紹介で身体障害（肢体不自由で重度）のある男性が雇用された。この時点で管理部長、総務課長を中心に、「障害者職場定着推進チーム」が設置された。

2名の障害者雇用が順調であったことから認識が高まる中で、この春（平成21年）、養護学校を卒業する男子（知的障害と肢体障害のある）1名が、既に2週間の職場体験を済ませており物流部門への採用が内定している。

建物全体がバリアフリー仕様になっており、マイカー通勤する障害者への配慮として屋根付きの駐車スペースを設け悪天候に備えた。

ふだんでも、一般職員が何気なく事務所のドア開閉に手を貸すなど全体として障害者の就労環境が向上している。

屋根付きスロープのある従業員通用口

3. 在宅勤務とみなし労働時間制

平成17年10月採用され総務課に所属して、パソコンを駆使しシステム関係の業務に就くAさん（31歳男性）は、重度の身体障害（肢体不自由）で車いすを活用している。

Aさんは「けんせいきょう」に勤める前、身内の紹介で一般企業に就職し、機械部品の資材発注業務を担当した。その時の上司がパソコンによるデータ処理能力の高い人で、Aさんがパソコンに興味を持つきっかけとなった。

Aさんは、メキメキとデータ処理の腕を上げ業務をこなしていたが、会社が事業を拡大するにつれて繁忙となり、残業や休日出勤が増えて、体調の管理が困難になったため転職をすることにした。

そして、ハローワーク富山の紹介で「けんせいきょう」に就職した。

Aさんの就業形態の大きな特徴は「在宅勤務」である。

週5日勤務で、他の事務職員は土曜日・日曜日が公休日だが、Aさんは日曜日と水曜日が公休日で、土曜日は在宅勤務となっている。水曜日を公休日としたのは、Aさんが通院するためで、本人の希望を「けんせいきょう」が受け入れたものである。

車で通勤すればおよそ20分の距離にあるAさんの自宅はエレベーターがあり、2階の一室が仕事部屋になっている。パソコンシステムが完備されていて、勤務先の事務所から連絡を受け、必要なデータ処理をするなど普段と同じ業務が可能になっている。 事務所との連絡システムに必要な設備の費用は、「けんせいきょう」の負担でした （障害者の在宅勤務については「障害者作業施設設置等助成金制度」があるが今回は利用されなかった。）

Aさんは、「在宅勤務により体調の維持管理が順調で、大変助かっている。仕事の面ではすべて自分の判断になるので、より責任を感じるがやりがいがある。」と話している。

通勤した場合の勤務時間は、午前9時から午後6時であり、在宅勤務はみなし労働時間制を採用している。

仕事の内容によっては、体調に合わせて100%の能力を発揮できる在宅勤務が、障害者雇用の一つの方向を示している。

「けんせいきょう」の職員は自己啓発の一環として費用を生協が負担する通信教育を受講することができるが、Aさんは複数の講座に挑戦し認定を受けている。

在宅勤務で仕事中のAさん

Aさんの受講修了証

4. おめでとう、永年勤続表彰

「けんせいきょう」の食料品・日用品等無店舗供給事業は、富山県内全域に及んでおり、約70台の輸送車両による配送が主体である。

商品の仕分け、車への積み込みなど早朝から活気をみせる物流の職場に働くBさん（知的障害）は勤続15年、平成20年5月永年勤続表彰を受けている。

Bさんの仕事は、商品の仕分けや輸送車両への積み込みである。商品の中には、生鮮食料品もあり県内全域に向けて配達するため早朝の作業が多いが、Bさんの勤務は、週30時間、午前8時30分から午後3時30分と過剰勤務にならないよう配慮されている。

すでに勤続15年、仕事について特別な指示を受けることもなく、すべて、自分の判断で行っている。多少神経質な面があるが、職場の仲間は承知しており、うまく対応している。

仕事だけでなく、職場のレクリエーションにも積極的に参加し同僚とのコミュニケーションも良好である。

積み込み中の配送車両

仕分けし、積み込まれる商品

永年勤続表彰状

5. 今後の方針

現在2名の障害を持つ職員が勤務しているが、自分の能力を十分発揮して活躍しており、今後も障害者雇用を進めたいという気持ちにさせてくれる。今後も障害者雇用を推進していきたい。

これまでも、障害者雇用に関して環境整備をしてきたが、まだまだ充分なものになっていない。施設面での改善、規則・規定の見直しや新設などを更に進め障害者が働きやすい職場労働環境の整備を進めて行きたい。

当生協の良さとして、お互いに障害者であるか、健常者であるかを意識せず「人」と「人」として接する職場風土があり、今後もしっかり根付くよう啓発していきたい。

そのために、現場を預かる管理・監督者が先ず障害者雇用の意義について、更なる理解を深めることができるよう教育・啓発を進めていきたい。

管理部総務グループ課長
松本  亮介さん