継続雇用をめざして
1. 事業所の概要
岐阜県大垣市に本社・工場をもつ産業用機械メーカーである。元々は鉄道車両用ディーゼルエンジンとその変速機を当時の日本国有鉄道（現在のJR各社）に納めていたが、鉄道車両用途が減少した中、それらの技術を応用・発展させたディーゼル発電装置・移動電源車・小型蒸気発電機・動力伝達装置・試験機等の製品を製造・販売している。
お客様のニーズにあった製品を、設計から鋳造・機械加工・組立・塗装・現地搬入・試運転・アフターサービスまで一貫して行い、お客様に使用して頂く、「パワートレインとクラッチ技術のニッチトップ」を合言葉に「ものづくり」に拘りを持った会社である。
2008年6月現在、正社員194名、パート等27名であり、障害者の雇用は重度障害者2名で、その雇用率は1.81%となっている。
2. 障害者雇用の経緯
重量物を扱う機械メーカーであり、生産現場においては「安全確保」が第一で、障害者雇用のためにはいくつもの大きな課題を解決しなければならなかった。
一方で、企業の社会的貢献を果たす見地からも障害者雇用の一翼を担うことはできないか常々検討していた。
折しも、守衛室勤務者に欠員が出たため、地元ハローワークに相談し、求人募集をしたところ、産業事故で片腕を無くした方の紹介があり、生産工程には直接関わりの無い、守衛室勤務として雇用することとなった。
また、もう一名は、一般採用者が長年の生活の中で、下肢の麻痺により歩行困難となった方である。
3. 障害者雇用の状況
守衛室業務は会社の顔であり、会社の情報をよく理解する必要がある。また、複数で協力しながら業務を進めていく必要がある。職場の仲間達との情報交換・意思疎通が図られるよう、話し合いの機会を設けている。
加齢に加え、心筋梗塞などを発症し、長期欠勤が必要となった時も、職場の理解で復帰することができた。現在65歳を迎えられたが元気に勤務することができている。
もう一人は、歩行困難の中でも勤務できるよう、事務所建設時より歩行用スロープ・手すりの設置を進めた。現在は、病気が進行し出勤できない状態であるが、春になり暖かくなって、以前の通り出勤できるのを望んでいる。やはり障害の有る方に優しい施設・職場は健常者にとっても働きやすい施設・職場であることを実感した。
4. 私たちが学んだこと
障害者雇用として取り組んだ事例は他に2件あるが、現在は退職されている。
守衛室勤務の雇用実績より、続いて片腕の無い方を守衛室に追加採用したが、その方（20歳台）は守衛業務になじめず短期間の雇用となった。外部の方の視線・職場内で年齢差があり、なじめなかったようである。本人の適性を良く考える必要性とコミュニケーションの大切さを痛感した。
もう一事例は、情報処理専門学校を卒業した聴覚障害の方を情報処理部門で雇用した。職場としてはハンディに前向きに取り組む姿に支援を続けたが、勤続16年余りで退職されることとなった。十分コミュニケーションをとってきたが、健常者に負けたくないという気持ちが、却って本人の心に負担となったのでは無いかと考える。
若手従業員とのコミュニケーションの重要性とその難しさは、どの職場でも課題となっているが、障害を持った方には更に配慮と確りとした意見交換が必要と感じている。健常者との違いを認識した上で、本人の持つ能力を最大限発揮させる、一方で甘えを許さず、一人の社会人として接していく。これらの気持ちが大切であることを学ぶことができた。
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