事業所名

株式会社アムスライフサイエンス

所在地

静岡県静岡市

事業内容

健康食品、自然派化粧品の総合受託製造（OEM）

従業員数

261名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	製品包装、梱包（千葉工場）
内部障害	0
知的障害	2	製品ピッキング、清掃
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯・背景
2. 取り組みの内容
3. 取り組みの効果（障害者雇用のメリット）
4. これからのこと

事業所外観（本社・第二工場）

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯・背景

（1）事業所の概要

・健康食品・化粧品の総合受託製造（OEM）

・健康食品の研究開発、製造、販売、健康情報の発信を通して健康の維持増進に貢献する。

（2）障害者雇用の経緯、背景

障害者雇用に関して、企業の社会的責任については理解していたが、事業内容・作業内容等を考慮し慎重にならざるを得なかったために雇用にふみきれない部分があった。しかしながら、事業の拡大、合併などにより企業の規模が大きくなったこともあり、公共職業安定所よりアドバイスを受け、求人申し込みは常時行っていた。

そんな状況であったが、平成20年2月の障害者合同面接会を機に、県内の障害者職業訓練校よりAさん（知的障害者、23歳 男性）の職場体験実習を受け入れることになり、実習を実施、その結果により同年4月、雇用に至った。

続けて公共職業安定所よりBさん（知的障害者、20歳 男性）について紹介があり、1ヶ月間のトライアル雇用期間を経て、その結果が予想以上に良好であったため、常用雇用に移行した。

これより以前に、特別支援学校よりCさん（知的障害者、男性）の職場体験実習の照会があり実習を行っているが、その結果は不調となり雇用に至らなかった。

なお、面接は、原則として家族の同伴を求めて実施、職場見学・雇用条件面を説明し、後日行き違いの無いよう配慮している。

2. 取り組みの内容

（1）障害者の従事業務、職場配置

社内で障害者の配置場所を検討した結果、事故発生時のリスクを考慮し本社工場では初めは難しいであろうという判断から、まず、第2工場での配置が決まった。当工場では株式会社エーエフシーの業務である製品のピッキング、出荷を行っている。

受け入れにあたって、現場の従業員に対し、事業所側から障害者雇用について説明し理解を求めたが、職場で障害者を受け入れるのは初めてのことであったため、当然のことながら戸惑いはあった。しかし、現場のリーダー的な存在であるOさんは「会社も大きくなったから企業の社会的責任もあり、障害者を配置しなければならない」と受け止めた。

2人ともに第2工場に配置されることとなり、実際に就労し始めてみると女性が圧倒的に多い職場で、しかも2人にとっては母親と同じ年代の従業員が多いということもあり、人間関係やコミュニケーション面で特に問題となることはなかった。

（2）指導の方法、支援機関との連絡など

作業状況を見ながら本人達にあった作業を指示するように心掛けたが、現場管理者であるT氏は、どこまで指導をしたら良いのか分からず、また、生活面まで立ち入ることへの抵抗感、同職場の女性社員とのコミュニケーションの取り方や、責任者の目の届かない場合の行動等への対応など、苦慮する場面が出てきた。

このことについては、Aさんの出身校である職業訓練校の指導員による職場訪問（雇用後2ヶ月に1回程度）があり、指導方法や対応の仕方などの助言を受けた。（T氏は、最初、Aさんに対して上手くできた場合に褒める、ということを繰り返したが、これは良い結果に結びつかなかったために対応の方法を変えている。）訓練校側は、本人と面接した上で職場適応指導を実施しており、事業所として指導が及ばない面での支援が受けられた。さらに、家庭との連絡も職業訓練校が行っているため効果が期待できる。時間が経過すると集中力が低下したり、情緒面で不安定になったりすることもあるため、今後も訓練校からの継続的な指導を希望している。

Aさんはフロア内の片付け、清掃作業を行っていたが、作業面で集中力が持続しないこと、また情緒面で不安定になることがあり、障害者職業センターのジョブコーチ支援事業の活用を検討した。最終的には本人、家族からの利用についての要望がなかったことなどから、活用には至らなかった。雇用開始から10ヶ月が経過したところで配置換えを行い本社へ異動、清掃作業を行うこととなっている。

Bさんについては健康食品の納品書によるピッキング、出荷伝票による仕分け作業、出荷作業に従事している。客先ごとに仕分けされた製品の入ったカゴがローラーコンベアーにより流れていくが、ランプにより良、不良が一目で分かるようになっているため、誰もが分かりやすい仕組みになっている。雇用当初に配置してみたところ、マッチングし成長が見られたため、この仕分け作業を主に任せている。通常、同じラインには2～3人がつくようになっており実際に1人で行うことはないが、Bさんはほぼ1人でも作業ができるまでになっている。

現場の整理・清掃作業

製品のピッキング、出荷伝票による仕分け作業

（3）労働条件等

※ 他に千葉の事業所に身体障害者1人を配置している。（製品包装、梱包作業に従事）
社内での能力開発や教育訓練は、複数の現場管理者によるOJTを中心とした指導により対応している。

現場の作業風景

3. 取り組みの効果（障害者雇用のメリット）

障害のある従業員が配置された当初、商品の仕分け区分が複数にわたり、誤りが見られたため、防止対策としてネットを張った方法や足元に作業範囲を標示し、その範囲以外は踏み出さない方法を取り入れた。その結果は障害のある従業員のみならず、他の従業員の誤りも減少するという予想外の効果があった。誰がやっても間違いが起きにくい仕組みを考える習慣が職場のなかに自然発生的に芽生えたのである。

現在、仕分け区分について自動化を図った結果、誤りが殆んどないため特別な防止対策はしていない。

4. これからのこと

知的障害者の雇用が困難な要因として、食料品を取り扱うため作業ミスに不安がある。また、身体障害者については、例えば聴覚障害者への伝達方法、指示方法に懸念があり、採用にはまだ経験が必要であるとのことであった。（聴覚障害者については平成20年2月頃に雇用、作業指示やコミュニケーションは筆談により行っていた。現場の作業音と本人の補聴器が合わなかったことから配置場所を変えるなど調整を試みるもその後数ヶ月で離職している。）

障害者雇用についてはまだこれから試行錯誤していくことになるであろうが、第2工場におけるピッキング作業など、障害のある従業員を配置できる職域はあり、受け入れの可能性もある。作業とのマッチングを模索しながら新たな作業を創り出すことも今後の課題である。