事業所名

昭和梱包株式会社

所在地

京都府京都市

事業内容

梱包・包装加工、配送センター運営、包装資材販売、構内業務請負、人材派遣など物流に関するあらゆる業務

従業員数

272名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	5	流通加工及び補助
精神障害	1	流通加工及び補助

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用に対する考え・経緯
3. 取り組みの内容
4. まとめ

1. 事業所の概要

「わたしたちは、真心を伝える物流をめざします。」

昭和梱包グループは、＜社員の繁栄と会社の繁栄が一致し、業務を通じて社会へ奉仕＞することを社是とし、他人を尊重し、相互に助け合い、相互に譲り合う人の輪を持って会社経営の基本的態度としている。

昭和40年の創業以来、大手物流業者と肩をならべる梱包・流通加工・食品包装加工事業、配送センター運営、包装資材販売、構内業務請負、人材派遣などの物流に関するあらゆる業務を行う総合物流企業であり、トータルな物流管理事業を展開している。

2. 障害者雇用に対する考え・経緯

創業者が、上記社是の一環として、積極的に障害のある人の受け入れを行っていた。現社長も創業者と同じ理念を継承し、学生時代にボランティア活動を行うなど、障害のある人たちや関係施設との交流を図ってきた。

障害のある人が従事できる業務があれば、常に雇用の場を提供したいと考えており、地域の福祉施設に加工作業の仕事依頼（発注）を行ったり、福祉施設や養護学校からの職場実習の受け入れを行うなど、長年に渡って障害のある人の雇用について取り組んでいる。

当社が初めて障害者雇用を行ったのは、約30年前のことである。現在、障害のある人は6名在籍している。グループ内事業所での職務内容は、いずれもギフト用品等のセットアップ作業である。この梱包・包装加工サービスが当社の出発点であり、すべての事業の根幹をなしている分野である。

3. 取り組みの内容

Aさんの希望する通勤時間の範囲内にあり、作業内容が所属支援機関で行っている訓練内容に合う事業所を、最初に就労支援機関の職員が訪問し見学した。その際に、Aさんがうけていた訓練内容の詳細説明、実習の概要について説明を受けた。

その後、Aさんの会社見学と面接の依頼を受け、具体的な実習計画が提案された。Aさんの所属支援機関職員が、現場担当者とAさんの適性や性格、指導方法、作業面での工夫などの調整を行った。Aさんの職場実習中の作業指導については主に現場が担当したが、支援機関職員にも実習のための通勤練習、必要に応じて付添い指導や実習生の様子を確認するための会社訪問を実施した。

Aさんの作業内容は、ラインにおけるギフト用品のセットアップ関連作業と梱包作業である。Aさんは、商品を入れる箱の組み立て作業、その中に入れる景品の前作業、決まった位置に加工固有記号の印を押す作業・パレットに商品を積み上げていく作業等、一連の作業を行っている。

実習終了後、本人・保護者と意思確認を行い、公共職業安定所を通じてトライアル雇用を開始した。障害者制度の活用については、過去には特定求職者雇用開発助成金制度を活用したが、今回は初めてトライアル雇用を利用した。

トライアル雇用が始まってからも、支援機関職員が当社や家庭の双方に定期的に連絡を取ることで、Aさんのフォローアップを行っている。現場担当者からAさんに対する疑問や課題が出てきた時には、支援機関職員が職場訪問を実施したり、電話連絡により家族と本人の状況を確認し合うことで、Aさんが安定して働き続けるための職場環境整備の協力を得ている。

ライン作業の中で、決まった位置に印（はんこ）を押しているAさん

4. まとめ

人事担当者は、障害のある人の従事する作業について、「作業方法などを習得するまでのスピードにはそれぞれ違いがあるかもしれないが、加工の仕事がメインなので障害があっても従事できる仕事がある。現場リーダーが作業上での安全管理をはじめ、常にその人その人にあった仕事を考えて、出荷量に合わせた配置を行っているので、自然の流れのなかでお互い助け合いながらいろいろなことができるようになっていければ」と話されていた。

ライン作業を行うなかで、Aさんの手のすいている時には自発的に動けるようにと、現場リーダーがAさんに声かけを行った。現在では、Aさんも自ら意識し手伝えることがあるときは積極的に手伝いを行うなど、周りに気を配りながら作業を行うという意識が高まってきている。

現場担当者からみて体力的にきついのではと思われる作業でも、お互いが助け合いながら作業を行っているため、Aさんはがんばって作業を行うことができている。正確に作業や報告も行っており、今では新しい人が入ってきたときにAさんが作業の説明を行っている場面も見られる。

また、現場担当者からは、「朝礼でAさんが毎日元気良く大きな声で当社のスローガンを読み上げてくれることで、朝礼の雰囲気に変化が見られた」と評価を得ている。

人事担当者は、「大切なのは意識である」と話されていた。現場リーダーも、「よりよい品質と生産性」ということを意識しながら、Aさんに対して少しずついろいろなことができるようにと様々な取り組みをされており、Aさん自身も毎日の仕事の中で日々努力をしている。

現場担当者は、最初は「特に何もしていない・・・」と話していたが、このような方針のもとでAさんが働きやすい環境作りをされ、自然なかたちでのサポート体制が整っているものと考えられる。今後も支援機関との連携を深めていきながら、さらなる取り組みが期待される。