事業所名

社会福祉法人神戸福生会特別養護老人ホーム高齢者ケアセンターひょうご

所在地

兵庫県神戸市

事業内容

高齢者介護福祉事業

従業員数

167名

うち障害者数

1名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	1	清掃、リネン交換、営繕
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 障害者の勤務と作業内容
4. 障害者雇用にまつわる取り組みの内容
5. 障害者雇用の効果・メリット
6. 障害者自身のコメント

事業所外観

1. 事業所の概要

社会福祉法人神戸福生会が平成13年4月に開設した高齢者介護福祉施設である。特別養護老人ホーム・介護型ケアハウス・デイサービスセンターを併設し、居宅介護支援事業も行なっている。

高齢者ケアセンターひょうご

・ケアハウスこうべ（特定施設入居者生活介護）

・高齢者ケアセンターひょうご（特別養護老人ホーム）

・併設ショートステイ

・デイサービスセンターさとやま

・居宅介護支援事業所

・高齢者ケアセンターひょうご診療所（保険指定診療所）を運営している。

なお、当法人は「社会福祉法人福生会（大阪府・1951年設立）」の法人分離により1996年に設立。55年間にわたり高齢者介護事業を推進・展開してきた中で培った介護技術・対人援助技術を駆使しつつ、時代の要請に添って施設福祉サービスと在宅福祉サービスの有機的な連携を図る、総合的な高齢者ケアセンターとしての機能の充実強化を進めており、神戸市内に

①高齢者ケアセンター甲南

②高齢者ケアセンターながた

③永栄園

の特別養護老人ホーム等の事業運営を展開している。

その他に、神戸市内のシルバーハウジング・災害復興公営住宅等においてLSA（高齢世帯支援員）、見守り推進員等の事業を展開。

2. 障害者雇用の経緯

本会は昭和60年代より精神障害者の小規模作業所との関係があり、当時の通所リハビリテーションを実施し2名の生活自立と1名雇用の成果を出していた。その後、1名の知的障害者、1名の聴覚障害者の雇用があったが長期雇用には至らず、高齢者介護施設での障害者雇用の在り方を模索しているところ、ハローワーク神戸より「出会い2008」の案内を受け、「仕事に合った能力」より、「能力に合った仕事」を考えるスタンスで合同就職面談会に臨んだ。

その結果、平成19年11月1日より3ヵ月間をトライアル雇用として、2名を雇用（1名は知的障害者、もう1名は事故の後遺症による高次脳機能障害者）することとなった。

その後、うち1名は、作業の持続が難しく本人と話し合いのうえでトライアル雇用終了時に退職したが、現在、1名（Kさん・知的障害者）の雇用が継続している。

3. 障害者の勤務と作業内容

Kさんの勤務時間は9時～17時（うち休憩時間は12時30分～13時30分）で、タイムカード打刻により勤怠管理をしている。平常は土・日曜日が休日、年末年始休暇（12月31日～1月3日）あり。有給休暇日数は年間10日である。

毎日の作業については、当初より9時の開始時に今日の作業内容として清掃・営繕（入居者の居住スペース以外の各フロアの手すりの拭き掃除）の指示を行い、作業終了後は事務所へ終了の報告を行い退社することとしている。また、毎週、月曜日はシーツ（リネン類）の収集日（火曜日）の準備作業として、シーツ（リネン類）の分別・仕分け作業を行う。

現在では、事前に想定していた清掃・営繕（入居者の居住スペース以外）の作業に加えて、介護の周辺業務（シーツ交換・備品補充など）も行なっている。介護の周辺業務については1フロア（3階）に限定し、フロアの介護職員が同伴あるいは業務の具体的指示・終了の確認をしている。

また、Kさんの日々の作業に対するフォローアップについても、清掃・洗濯業務に従事しているパート従業員に対してアドバイス等に心がけるよう周知している。

作業風景

4. 障害者雇用にまつわる取り組みの内容

清掃・営繕の作業については、約1～2週間OJT研修として職員が同伴し、用具の管理（準備・収納）・作業の手順・留意事項を説明・確認した。出勤から退勤までの流れと日常の（基本的）作業内容は、その後も確認・補足・改善して定着を図った。道具や備品の管理、清掃用具の洗浄、消毒液・洗剤の準備などは他の（清掃・洗濯）専業のパート職員にも依頼し、適宜協力を得ている。

また、（トライアル雇用終了後）雇用が確定したことをふまえて、Kさんの勤務状況と作業の能力・態度から、介護の周辺業務（シーツ交換・備品補充など）のオリエンテーションを実施した。ある程度手順が定められた作業や保管場所や設置する数量が規定されている作業に限定したことで、理解・習熟に要した時間は短くKさん自身が自信を得るステップになっており、意識的に対人業務にも従事してもらうよう心がけている。居住空間で作業する時間が増えたことで必然的に入居者や他の職員とのコミュニケーションの機会が多くなり、日々の対人関係の積み重ねもKさんにとって、また利用者の方々や職員にとって、おたがいを理解することにつながっていると思う。

障害者雇用1名の状況が続いており、雇用を実現し協働による作業の効率・質の向上や被雇用者同士の支え合いなどの環境を整えることが急務であると考える。雇用後1年を迎え、Kさんの職業意識や業務の習熟は安定している。

5. 障害者雇用の効果・メリット

当法人は「誰もが安心して豊かな老後を過ごせる社会の実現を創造すること」という理念に沿い、時代や環境の変化をふまえた事業運営・展開を続けている。事業規模の観点からだけではなく「社会福祉法人」としての役割を果たす意味でも、障害者雇用に対する積極的な取り組みは重要な責務のひとつである。

Kさんの勤務態度は大変真摯で安定しており、言動からも自己管理ができていることが伺える。Kさんの業務に対しては、入居されている方々から「窓やベランダがきれいになって、気持ちがいい」「いつも熱心に作業してくれて」と声が寄せられている。職員も「これはKさんにお願いしよう」と、信頼を寄せている。今まで行き届かなかったところの作業を担うKさんのおかげで、基本的な環境整備が充実してきた。こつこつと、必要で大切な作業が、生活施設には欠かせない「安心」を築くことにつながる。Kさんの仕事と存在が生む、「見える」メリットも「見えない」メリットも大変大きい。

6. 障害者自身のコメント

神戸福生会に就職するまでは、小さな規模の製菓会社に就職したことがありました。そこで、お菓子を作るのは好きで、いつも8人くらいで作業をしていました。でも人付き合いがあまりうまくいかず苦労しました。

その後、施設の「かがやき神戸」からここ「神戸福生会」を紹介されて仕事をすることになりました。

最初は,職員さんについて掃除の仕事を教えてもらっていたが、今では一人で出来るようになりました。また、廊下の手すりの掃除や入所者のシーツの交換もさせてもらうようになり、入所者の方から『ありがとう』と言ってもらうことがとてもうれしい。

体は疲れるけれど、定年までここで働きたいと思っています。

休みの日には、「かがやき神戸」で大好きなお菓子つくりや射的など行事に積極的に参加をしています。