障害者が地域の中で生き生きと活動できる職場の創設
- 事業所名
- 社会福祉法人養和会 特定・特別医療法人養和会
- 所在地
- 鳥取県米子市
- 事業内容
- 病院、介護老人保健施設他
- 従業員数
- 497名
- うち障害者数
- 18名
障害 人数 従事業務 視覚障害 1 介護 聴覚障害 0 肢体不自由 1 販売 内部障害 2 医療事務、医師 知的障害 4 環境整備、販売、営繕、洗浄、介護 精神障害 10 - 目次
1. 事業所の概要と障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
当事業所は、養和会グループとして、「やすらぎ・安心・安全」をモットーに、心と体のリハビリテーションセンターとして、地域に密着した医療・介護・福祉サービスの提供、予防・治療から社会復帰とその後の社会生活までを総合的にサポートをしている。
メンタルリハビリテーションチームとして≪養和病院・翼≫、認知症リハビリテーションチームとして≪養和病院・仁風荘≫、フィジカルリハビリテーションチームとして≪養和病院・仁風荘≫を擁し、さらなるサービスの向上を目指して法人全部署ISO9001を平成13年6月認証取得している。
事業所名 | 障害者数 |
---|---|
医療法人 養和会 397名 | うち10名 |
法人本部 | 知的障害 精神障害 心臓機能障害 視覚障害 |
養和病院 | |
援護寮 翼(つばさ) | |
介護老人介護施設 仁風荘 | |
デイケアセンター 仁風荘 | |
居宅介護支援センター仁風荘 | |
訪問看護ステーション 仁風荘 | |
居宅介護支援センター 仁風荘 きぼう | |
グループリビング 仁風荘ひこな | |
デイサービスセンター 仁風荘ひこな | |
社会福祉法人 養和会 64名 | うち3名 |
法人本部 | 知的障害 精神障害 上下肢機能障害 |
グループホーム 仁風荘一番館 | |
グループホーム 仁風荘二番館 | |
福祉ホーム はばたき | |
あんず・あぷりこ | |
エポック翼 | |
ヘルパーステーション つばさ | |
グループホームつばさ | |
関連会社 36名 | うち5名 |
(有)メディフード | 精神障害 |
ファミリーマート(有限会社MCS) |
(2)障害者雇用の経緯・背景
昭和5年の開業以来、78年、常に利用者の立場でものごとを考え、地域に根ざした、地域に愛される病院を目指すとともに、精神障害者の社会復帰整備に積極的に取り組み、法人内に障害者雇用の場を創り出し、平成元年から、障害者雇用をしてきた。
トライアル雇用よりも短時間就労の雇用形態や、業務内容も多種にわたり、障害の種にとらわれない一般就労の応募を開始し、個々の職業適性を十分に配慮した現場配置と、その都度必要な設備の改善を行い、安全で安心して働ける職場環境の整備に努めてきた。
最近では、当病院・社会復帰施設で現場実習を体験した養護学校の生徒を雇用するとともに、障害者雇用説明会に積極的に参加し、就職を希望する者に実習体験の場を提供し、就労へとつなげている。
近年では、地域の住民であり、支援者でもある職員に対する教育を強化するため、年に1回の人権学習の際のテーマを「障害者理解」に重点を置くなど、体系的に支援を行い、働きやすい職場づくりと障害者の職場定着を目指した支援体制を整備してきた。
2. 取り組みの経緯、背景・効果
(1)多様な部署の効果的な活用
当事業所は診療・事務・介護・販売・営繕・環境整備・調理・洗浄等の多様な業務があり、障害がある職員の個々の適性を考慮した職場への配置が可能となっている。
(2)多様な職場の業務内容と配慮事項
ア 環境整備
・ 本人の能力にあった業務に配置し、慣れてきてステップアップできれば次の業務へ配置していく。また、できた仕事に対しては、きちんと賞賛し、不足することがあれば、きちんと説明をする。
・ 体調が悪ければ、その都度対応し、休憩を入れ、体調維持に努める。
・ ジョブコーチとの連携を密にとり、当事者の不安感を減らす。
・ 定期的な会話
面談にすると緊張するため、仕事の現場で声かけをして、常に気にかけていることを本人に理解してもらう。
・ 業務に対しての責任の説明を丁寧に行い、責任ある仕事に対する意識を高める。
・ できる限り他の職員と同じように対応する。
・ 他のスタッフからの情報収集を行い、業務中の表情や話の内容を知り適切に対応する。
イ 営繕
・ 親睦会などにも参加してもらい仲間意識を高める。
・ 毎日確実に行える業務量を提供し、仕事への不安を緩和する。
・ 生活リズムに合わせた勤務体制の構築。
・ 適宜面談し身体の状態を把握し、課題に対し早期に対応する。
・ 周りのスタッフに病気について事前説明を行い、理解を深める。
・ 過小評価ではなく、本人が可能なことに責任を持って取り組めるよう配慮する。
・ 仕事に対する評価は的確に行う。
ウ 介護
・ 医療機関やケースワーカーなどの助言を求め、相談をする。
・ ジョブコーチと緊密に連絡を取り合う。
・ 短期間での成果を求めない。
・ 本人が自己主張するまで待つ。
・ 自然に接する。
エ 洗浄
・ 精神保健福祉士とも連携して、負担がかかり過ぎないように責任が重くなりすぎないように、勤務の入り方やシフトがつめすぎにならないように配慮する。
・ 現場のスタッフ仲間に障害についての理解を図る。
・ 調子が悪いときは、普段より具体的な話を聞き出せるよう工夫する。
・ 調子が悪い時に、長期で休んでしまうのではなく、調子に合わせてシフト量、時間数を減らして毎週仕事には出てくる形をとりながら通常勤務ができるまで見守る。
オ 販売
・ 理解できているかをその都度確認して、ステップアップをしていく。
・ 一つの業務を何回も積み重ねていく。
・ できるところは誉め、不得意な業務は繰り返し体験し、不安を取り除く。
・ 体調の観察を常にし、気分不良、顔色など見て、休憩や、早退を勧める。
3. 取り組みの効果及び今後の抱負
障害者の雇用については、平成元年から取り組んでいるが、近年は養護学校、盲学校の生徒の採用、施設から社会復帰を目指している精神障害者を率先して職員に採用するとともに、他企業での雇用に結びつけるなど地域生活移行支援対策にも貢献している。
障害者の雇用に当たっては、障害の種類にとらわれず個々の職業的適性条件に十分配慮し、その都度、必要な施設等の改善を行うなど安全で安心して働ける職場環境の整備に努めている。また、労務管理に関するノウハウを学び労務管理に万全を期するとともに、年1回全職員を対象として実施する人権学習のテーマに「障害者の理解」を選定するなど、体系的な支援を行うことにより職場定着の向上に努めている。
(管理部長 廣江 智氏 談)
精神障害に対する専門性を基盤とし、職場内の資源を活用するとともに、新しい職場を創設するなど、積極的に障害者の社会復帰に取り組んでいる。精神障害以外の障害に対しても、継続支援のネットワークを組織内で構築し、細やかな配慮で雇用継続を成功させている。また、障害がある人たちに対し、心と向き合い自然体で受け入れようとする真摯な姿勢が、多くの障害者雇用を持続させているといえよう。
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