障害者雇用は社会的使命
~特性を見つけ適正配置で戦力~
- 事業所名
- 株式会社サンプラザ
- 所在地
- 高知県土佐市
- 事業内容
- スーパーマーケット・ホームセンター・総合結婚式場の経営
- 従業員数
- 511名
- うち障害者数
- 15名
障害 人数 従事業務 視覚障害 0 聴覚障害 0 肢体不自由 10 営業企画・事務職・調理係・惣菜係 内部障害 0 知的障害 4 青果係・調理係・水産係 精神障害 1 生花係 - 目次

1. 事業所の概要
【代表者】 | 笠原 雅志 |
---|---|
【設立年次】 | 昭和37年2月 |
【業 種】 | 各種商品小売業 |
【資本金】 | 9,200万円 |
【従業員数】 | 社員数511名(パートタイマー含む) 知的障害者4名(重度1名) 身体障害者10名(重度4名) 精神障害者1名 |
【店 舗 数】 | スーパーマーケット15店舗 |
【関連事業所】 | ホームセンター「リッチ」2店舗 ウエディングプラザ寿苑1店舗 レストラン2店舗、書籍店1店舗 「お客様には障害を持った人もいる。従業員も同じ」 |
【事業所設立の背景、経緯】
昭和37年2月20日、土佐市をテリトリーとする地域密着型のスーパーマーケットとしてスタートした。当時は、全高知スーパーチェーンの一員であり、全国的にスーパーのチェーン展開が拡がった頃でもあった。その後、独自の組織体となり、土佐市から高知市、佐川町、越知町へと活動エリアを拡げ、現在に至っている。スーパーマーケット部門の「サンプラザ」としては11店舗。業務用食品スーパーが4店舗。また、地域の消費者が必要とするものはスーパーマーケットに限らず、全て手がけるという考え方の下、ホームセンターや総合結婚式場の経営など、事業を拡大している。現在、ホームセンター「リッチ」2店舗、総合結婚式場「ウエディングプラザ寿苑」1店舗、レストラン2店舗、書籍店1店舗。スーパー以外の事業へ参入することによって、スーパーで扱われる商品を使うことによって流通コストの削減を図り、地域に還元していく経営努力をしている。深く地域に根ざすとともに、地域雇用にも貢献している。

【 経営理念 】
「誠実・奉仕」
私たちは誠実奉仕をもって、私たちと私たちに関わるより多くの人々の幸福と繁栄に貢献します。「お客様満足」と「社員満足」を掲げ、お客様がより豊かになると同時に社員も安心して働ける職場を目指しています。
1 サンプラザは、商品・サービス・情報を通じて、地域のお客様の健康でより豊かな暮らしの創造に貢献します。
1 サンプラザは、誠実・奉仕を大切にする企業風土を築いていくとともに、楽しく、安心して働ける職場作りを目指します。
【障害者雇用の経緯】
地元企業としての事業活動には「社会性」が伴う。障害者は、サンプラザグループにとってはお客様の一人であり、雇用することも当然の社会的使命だと考えている。サンプラザでは、創業当時から障害者雇用に取り組んできた。平成10年頃から、いの町のハローワークからの依頼があり、トライアル雇用をしながら雇用を進めてきた。高知県立日高養護学校、若草養護学校などから研修の申し入れがあり雇用してきた。
2. 障害者雇用の現状
(1)障害者雇用の状況
① 雇用状況
現在の障害者雇用数は15名で、知的障害者は4名、うち1名が重度。精神障害者が1名。心臓機能や下肢機能、上肢機能などの障害を持つ身体障害者は10名、うち重度は4名である。サンプラザ土佐ショッピングセンター、デリカセンターでの知的障害者の配置については青果係女性1名、デリカセンター調理係女性2名、水産係男性1名。身体障害者については営業企画男性1名、デリカセンター調理係5名で男性2名、女性3名。

② 作業指導
サンプラザでは、パートタイマーを対象にサンメイトと呼んでいる。障害者もこのサンメイト社員である。特別に障害者向けの教育はしていないが、評価表があり、それに基づいて行っている。評価表=教育カードのようになっている。各部門ごとに主任がおり、その主任が責任をもって教育指導をしていくことになっている。特に年配の女性が多いので、公私にわたってサポートしている。知的障害であったり、下肢であったり、それぞれ障害の度合いがあるので、現場の条件に応じて、その人に適った指導をしていく。
デリカセンターには知的、身体を含め5人の障害を持つ仲間が働いている。知的障害者の場合は、複雑な作業はできないが、繰り返し作業はとても正確にやってもらえる。そういった作業の割当に気をつけている。弁当を詰める、返却されてきた弁当を洗うなどの作業を任せると、ていねいに仕事をしてくれる。その人の持っている障害の度合い、特性をみながら指導をしている。特にデリカの方は古くから雇用しているので、センター長やスタッフの理解も深く、継続してやっている。しかし、作業が忙しい時間帯には目が届きにくくなってくるという問題点があり、現在はこれ以上の受け入れは難しいのが現状だ。[都築センター長]

デリカセンターBさん(知的障害者)
デリカセンターに勤めて9年になる。野菜の皮を剥いだり、カットしたりというシンプルな作業を任せている。実にまじめな仕事ぶりで、ていねいに作業をしてくれるので安心だ。但し、機械は危ないので使わせないようにするなど、配慮している。

③ 賃金
サンプラザは正社員、準社員、パートタイマーなどのサンメイト社員を含め511名。他にアルバイトが500名ほどいる。正社員、準社員は8時間労働。サンメイト社員、アルバイトは3~7時間。障害者の場合は5~7時間労働が多い。職務に応じて、初級基本は650円。これは一般、障害者ともに同じ。半年後、評価をして時給、仕事の中身を決めていく。平成5年からSCSサンプラザチャレンジシステムという人事制度を導入している。それまでの年功序列型ではなく、仕事の内容、業績に応じた等級制度を社内で作成した。
④ 福利厚生
休日は週休2日制。賞与も評価によって金額が違うが支給されている。サンプラザには労働組合があり、そこに社員もサンメイト社員も加入しているため、福利厚生面での待遇は同じ。
(2)障害者雇用の取組み
① 障害者トライアル雇用制度
今までは、定期的に雇用促進セミナーに積極的に参加をしたり、ハローワークから紹介を受けたりしていたが、景気の落ち込みもあり、平成19年から雇用をしていないのが現状だ。しかし、今後もハローワークの障害者トライアル雇用は続けていく予定であり、インターンシップの受け入れも行なっていく。事前の研修があると現場も見極めがきくというメリットもある。
② 障害者雇用の参考資料として
高知県雇用開発協会の職域拡大マニュアル(知的・精神・肢体)を利用している。障害の程度や特性を考えてコミュニケーションを工夫したり、周囲が配慮し、人間関係には問題ない。
③ サンメイト社員の仕事のセルフチェック
セルフチェックを導入したのは平成5年から。年2回、半年ごとに行なわれている。これによって、賞与、昇給に反映されている。半年ごとに時給が変わる。まず、自分でチェックをし、一次チェックはチーフ、二次チェックは店長がする。基本項目、基本作業等で評価が決まる。障害者の場合は基本項目で評価されるので、それで賃金、賞与の額が決まる。作業のスピードが遅くても、他の項目によってA評価が得られる。対話面接を義務づけていて、必ず、評価表を見ながらチーフと本人が話をし、チャンレジ項目を記入する。対面日にはチーフ、本人のサインを交わしている。4月からは2ヶ月ごとに実施されることになっている。これを導入することによって、本人もやるべきことが明確になるとともに、チーフも指導しやすくなる。知的障害者の場合は上司がフォローしている。

3. 障害者雇用の今後の課題(取り組みの効果、メリット・デメリット)
これからも障害者雇用をしていかなければならないと考えているが、こういう不景気な厳しいご時世であり、正社員の欠員を出しても補充をしていない状況だ。従って、障害者雇用に関しても積極的にとはいかないが、ハローワークや学校から研修の要請があれば受け入れ、雇用も考えていく。
障害者雇用は創業時からのことであり、各セクションでも自然に受け入れる体制がある。基本的に採用したら、長く勤めてもらいたい。やはり、すぐには戦力にならないことも事実だが、半年、一年やってきたら充分な戦力になる。そのためには現場のスタッフの理解が大きい。店長、チーフを通じて話をしながら、理解を深める。採用後、面接をし、採用する際、一番考慮するのは配属先。障害の度合いによって店舗で働いてもらっても大丈夫、身体に障害がある場合はこの作業ではどうかと。
配属の際には、店長、チーフに相談し、フォロー体制を組むようにしている。
仕事の中身、人物によっては障害を持っている人の方が長続きしたり、手抜きをせずに正確に仕事をしてくれる場合も多い。
4. 最後に
◎障害のある従業員からのメッセージ
①青果部門 Aさん(知的障害者)
私は平成3年入社で18年目になります。店舗の青果コーナーで毎日入ってくる野菜や果物などの袋詰め作業をするのが私の仕事です。決められた分量を計りながら詰めていきます。最初、皆さんとコミュニケーションがとれるまではちょっとつらかった。でも、チーフや周りの人たちに支えられて、今は仕事にも慣れて楽しく働いています。私にとってはとても良い職場です。

若江達也さん/副店長
彼女はとても明るい性格で、今ではコミュニケーションにもほとんど問題はありません。ただ、包丁などを使う作業は危ないので、袋詰め作業を担当してもらっています。まじめな働きぶりで、周りも安心して任せています。
障害者雇用推進者からのコメント
われわれはスーパーマーケットであり、地域のお客様に支えられて成り立っている。そのお客様の中には当然、障害者の方もいらっしゃる。企業としては地域へのお返しとして雇用を考えていかなければならない。サンプラザでは創業当時から、地域の方や学校からのご紹介により、障害者雇用をしてきた経緯がある。ハローワークから紹介をいただき初めたのは平成2年頃からになる。障害者を採用する場合、面接で私どもが見させていただいているのは障害の重い、軽いよりもまず、一番は性格、素直さ。
障害があっても明るく素直な方の場合、現場が受け入れしやすく、本人も長続きするケースが多いようだ。実際に職場の定着率は高い。一番の理由は、その部署において戦力になっているということ。それでなければ、やはり、現場サイドからクレームが出てくることになるので、配属が双方にとって良いものでなければ、お互いに負担となってくる。

アンケートのお願い
皆さまのお役に立てるホームページにしたいと考えていますので、アンケートへのご協力をお願いします。
なお、事例掲載企業、執筆者等へのお問い合わせや、事例掲載企業の採用情報に関するご質問をいただいても回答できませんので、あらかじめご了承ください。
※アンケートページは、外部サービスとしてMicrosoft社提供のMicrosoft Formsを使用しております。