事業所名

トリゼン食鳥肉協同組合

所在地

佐賀県唐津市

事業内容

生鳥処理・解体、鳥肉加工製品製造

従業員数

225名

うち障害者数

11名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	4	鳥肉の解凍・攪拌作業、商品の検品
内部障害	1	ささみの軟骨を取る作業、カゴの洗浄
知的障害	5	鳥をシャッフルに懸ける作業、ささみの軟骨を取る作業
精神障害	1	整理作業、収納作業

目次

1. 事業所の概要
2. 取り組みの経緯、背景
3. 取り組みの内容及び効果
4. 今後の課題・展望

事業所外観

1. 事業所の概要

(1)沿革

平成12年11月、食鳥肉処理・解体、鳥肉加工品の製造を目的として、トリゼンフーズ株式会社、鳥善ブロイラー株式会社、株式会社トリゼン、北九とり善株式会社の4社が組合員となり、トリゼン食鳥肉協同組合を設立。平成14年8月業務を開始し現在に至っている。

(2)従業員数 225名 うち障害者11名 （平成21年 1月 29日現在）

（ ）内は重度障害者

2. 取り組みの経緯、背景

従業員数は225人で、そのうち障害者の雇用数は11名、雇用率は6.67%となっている。身体障害者の雇用は、組合設立の前から株式会社トリゼンで4名雇用していたため、組合設立時も引き続き雇用を継続し現在に至っている。

精神障害者の雇用は、公共職業安定所からの紹介で、平成14年8月頃から採用している。採用当初は、作業を安定的に継続できるかどうか心配していたが、健常者の仕事ぶりとほとんど変わりなく、就労態度も良好であったため、現在、正規社員として雇用している。

知的障害者の雇用は、知的障害者支援施設からの職場実習の依頼がきっかけで、平成15年の夏頃から職場実習を受け入れたが、挨拶がきちんとでき、明るく元気な実習態度が協同組合の代表理事の目にも留まり、平成16年4月より雇用となった。

その後も、支援施設の職員や保護者会の方が会社を訪問し、就労状況等を視察し、今後も知的障害者の雇用について継続してほしいと要請があり、その結果、知的障害者を毎年継続して雇用していくこととなった。なお、現在も職場実習を行っており、実習態度も良好なため、4月から雇用予定ということであった。

3. 取り組みの内容及び効果

（1）障害者雇用の取り組み

身体障害のある従業員が行っている主な作業は、加工部で、鳥肉を解凍し、ミンチ状に肉を攪拌したり、流れ作業の中で商品の検品を行う仕事等がある。また、その他の作業としては、カゴの洗浄作業、ささみの軟骨を取る作業等を行なっている。

精神障害のある従業員は、作業中生じたクズや骨の部分を集め、カゴに入れて整理したり、冷蔵庫に収納するなどの作業をされていた。

知的障害のある従業員は、鳥をシャッフルに架ける作業、ささみの軟骨を取る作業、解体ラインに乗せる作業、鳥ガラを計量する作業、鳥の首皮を伸ばす作業等が主なものであった。

身体障害のある従業員の場合は、仕事を行う上で支障が無ければ、雇用については通常の方法で採用しており、特に問題もない状況ということであった。知的障害のある従業員の場合、雇用する前に職場実習を行い、作業箇所での実習状況や流れ作業について行けるかどうかを確認して、就業の見通しが立てば、雇用するということで対応していた。

流れ作業の中で商品の検品をする仕事（加工部）

鳥ガラを計量する仕事
（製造部）

鳥の兜部分をカップリングする仕事（製造部）

鳥の丸を懸鳥する仕事
（製造部）

商品を計量するために商品をセッティングする仕事（製造部）

ささみ軟骨を取る仕事
（製造部）

（2）雇用の効果

身体障害のある従業員については、特別な配慮等は必要としておらず、作業効率も健常者と変わらないため、雇用の効果も充分上がっている。精神障害者についても、当初心配していた作業の安定性等に問題は無く、仕事にもまじめに取り組まれているため、早期に正社員になったほどで組合が期待する雇用効果も高いといえる。

知的障害のある従業員については、全般的に真面目であり、言ったことや指示したことはきちんと守るという態度や、大きな声で元気に挨拶する姿勢は他の従業員にも良い影響を与えている。また、作業内容等考慮すれば雇用効果はあり、遅刻や欠勤など皆無であるため仕事量の計算ができるため、安定した労働力になっている。

（3）生活面での支援

障害のある従業員は、全員自宅から通勤している。協同組合には通勤用のマイクロバスがあり、誰でも利用できることになっているが、知的障害のある従業員がマイクロバスを利用すると会社と家庭の往復だけになってしまい、社会的経験や地域の中での関わりが不足する心配もあったため、できるだけ自分で通勤するよう促している。また、職場では、生活面も含め、相談や指導を行う担当職員を配置しており、保護者との連絡等にあたっている。現在のところ、生活面での問題は特にないが、何かあった場合は、家族、障害者支援施設や障害者就労・生活支援センター等と緊密に連携が取れており、随時相談しながら対応している。

訪問した日の午前中も知的障害者支援施設の職員と、保護者会の一行が職場訪問しており、働いている障害者も自分たちの職場に家族や施設の職員が見に来ているということで、張り切って仕事に取り組んでいた。

4. 今後の課題・展望

現在、鳥インフルエンザへの対策が求められており、養鶏場の分散化や感染防止対策を徹底しているが、食鳥を輸入することがほとんどできず、消費者も国内産を希望するため、九州産銘柄の「華味鳥」を雛の飼育から加工、流通までを一環体制で育てている。しかし、食品販売の業界も景気状況は厳しく、販売量も今年に入り若干低下しており厳しい状況にある。

また、社員の平均年齢が高く、今後、ベテランの社員が減少して行くことが予想されている。職場は、仕事の内容が包丁を持つ作業が多く、技術や熟練もある程度必要なため、今後4～5年先を見ながらどう対応して行くのか考えて行かなくてはならない状況にある。その中にあって、今後も障害者雇用は毎年継続していくということであったが、それを確実にしていくためには、職場での作業部署を拡大して行くことが重要であり、特に知的障害者の作業能力や習熟度を高めるための工夫や対策を職場、支援施設、関係機関等が連携を取りながら実施されていくことが重要と考えられる。