建設業が挑戦する新規事業における障害者雇用の取り組み
～農業分野での障害者雇用への挑戦～
1. 事業所の概要
当社は、長崎県佐世保市において（旧）国鉄松浦線建設工事を実施したのを皮切りに、工事実績を積み、地域に貢献すべく努力を重ねながら、昭和25年5月に現在の会社組織として創業した。
以来、地域に密着し、地域の繁栄を願って、当社の社是である「人格高揚」「責任完遂」「技能練磨」「能率増進」「信用は事業の基礎」「総親和 親切第一」を経営理念として、今日まで着実に地盤を拡充し、おかげさまで地域の総合建設業として確固たる地盤を築いてきた。
建築構造物をはじめ「安全・安心」を提供し、地域社会に貢献し地域から信頼され必要とされる企業になるよう努めている。
しかしながら、建設業界を巡る経営環境は、日に日に厳しさを増しているが、当社としてはそういう環境であっても、地域から必要とされる企業でありつづけなければならないと考えている。そのために、建設関連部門・福祉部門・農業部門・住宅リフォーム部門のそれぞれの新規事業を連携させ、ノウハウ（建設技術・工程管理・原価管理・財務管理・労務管理）と資源（人財・設備）の共有を図り、新しい堀内グループとしてのビジネスモデルを模索しているところである。
2. 障害者雇用の経緯
建設業において、障害者雇用というのは非常に難しいという認識があり、当社においてもそれは同様であった。現場作業については、常に危険が伴うため作業できるような安全確保は困難であり、また、事務作業についてもバリアフリー等の作業環境改善には程遠い現状があった。そのような折、公共職業安定所より、障害者雇用について検討依頼があった。当初は「障害者雇用は無理」という固定観念があったが、障害者雇用担当職員より「現場作業に、とか事務作業にという考え方ではなく、出来るような作業を集めて、それを一日の仕事として新たに作る事は出来ませんか?」という問いかけがあり、その考え方を元に関係者を招集し意見を募り、「これならば仕事として成り立つ」というものが出来上がった。
しかし、これまで障害者雇用の経験やノウハウが全く無かった為、公共職業安定所には「障害者トライアル専用求人」として求人票を提出。併せて障害者合同面談会の参加を申し込んだ。
合同面談会に参加した率直な感想としては、面談した人々は皆、非常に働きたいという意欲が高く、話のやり取りも熱心であったという事だった。当初1名で面談を行なっていたが、面談者が多く来ているという事で、途中より急きょもう1名参加し2名で面談を行なったほどであった。数時間で10数名面談し、その内2名を継続検討、最終的に1名を採用する運びとなった。
3. 取り組みの内容
（1）受け入れ態勢
仕事の内容が除草作業や資材整理といった屋外作業と、事務所内の清掃といった屋内作業があった為、それぞれに担当者を決定し、直接の作業指示はこの2名が行なう事とした。ただ前述の通り、これまで障害者雇用の経験やノウハウが全く無かった為、ジョブコーチ（職業適応援助者）支援事業を利用し、ジョブコーチが来所し、障害のある従業員はもちろん作業指示を行なう担当者のフォローも併せて行った。
（2）配慮事項
最初は作業指示担当者を含め不安があったが、実際に話をしながら作業をしていくと、本人の作業に対する適性があったこともあり、すぐに仕事をこなせるようになり、皆と打ち解ける事ができた。雇い入れ時「最初は短時間勤務で、慣れて来ればフルタイムに切り替えて行く」ように考えていたが、特に問題なくフルタイムで仕事をこなして行った。困った事や分からない事は担当者へきちんと報告し、今では貴重な「戦力」となっている。ただ、慣れて来た今でも雑談程度ではあるが、「声掛け」のフォローは欠かさないよう気をつけている。
 工事資材整理 | （作業内容） 現場の工事が終わり、戻って来た工事看板などを整理整頓する。また、次の工事で使える物については、使える状態にして保管する。 |
 タオル洗濯 | （作業内容） 社内の台所やトイレにあるタオルを回収し、洗濯し乾燥機にかける。乾燥したタオルは所定の位置に戻す。 |
4. 今後の展望
現在展開して行っている新しい堀内グループとしてのビジネスモデルと障害者雇用がマッチするような仕組み作りを進め、例えば堀内グループの農業生産法人で作付けや収穫の際に必要な人手を障害者雇用の場に充てるなど、これまで当社で障害者を雇用して来た経験やノウハウを生かし、積極的に雇用を実施する展開である。
具体的には、堀内グループである農業生産法人フロンティアアグリカルチャーながさきでは、試験的にブルーベリーの収穫作業が出来るかどうか職場体験を実施して、障害者雇用の実施性を模索している。さらに堀内組で雇用している障害のある従業員をフロンティアアグリカルチャーながさきの農場に応援として、除草や施設管理等の作業をしている。今年はマンゴーの収穫、あるいはオリーブの植付等の作業が発生するので、積極的に障害者雇用を活用して行きたいと考えている。
アンケートのお願い
皆さまのお役に立てるホームページにしたいと考えていますので、アンケートへのご協力をお願いします。
なお、事例掲載企業、執筆者等へのお問い合わせや、事例掲載企業の採用情報に関するご質問をいただいても回答できませんので、あらかじめご了承ください。
※アンケートページは、外部サービスとしてユミルリンク株式会社提供のCuenote(R)を使用しております。
