事業所名

有限会社FMG

所在地

大分県大分市

事業内容

病院・介護施設の給食調理、清掃業務、車両管理、事務部門などの業務請負業

従業員数

195名

うち障害者数

2名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	2	介護補助業務、運転業務
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の理念
3. 雇用の促進、定着のために取り組んだ経緯・背景

事業所外観

1. 事業所の概要

(1)事業所の業種 医療関連サービス業

(2)事業の内容

病院・介護施設の給食調理、清掃業務、車両管理、事務部門などの業務請負

(3)障害者雇用の状況

従業員総数 195名（内、内部障害者数（両者心臓疾患）：2名 カウント数：3）

障害者の主たる業務内容

・ A氏（1級）介護補助業務（清掃、ベッドメイキング、その他雑務等）

・ B氏（3級）運転業務（利用者の送迎、その他雑務）

(4)関連業種

・ 医療法人『淵野会』:渕野病院（精神科.神経科.心療内科）187床・リハビリテーションセンター（デイケア）・緑ヶ丘保養園（認知症疾患専門病院）
270床・グリーンライフ（介護老人保健施設）100床・あすなろ（福祉ホームB型）定員20名。

有限会社FMGは独立した法人ではあるが、医療法人「淵野会」の関連会社で、同法人が運営する病院・施設の業務の一部を請負っている。A、B両氏とも現在は渕野病院の入院患者さんの介護補助業務などに従事している。将来、適材適所の配置換えもあり得るとのこと。

医療法人淵野会の外観

医療法人淵野会の内部

2. 障害者雇用の理念

5階建て,定床187床を持ち、豪華ではあるが落ち着いた風情を感じさせる。玄関へのアプローチから応接室まで僅か2～30メートルの距離にも病院設立者の並々ならぬ福祉観を感じさせられる。障害物は一切置いていない。トイレやエレベーターも広い。病院内のあちこちに、バリアフリーを意識した配慮がなされている。『淵野会』のパンフレットの冒頭に、「歩み入る者に安らぎを,去り行く人に幸せを」・・・・・・これはドイツ中世の町ローテンプルクのホスピタルの門の石刻の言葉です。私たちは、「病める人に温かい手を差し伸べ、支え、癒し、安らぎと幸せを与える」。心の通う医療を提供します。・・・・・・とある。その意を受けて今回私たちの取材に応じて頂いたのが有限会社FMG事務部長永井孝一氏である。「私たちは病院に勤務していますから、障害者に出会う機会は多いので、もともと障害者の雇用については関心を持っていました」。しかし、「直接的な障害者雇用のきっかけは2つである。一つは、行政の行う研修会で、障害者の職業訓練の様子や障害者の働いている現実を見学した際に、弊社でも雇用場所がありそうだと感じたこと。二つ目は、ハローワークが主催する「合同面接会」に参加して、我が意を得た。こんな障害者も居るんだと意識が変わったことである」。「今一つ、ずっと気持ちの中にあったことは、以前の見学会の折りに出会った、知的障害者の施設の職員に勧められ、彼の勤める施設を後日見学した際、丁度メンテナンス業者で訓練を受けている知的障害者がトイレの清掃作業をしているところに出くわした。一生懸命便器を拭き上げている数人の訓練生を見て、適性を上手に使って、きちんと教育すれば、彼等も立派な戦力になりうるのだということが、私の脳裏のどこかに有ったことも障害者雇用を是非促進したいという思いにつながっている。セミナー等での講義もいいが、目で見ることの大切さを感じています」と話された。

今回取材対象のA・B両氏も合同面接会で出会い、後日有限会社FMGにお越しいただいて、再度の面接等を行った上で正規採用を決定したとのことである。

適所への配置についての考え方は、基本的には「その人の持つ能力を見て、仕事を見つけていく立場をとりたい。今ひとつは、障害という枠で人を見ないと言うことを心がけている」と、話された。若い管理職であるが、しっかりした理念で障害者雇用を考えていることに感心した。

3. 雇用の促進、定着のために取り組んだ経緯・背景

（1）障害者を雇用する立場ではなく、○○さんという「人」を雇用する立場で

「これまで、障害者に対する固定概念に縛られていて、何らかの障害のためにハンディを持っているから障害者である。障害があることによって、能力が劣っていると考えていた自分が居た」。ところが、面接会でB氏に出会い、また、職場見学で障害者雇用についての意識変革のタイミングが重なって、雇用の方向で面接を行った。結果、「聞かなければどこに、どんな障害があるのかは外見からは分からない。人物はまじめだし、病気で退職するまでは、営業の第一線で活躍していたとのことで、応答も適切、内容もしっかりしている」。「数社の面接を受けたが、いずこも、心臓に疾患があるというだけの理由で断られたという」。「車の運転もできるという。この程度の障害の方なら!逆に、大いに採用してみようという気にさせられた」というのが大体の経緯である。障害者雇用の促進は、『固定概念の払拭』。この一語に尽きる。

（2）障害を意識するのは,障害部位に負荷がかかるとき。周囲が本人の申告を受容

B氏への配慮は、極端に心臓に負荷がかかるような業務の場合は、本人の申告を周囲がこころよく受け入れ、何らかの配慮をすることで解決する。通常の介護者が通常に行う介護業務に逐一、障害者であることを意識することは、かえってB氏へ負担をかけることになる。障害者雇用で留意すべき事項は、このように障害のある従業員の負担にならないような周囲の同僚等への『障害理解』の徹底度にある。活動制約、参加制限を本人が感じたときに『障害』を意識することになる。有限会社FMGでは、B氏へのこのような配慮のもとに雇用の安定が図られている。

また、勤務態様についても、同様な見地から配慮がされている。通常の介護補助業務の場合、3交替制であるが、心臓疾患の二人には、日勤勤務のみで対応するようにしている。

（3）給与ベースは、健常者と同一。定年は60歳、継続雇用65歳まで延長

人を採用した原点からすれば当然のことであるが、大切なことである。

（4）障害者職業生活指導相談員との定期的面談

安心感・信頼関係を構築する上でも大切であろう。

作業現場