(1)現在の障害者雇用状況
　現在郡山工場では11名の障害のある社員を雇用しており、障害別には肢体不自由1名、聴覚障害2名、内部障害2名、知的障害6名となっている。知的障害のある社員についてはBCC郡山分室（以下「郡山分室」という。）に所属し、他の社員については各部署に所属し、それぞれの担当業務に従事している。知的障害のある社員が郡山分室に所属しているのは、障害特性などを考慮すると個別的・専門的支援が必要と考えるためであり、他の分室においても、知的障害のある社員に対しては分室に所属する体制をとっている。

(2)障害者の従事業務
ア　身体障害のある社員は、総務部においては各種総務業務、生産部では製造業務、生産技術部では設備保全業務などに従事している。

イ　知的障害のある社員は、BCCに所属し、配置している指導員の指導のもと、社内の清掃、工場美化作業、社内便などの仕分け、ギヤポ
　ンプ作業、フィッティング塗装作業、砥石マーキング作業、再利用プレート塗装落とし作業などの業務に従事している。

　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　BCC郡山分室作業場入口　　　　　　　　　　　　　　　　　　　各種仕分け作業中
 
(3)郡山分室の体制など
　郡山分室は2011年4月に発足。現在、分室長1名（総務課長兼任）、指導員2名、総務担当1名の計4名の体制により雇用管理を行っている。指導員は社内外の各種研修・講習を受講し、障害者雇用の知識などを習得してスキルアップを図っており、障害のある社員一人ひとりの特性などに応じた仕事の割り振り、的確なフォローを行っている。

(4)採用活動、採用後のフォローなど
　郡山分室では障害者の採用活動も担当しており、ハローワークや特別支援学校などと連携している。例えば、特別支援学校からの採用に際しては職場実習を行うようにしており、実習の際には当該支援学校の卒業生である社員が説明を行うなど、実習生が事業所に親しみを感じやすくする取組などを実施している。
　採用後においても、ハローワーク、就労支援施設や特別支援学校と連携したサポート体制を構築している。特に、就業・生活支援センターなどの就労支援施設とは、障害のある社員との定期面談、合理的配慮に関する面談への同席、家庭内の困りごとの解決に向けた話合いなどにも間に入ってもらうなどの協力を得ており、継続就労につながっている。そうした取組の成果もあって、郡山工場がコマツの全事業所の中で障害者実雇用率が最も高い事業所となっている。

(5)その他の取組
ア　障害のある社員全員について、それぞれの所属長及び総務課長による年1回の定期面談を実施し、改善の申し出などがあった場合は迅
　速に対応している。

イ　車いすなどを使っている社員用にスライド式自動ドアや思いやり駐車場（広いスペースで出入り口に近い）を設置。また、聴覚障害の
　ある社員のために、フォークリフトの通行を前もって知らせるセンサー式パトライトなどを設置したほか、所属する部署の社員が自発的
　に手話の勉強会を実施し、互いに手話を使用してコミュニケーションを図るなどの取組も行っている。

ウ　聴覚障害のある社員用のKYT（危険予知訓練）安全活動を積極的に実施し、作業指導書に専用の安全項目を追加したほか、大震災時の
　対応用に安否確認システムを導入している。

(6)障害者雇用の取組の効果
　BCCを本社に設置することで、各事業所単位まかせだけではなく、全社的に障害者雇用を進める体制となっており、本社などが各事業所の取組などを把握し、障害者雇用のノウハウなどの情報を蓄積・共有するなど、スケールメリットを活かした障害者の雇用促進に取り組んでいる。
　郡山工場においても、障害を持つ社員もがんばることで、事業所全体の戦力になるとともに他の従業員からも喜ばれる存在になっており、職場の活性化につながっている。