当社の障害種別の雇用状況は、平成31年2月現在で　身体障害7名、知的障害7名、精神障害10名、計24名となっている。また、最近では精神障害者の採用が増加しているが、10名のうち、勤続4年は2名、勤続2年は2名、勤続1年は5名となっており、長く働いている方も多くいる。
　採用にあたっては、ハローワークのトライアル雇用を利用し、実際の職場での作業を通して本人の障害特性や採用した場合の担当業務のマッチングなどを検討するようにしているほか、特に精神障害のある者の採用面接の際は、自身の障害について理解があるか、体調が崩れそうな時に、自分から上司などに相談することができるかといったことを確認し、採用後に円滑に受入れができるように留意している。
　当初の担当業務及び職務先は、採用面接での情報や上記のトライアル雇用時の状況を踏まえ、人事担当者と現場担当者が業務への適性などを考慮して決定している。現在の24名の担当業務と人数は次のとおりである（特に業務量が多いのは惣菜製造担当作業であるが、ここには反復作業が比較的得意な方を配置している）。また、業務の繁閑に応じて、各業務間での一時的な人員の増減はあるものの、基本的には主担当となる業務を継続して行っている。

　　　惣菜製造担当　　　9名
　　　精肉製造担当　　　2名
　　　管理清掃担当　　　2名
　　　惣菜清掃担当　　　4名
　　　精肉清掃担当　　　4名
　　　販売店舗担当　　　3名

　各業務には、手順や注意事項などについて写真などを取り入れ視覚的にも分かりやすくまとめられたマニュアルが整備されている。これは、障害のある従業員向けに個別に作ったものではなく、外国人実習生やパートタイマーとして新たに雇用された従業員などに向け、誰もがすぐに作業に入れるように作成されたものであり、結果として、障害のある従業員にとっても理解しやすいものとなっている。
　主な作業の内容は次のとおりである。
 

(1) 本社工場の惣菜、精肉製造業務
　惣菜・寿司や精肉の製造補助作業として、弁当盛付けやパックシール貼り、精肉スライスやトレイ詰めといった各ライン作業を行っている。

   

　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　惣菜製造ラインでの流れ作業の様子

(2)本社工場の施設清掃業務
　各種機器を使用し、本社工場の内外、作業場や事務所、共有スペース等の清掃、自動洗浄機による床面清掃を行っている。

 

 　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　清掃作業の様子（自動洗浄機を使用した床面清掃）

(3)店舗での製造・盛付け業務
　マミーマート各店舗での惣菜・寿司の簡単な製造・盛付け・陳列作業として、盛付けのパック詰め・品出しなどを行っている。

 

(1)障害種別に限らず共通に配慮していること
ア　工場は24時間稼働しているが、障害のある従業員の勤務時間は、基本的には9時から18時としている。また、本人の希望により短時間
　勤務も可能としており、選択肢を広げ、働きやすい環境を整えている。
　　具体的な例としては、体調を崩しやすい季節には、本人の意向を確認した上で短時間勤務とする、あるいは、病状などにより午前中の
　勤務が難しい場合には、十分に回復するまでの間は勤務時間を午後のみに設定するなどの配慮をしている。

イ　入社後1か月間は終業時に本人と本人の指導を担当する従業員とでコミュニケーションノートを活用して振返りを行い、本人のペース
　に合わせて仕事に慣れてもらうようにしている。コミュニケーションノートには、その日に行った業務の感想などに加え、睡眠時間や服
　薬の状況なども記載しており、作業内容や体調を確認し、指導担当者や会社が相談や指導を行うための貴重な情報源となっている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　コミュニケーションノート用のコミュニケーションシート

ウ　入社時にセーフティネットカルテを作成している。このカルテには、家庭環境や通院、服薬などの状況、現在の症状や体調が悪くなっ
　たらどのような状態になるのか、本人からのSOSのサインはどのようなもので、どのように対応するとよいのかなどがまとめて記載され
　ており、このセーフティネットカルテを通じて、障害のある従業員本人と、職場の上司、人事部門が、障害や配慮に関する共通理解を持
　つことができるのが最大のメリットである。あらかじめ把握されている情報に基づき、常に体調の変化に気を配り、雇用の継続に努めて
　いることに加え、万一、体調を崩すような状況になったとしても適切に対応することができる。このカルテは現場の担当者が異動などに
　より変更となった場合でも、かならず引き継ぎされており、障害のある従業員への継続的な対応が可能となっている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　セーフティネットカルテ

(2)特に精神障害のある従業員への配慮
ア　本人と職場の指導者、人事の担当者とが定期的に面談する機会を設け、その中で1年間の目標を作成し、「欠勤しない、挨拶をする」
　などの目標を立て、目的意識をもつことで労働意欲を高めたり、スキルアップに向けた配置転換を働きかけたりしている。
　　職務に習熟するまでは、現場のスタッフは根気強く丁寧に教えることとしており、また、業務繁忙時には「君を頼りにしている」「皆
　が必要としている」などの声かけを周りの従業員から意識的に行い、周囲からの期待や役割を伝えるように心がけている。

イ　支援センターを利用していない者については、本人の了解を前提に、最寄りの支援センターに登録し、対人関係での悩みがあった場合
　には、支援センターの担当者が一緒に面接するなどの協力体制を築くことで、定着化を図っている。