地域障害者職業センター（以下「センター」という。）のジョブコーチ同席のもとで面接を行った。

面接時に工場見学をしたが、短い期間での職場体験等では、対象者の適性を見極めるのは難しいと判断し、入社後様々な部署で働いてもらうことで、時間をかけてどこの部署が一番適当であるか見極めこととした。
なお、採用に際しセンターのジョブコーチ支援を利用した。

所属先の部署が少人数ということもあり、上長だけでなく職場の先輩も対象者に指導をしている。

入社前からジョブコーチを通して、作業の説明は一つひとつ区切ってほしいとの要望があった。対象者が丁寧な説明を必要としていることを、周囲が理解しているため、説明時は一つひとつゆっくりと説明し、理解したことを確認した上で、次の説明に進むようにしている。それでも、作業手順を間違うことがあったため、対象者用に、作業手順に数字で順番をふるなどわかりやすく記載したマニュアルを作成することで、間違いが減った。

特別の配慮は講じていない。

インクの調合・充填作業を行う場所は、対象者にとって集中しやすい作業環境としている。

事業所では、新入社員は入社時に朝礼で社員向けに紹介をする慣例があり、対象者も自己紹介をしたが、その時に全社員に対象者が発達障害であること、丁寧な説明が必要であることを、本人の了解を得て人事担当者から説明した。これにより、対象者に話しかけても返答がなかったり、対象者は困っているときでも自分からまわりに助けを求めたりすることができない場合があることが社内で理解され、社員誰もが手助けをできるよう意識付けることができた。

入社後1年ほど経過した頃、仕事の習熟度は上がったものの、当該部署では安定的に作業を進めていくことが難しい場面も散見されるようになったため、ジョブコーチの同席を得て、話し合いを行った。その上で、ジョブローテーションの一環として、対象者の障害特性に合った、少人数のより適当な部署への配置転換を実施した。結果として、安定して作業に取り組み、集中できるようになった。