本事例の事業所はサービス業（人材関係）関連の企業グループの特例子会社（以下「同社」という。）であり、全国約10カ所の事務所（ブランチ）のうちのひとつ（以下「Aブランチ」という。）における事例である。
同社では障害者の採用面接に際し、事前に応募者と交通手段の確認等を行い、無理のない面接日時の設定を行っている。また、応募者の急な体調不良にも対応しており、面接日の変更等も柔軟に行っている。
本事例の対象者（以下「対象者」という。）の面接に際しても、Aブランチは事前に本人と調整し、面接日を設定している。なお、Aブランチが入居しているビルにはエレベータが設置されており、対象者のような下肢障害者にとっては移動しやすい環境となっている。

必要ならば介助者・支援者の同席を認めている。

同社では障害の特性に応じた業務を請け負い、障害のある社員一人ひとりの業務における得意・不得意を上司が把握し、得意分野の業務を主に担当するようにしている。業務遂行上事業所内において業務バランスが取れ、個々が過度なストレスとならないよう配慮されている。

つまずきや転倒防止のため、机の配置は事務所の中央スペースに置き、コピー機等の関連機器や棚を外側に配置するなど、極力不要な物品の配置を行わない。また、物品等の配置による出っ張りを避け事務所内を移動しやすいレイアウトとしている。

パソコン操作で、机の高さにより画面が見にくいなど不都合が生じた場合には、パソコンの高さを調整する台などを用意している。また、現在使用しているノートパソコンの画面が小さくみえにくい人には、画面拡大用のモニターも用意している。ノートパソコンのフラットキーボードでは操作しにくい人には、通常のキーボードを用意してる。

全社的にトイレには手すりが設置されている。

室内空調で温度管理をしているが、個人ごとに状況は異なることから、各自に体温調整のための服装を容認している。

フレックスタイムを制度化しているので、通院等がある場合はフレックスにより弾力的な出退勤が可能である。
年休付与は入社6か月後となるが、入社後に2日間の特別休暇を付与している。
健康管理面において、現在、本社（東京）に精神保健福祉士と保健師が配置され全国の社員へのサポートをしている。就業場所が遠隔地である者については、社内LAN（テレビ電話）による相談体制を取っており、必要に応じて直接の面談等も行っている。
Aブランチは遠隔地にあるため、前述の体制によるサポートを受けているが、将来的にはAブランチのある地域ブロックにも健康管理に関する専門家の配置を同社では検討している。

障害特性等を理解するために外部研修に参加して障害に対する理解を深めている。

自宅から事業所までは徒歩及びバスを利用しての通勤であったが、足に負担がかかり著しい痛みが伴い仕事にも影響することから、重度障害者等通勤対策助成金（駐車場の賃借助成金）を活用し勤務事業所ビル内の駐車場を確保することにより自家用車通勤ができ、安定した雇用につながっている。
携帯電話を配備して緊急連絡に活用したり、雪等の気象条件による通勤が厳しいときには会社から本人に出勤しないように連絡し安全面の配慮を行っている。