本事例の対象者（以下「対象者」という。）は就労支援機関（以下「支援機関」という。）の支援を受けており、ハローワーク主催の合同面接会に参加し、本事例の事業所（以下「事業所」という。）での面接に至る。面接時には支援機関の職員が同席した。

面接後には現在の所属部において、5日間の職場実習を行い、対象者の能力や、周囲の職員とのコミュニケーションの状況等を踏まえ、採用となった。

支援機関から、障害の程度が、比較的軽度であることを聞いており、コミュニケーション等に特段の問題はなかったものの、人事部の副調査役を担当者に選任することとした。また、業務指導に関しては、所属部署の上席者が担当した。

ルーティン業務を一つずつ習得していくことを基本に、対象者の体調等に配慮しつつ、余力があるときにプログラミング等の業務を指示している。また、所属長との面談や評価のフィードバック等を通じて、所属組織の目標の共有を図っている。

定期的（毎月1回）な通院が必要なため、上席者は休みやすいように業務面で配慮しており、対象者は有給休暇を使って月1回の通院を欠かしていない。なお、事業所全体としても全職員が有給休暇を取得しやすい職場作りに取り組んでおり、休みやすい環境にある。

配属部署は、入室できる職員が限定されていることもあり、休憩で独りの時間を確保できる環境にある。

述のようにルーティン業務を一つずつ着実に習得しながら、体調面等にも配慮しつつ、仕事内容や仕事量を随時調整し、ステップアップしてきた。その結果、現在、システムエンジニアとして、プログラミング等の業務をこなしている。

本人の了承を得た上で、所属部署内の職員に、障害の内容や経緯等の概要を説明し、共有することで、全体的に当人への配慮が行き届くように徹底した。また上席者が、通院の予定や当人の体調を踏まえて、業務内容の調整をしている。

対人面への配慮が必要だったことから、「電話応対なし、対人応対なし」の状態から業務を開始した。今では、その懸念を払拭できたのか、電話対応もできるようになった。