なし（実習、企業内訓練実施後本人の意思を確認し、そのまま採用に至ったため、面接・採用試験は実施しなかった。経緯は下の「その他の配慮」欄を参照）。

なし（前項に同じ）。

・採用までの経緯
本事例の対象者（以下「対象者」という。）は、本事例の事業所（以下「事業所」という。）における最初の障害者雇用事例。「障害者雇用は企業の社会的責任」の社長方針に基づき、準備・採用活動を開始。
まず、地域障害者職業センター（以下「職業センター」という。）の職員を講師に社内研修を開催（平成26年4月）。次に職業センターの助言を受けながら採用活動を開始（5月）。職業センターから障害者職業能力開発校（以下「能開校」という。）で訓練生であった対象者を紹介される。対象者は能開校の職員とともに事業所を見学（7月）、就職希望との意向を示したことから、8月に2週間の職場実習を実施した。実習前には事業所において、能開校、職業センター、ハローワークの職員もまじえた打合せを行い、採用に向け、連携していくこととした。
実習終了後には、開発校の「企業連携職業訓練制度(＊)」を活用し、9月と10月の2回（各2週間）に分け、企業内訓練を実施した。

(＊)企業連携職業訓練制度は、（独）高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する能開校が企業と委託契約を結び、訓練生が企業で実地訓練を受ける制度。能開校が訓練生の障害特性・職業適性と企業のニーズ等を考慮した特注型の訓練メニューを作成し、それにもとづく企業内訓練と就職支援・雇用支援が行われる。

1回目の訓練は、通勤のシミュレーションおよび、業務の概要を理解することをメインに実施。終了時の面談で、対象者に入社希望があることを確認した上で、採用に向け「どの業務を担当してもらうか」を事業所内で具体的に検討した。これらを踏まえ、2回目の訓練は配属予定の部署で実務を体験。2回目の実習結果を踏まえ、11月から正式に雇用となった。

1.採用から1年間は、同じ業務グループ（総務経理）の社員1名を担当者として定めた。1年経過後は特に担当者を定めず、グループ内の社員が各自直接業務の依頼等を行っており、現在問題はない。

2.採用から1年間、地域センターのジョブコーチ支援を活用した。ジョブコーチは2名が派遣され、業務の指導に加え、異性に伝えにくい身だしなみの指導は同性のジョブコーチが行うなど、具体的なアドバイスなどを得ることができた。

1.「ちょっと待って」ではなく、「5分待って」のように、具体的な指示を心がける。

2.業務の流れや全体像などを、フローチャートや図で説明。理解するまでは多少時間がかかったが、一度理解すると問題なくできるようになった。

対象者はバスで通勤（他の社員は自家用車通勤）。本数が少ないため、バスの運行時間に合わせて退勤時刻を少し早めることがあった（現在は定時退社でも間に合うため、そのような配慮はしていない）。

1回目の企業内訓練が終わった後、社員向け研修を実施。採用予定である対象者の障害の内容や特性、一緒に仕事をするうえでの留意点、配慮すべきところについて学び、社内で共有した。

対象者への対応を担当者一人に任せきりにするのではなく、周囲は担当者の他業務やメンタル面のフォローに回った。例えば、社長は対象者と「交換日誌」をやりとりし、日々の様子や不安、相談事などを直接聞くようにしていたが、これは、担当者の負担を軽くする、という狙いもあった。
また、社長自ら指導役となり、社長室で業務の進め方やビジネスマナーのレクチャーなども行っていた。「まずはトップが実践し、その姿を社員に見せる」ことで、最初は障害者雇用にネガティブなイメージを持っていた社員も、徐々に意識が変わっていったと感じている。（現在は、社員みんなが「障害者」ではなく、「●●さん」という個人として対象者に接している）