本事例の事業所（以下「事業所」という。）が対象者（以下「対象者」という。）を採用したのはハローワーク主催の障害者合同就職面接会が契機。対象者は障害者就業・生活支援センター（以下「支援センター」という。）の利用者であり、2回行われた面接（面接会での一次面接とその後の二次面接）には、支援センターの職員が同席している。

対象者本人の希望で、地域障害者職業センター（以下「職業センター」という。）のジョブコーチ支援制度を利用することとした。

対象者から指導担当者を同性の職員としてほしいとの要望があり、同性の職員を担当とした。

事業所として対象者向けのマニュアル等は特に整備していないが、作業指示はできるだけメールやメモで行うようにしている。口頭での指示についても対象者本人が自発的にメモを取り、正確さを期している。また、本人はメモ等をまとめて「To Doリスト」（やることリスト）やマニュアル等を作成し、活用している。

勤務時間は一日6時間で、特に定時以外の休憩時間は必要としていない。通院は年休を利用して行っている。

視覚過敏でまぶしさを感じやすいため、医師に処方された遮光眼鏡の着用を認められている。

勤務初日に、対象者自身が自分の障害特性及びそれに関する対応等をまとめた「自分の取扱説明書」を上司に提出し、部署全員に理解してほしいとの要望が出された（「取扱説明書」は対象者が発案し、障害者支援施設の担当者と相談して作成したもの）。事業所では「取扱説明書」を参考に、該当する社員への説明、対応依頼を行った。

採用面接時に障害特性上電話応対は難しいとの申告を受け、原則、業務から外している。
採用当初は週1回の頻度で職業センターのジョブコーチによる訪問・支援を受けていたが、現在は、2か月に1回程度の支援となっている。必要な場合はジョブコーチが対象者の状況や考えを把握し、事業所側と共有することとしている。