平成30年（2018年）8月より障害者雇用管理・就労支援体制の整備に着手した。同年9月には人事部門の社員が企業在籍型職場適応援助者（ジョブコーチ）養成研修を受講し、ジョブコーチの資格を得た。そして、同年10月から愛知障害者職業センター（以下「職業センター」という）によるジョブコーチとのペア支援をはじめとした支援機関のサポートを活用しながら、本人への支援・指導を開始した。
　また地元の障害者就業・生活支援センター（以下「支援センター」という。）との連携による支援も行うこととした。
　支援内容は、大別すると「基本的労働習慣に関する支援」と「業務遂行に関する支援」である。
　「基本的労働習慣に関する支援」にあたっては、支援センターとの連携・役割分担により対応することとし、医療・健康管理面などの時間的な生活習慣の乱れについて当社と情報共有し、支援センターが中心となって支援を担当している。
　「業務遂行に関する支援」については、職業センターのジョブコーチと当社の企業在籍型ジョブコーチがペアで支援を担当している。
　「業務遂行に関する支援」の具体的な取組としては、まずは社内体制の整備として、職場の上司、ジョブコーチ、総務担当者それぞれの役割分担を決定し、関係者を対象に障害特性や指導方法などに関する勉強会を実施した。また、Aさんの担当業務の見直しを行うとともに、写真付き業務手順マニュアルを作成し、これに基づく指導に加えて、業務計画・予定表や業務進捗状況グラフ資料を作成して仕事量の見える化を行い、本人にとって伝わりやすい指導を行っている。
　そのほかにも、Aさんへの働きかけとして、上司が本人と相談しながら、「目的（安定就労を目指す）」、「目標（出勤率80％以上）」を一緒に決め、その後の面談を通じて目標達成状況や課題を共有するとともに、社会人としての自覚を持たせるためにマナー教育の定期的な実施や、一日の仕事の終わりに生活面（体調、起床・就寝時間、身だしなみ等）のチェックを一緒に行っている。
　こうした取組を始めて6か月が経過し、出勤率は95％まで改善が見られ、業務遂行面では新しい仕事に意欲的に取り組み、正確さや習熟も見られている。しかし、生活面の課題については、時々欠勤がみられ、現時点ではまだ安定就労ができていない状況がある。引き続き関係機関と連携し、支援を行っていくこととしている。
　他方、関係機関と連携した取組により、当社は障害者の雇用管理・就労支援に関する経験やノウハウを習得できつつあり、関係機関とのネットワークも構築することができ、障害者雇用を進める基盤づくりができたと考えている。