事業を開始した当時は、障害者の雇用ということは、まったく考えていなかった。栃木県立益子特別支援学校のある教諭の情熱ある勧めに応じて、平成15年3月に同校の卒業生を1名雇用した。このことは、当社の障害者支援の大きな一歩となった。その後、毎年一名ずつ採用した結果、同校卒業生が大きなグループを形成した。同校の卒業生は12名在籍している。最初の就労者は現在35歳になった。
　令和2年より青葉高等学園の卒業生の採用を始め、現在は在籍1名、来春に2名採用予定である。その他は5名である。
　同一学校卒業生を継続して採用することは大きな意味があると考えるようになった。在校当時の人間関係がそのまま継続されるので、定着率が高くなるはずだ。入社時から、知っている人間と一緒に働けることは、障害者にとって、大変うれしいことだと思う。
　芳賀工場で行っている廃棄遊技機の解体業務は、大きな特徴がある。それは、この作業が素材をリサイクルする目的で行うもので、製品を作るのではないということである。したがって、納期がなく生産性を厳しく求められることもないし、素材は原料として使うのでキズ等つけても問題にならない。当社では、障害者が自信を持って作業を行えるようになるまでは指導を行うが、その後は本人に任せて作業を行ってもらっている。
　遊技機は、娯楽を目的とした製品なので、愛好者に楽しんでもらうため、色彩が鮮やかに出る高価なプラスチックを大量に使っている。また、フィギュアが付いていたり、アニメが描いてあったりする。廃棄物とはいえ、汚れもほとんどない。このような製品を扱うことは、障害者には楽しいことだと思う。
　解体作業では、ねじを1本1本外していく。これは製造の逆工程である。作業により、はっきりと製品の形が変わり、自分の作業の効果を確認できることは励みになる。また、遊技機は使用されている期間が他の製品に比べると圧倒的に短く、高価な部材が多いので、これをリサイクル、リユースする意義は大きい。

 
　T・Hさん(21歳)男性の話

　作業の中で一番楽しいのは、やはり解体です。この工場ではパチンコ台やスロット台の本体だけでなく、中の小さな部品を解体することもあります。毎日同じ作業をするわけではないので、変化があっておもしろいです。時々難しい台がありますが、他の人と協力をして解体しています。難しい台が解体できるようになることはとてもうれしいです。
　一緒に働いている人は優しくて、いろいろな話を聞いてくれます。休憩の時間や、お昼の時間は仲のいい同僚と会話を楽しんでいます。また、年に数回、社内でイベントがあるので、それも楽しみです。
　解体が好きなので、この会社は合っていると思います。これからも頑張っていきたいです。