対象者は緊張しやすい傾向があるため、就労支援機関の職員に同席を求め、本人の不安を取り除くよう配慮した。また、面接場面では難しいことは聞かずに、まずは本人の好きなことや得意なこと、趣味など答えやすい質問から始めるなど、和やかな雰囲気を作るように配慮した。

対象者は調理補助として入社し、施設の厨房に配属され、厨房職員の指導を受けながら盛り付け等に従事した。作業に際しては職員が一緒に作業するなかで具体的に指導した。しかし、言語指示や見本どおりの量が盛り付けられないなど、盛り付けには向かないと判断された。そのため、食札を数えるなどできることを行い、職員が何度も確認し、食札数えのミスをなくすよう指導した。

・盛り付けには不向きなため、厨房は午後の勤務とし、午前中は介護補助として施設利用者へのお茶出し、茶碗洗い、ホール見守りをするようになったが、当初は利用者とのコミュニケーションがとれず苦戦していた。しかし、ほかの職員と共に利用者と関わっていくなかで克服していくことができた。
・読み書きが苦手であったため、国語力向上のため一時期は業務日報を記入していたが、現在は介護研修で報告書を文章にまとめて書くことと感想を記入するように指導している。　
　次に作業場面と研修報告書の写真を掲載する。

作業風景1「施設内での利用者介助」

作業風景2「厨房での食器洗い」

「研修報告書の記入例」

現在でも作業の持続力や確実性が低下することがあるが、そうした場合には、その都度作業のミス等がどのような影響（利用者の不便、職員の苦労など）を与えるかを説明し、本人にも考えさせ、ミスなどを今後しないよう話し合う場を設けている。

対象者の勤務時間や休暇等については他の職員と同じで、特別の配慮はしていない。
勤務開始時刻の必ず30分前には出勤し、準備をしている。

対象者の障害特性や配慮事項等については、本人の同意を得たうえで、事業所の本部から施設の管理者・配属部門の責任者に伝えられている。