面接時には前勤務先の担当者、障害者就業・生活支援センター（以下「センター」という。）の担当者、親が同席し、対象者の障害特性等の共通認識を図ると同時に、採用後の円滑な受け入れに向けた話し合いが行われた。

担当する職場で一定期間の実習を行い、更に3か月間のトライアル雇用において、障害者本人、事業所、親等の関係者が事前に仕事に対する理解や認識を深めることでスムーズに職場に馴染めるような対策をとった。

対象者がコミュニケーションや時間管理を苦手としていることから、現場に混乱が生じないように、担当者を所属部署の係長とし、キーパーソンとして、日々の業務指導にあたることにした。また、担当者が不在の時や業務量が増大する時期等は、他の職員に任せるのではなく、障害者雇用の責任者である事務長がバックアップする体制とした。

センターの担当者からの指導や助言を受けて、現場から仕事の切り出しを行い「業務管理表」にまとめた。この「業務管理表」を所属部署の係長、事務長と本人が日々の仕事の進捗管理に使用している。

・採用当初は1日4時間勤務としていたが、「業務管理表」に基づいて少しずつ仕事の幅を広げた結果、現在では1日5時間勤務を継続している。
・片道40分の自転車通勤を継続しているが、通勤途上の事故等が発生した場合の不安があり、センターと協議を重ねている段階（他に交通手段がなく、対象者が自転車を好んでいることもあり、変更するにはしばらく時間がかかる見込み）
・体調面の不安はなく、昼休み以外で勤務時間内に休憩時間を設けていない。

医療業であることから現場での混乱を避ける意味で、採用前後に職場全体に障害特性等の周知を行った。採用当初は対象者が早く職場に馴染めるように職員に対して積極的に声かけをするよう要請した。

センターの担当者における継続的な支援を受けている。出勤時間の遅れや業務の停滞等の事案が発生すれば、センターの担当者が事業所、本人と面談を行い、対象者の状況等を踏まえて、今後の支援内容を修正する等の対応も行っている。また、家族と面談する必要があれば、センターの職員が家庭訪問を行う等継続雇用に向けて重要な役割を果たしている。また、定期的にジョブコーチにもアドバイスをいただいている。