取組内容で述べたように、当法人では業務ありきではなく、その方に合った業務・就労時間を設定するようにしている。
　しかしながら、これまでを振り返ると、配属施設側に人的な余裕のない時や、新規事業が始まったばかりで業務全体の態勢が定まっていない時には、ご本人の意思に反して実習から先に進めることができなかったことがあるのも事実である。
　人材募集を行う多くの事業所では、新たに雇用した者は即戦力として期待される現実がある。そうした中では、先に述べたようにじっくりと時間をかけて業務・就労時間を設定していくことが困難な状況もあるというのは、当法人の理事長である筆者も痛切に感じていることである。
　しかし、一方で「障害者雇用の経緯」で述べたように、今後、福祉現場だけでなく全職種・全事業において今後の生産年齢人口が減少していく（＝労働力人口も必然的に減少）という現実が待ち構えており、常日頃から有資格者などが担う直接業務と、有資格者などでなくても従事できる間接業務とを分類し、間接業務の中から先のようにご本人に合った業務・就労時間を設定する。そして、ご本人のスキルアップ（働く力・関わる力の向上）を促し、それに合わせて業務内容・就労時間も変更させていくという取組が必要であると考えている。
　同時に、そうした取組や成果を当法人だけの力にするのではなく、地域の様々な企業や団体に広げていくことが必要だと考えている。
　また、一連の取組には教育機関や就労支援機関などとの連携が重要と考えている。支援機関の専門家が関わることで企業などの負担を減らし、無理のない障害者雇用が実現する。そして、障害者雇用の進展という福祉課題と、人材確保という地域課題を解決の一助となると考えている。
　今後はこうした想いや取組を持続可能な形にして、更に取組を進めていきたいと考えている。