北陸電力ウィズスマイル株式会社（以下「当社」という。）は、あらゆる個性を尊重し、皆がいつも笑顔で働き、社会のなかで輝ける場所をつくりたい。そして、障害のある社員と障害のない社員が協力しながら日々自分の可能性に挑戦し、互いに切磋琢磨しながら成長していく。社名のとおり、「笑顔で共に」輝ける会社を目指している。

　当社の親会社である北陸電力株式会社（以下「北陸電力」という。）では、主に身体障害者の雇用を促進してきたところ、多様な個性を尊重する社会の変化や、令和3（2021）年4月までに障害者の法定雇用率が2.3％に引き上げられることなどを踏まえ、精神障害者や知的障害者のさらなる雇用も進めていかなければならないと考えた。
　しかしながら、精神障害者や知的障害者を雇用するノウハウがなく、そうした障害に応じた準備・配慮が不十分なままで雇用を進めれば、職場への負担が大きくなるばかりでなく、障害者にとっても働きにくい環境となってしまう恐れがあると考えた。さらに、採用した障害のある社員の継続的雇用が困難となれば、その社員にとっても自信をなくしてしまう経験となる。そこで、障害者が働きやすい環境を整えるため、特例子会社を設立することとした。
　令和元（2019）年10月、ハローワークに相談したところ、富山障害者職業センター（以下「職業センター」という。）を紹介された。職業センターでは、障害者を雇用する事業主を支援するためのワークショップを開催したり、障害者を雇用するためのマニュアルや好事例集を提供するなど、障害者雇用の支援に関わるさまざまな情報を発信しており、採用に関する助言などを得た。また、数々の特例子会社の立ち上げに携わっている障害者雇用支援ネットワークコーディネーター（注）を紹介いただき、設立までのノウハウを教えていただいた。さらに、県内外のほかの特例子会社を訪問して、実際に障害者が働く様子を見学したり、業務内容や体制づくり、雇用条件などについても話を聞かせてもらい大変参考になった。そして、令和2（2020）年3月、北陸電力グループ内でやり取りされる社内便の集配や書類の電子化作業などのオフィスサポート業務を担う特例子会社、「北陸電力ウィズスマイル株式会社」を設立した。

　注：（独）高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する中央障害者雇用情報センター（東京）に配置されており、民間企業での障害者
　　　雇用の経験をもとに企業への相談・支援を行っている。

　ハローワークや職業センターに相談し、障害者合同面接会に参加することからスタートした。また、特別支援学校生徒の職場実習を受け入れ、生徒や保護者に当社を知ってもらえるよう努めた。
　そして、障害のある社員をサポートする社員（以下「支援スタッフ」という。）を募集し、これまでの職歴や経験を踏まえ、令和2年3月に2名を採用した。採用後には、ジョブコーチや障害者職業生活相談員の資格を取得してもらい、適正なサポートが行えるように配慮した。令和2年5月に5名の障害のある社員を採用し、7月から操業を開始した。その後も社員を採用し、現在は、障害のある社員10名に対して、支援スタッフ3名を配置している。

　オフィスサポート業務の正確性をさらに高め、グループ内の多くの企業からより信頼を得られるよう今後も取り組んでいきたい。そして、新しい業務にも積極的に挑戦し、業務の拡大を進め、障害者雇用の更なる促進を図っていきたい。
　当社は、障害のある社員にも、一人の社会人として責任をもって仕事に取り組んでほしいと考えている。そして、全社員が、やりがいを感じて仕事ができるよう支援をしていきたい。
　また、課題が生じたときには、障害のある社員、支援スタッフと共に考え相談し、切磋琢磨する。そして、困難を乗り越えたときに、みんなで達成感や喜びを感じられる、そんな社員みんながイキイキと働ける職場環境・人間環境の実現を目指している。