事業所としては、事前に支援学校の進路指導担当教諭が面接時に同席することを想定し、試験当日も教諭が同行していたが、当日の対象者の意思を尊重し、同席はしなかった。

・就労前に、支援学校からの要請を受けて、2度にわたる職場実習を実施した。
・対象者が幼少の時から交通インフラ（バスや電車）に対する強い関心と興味があったことや、実習時の作業ぶりから、パソコンによる入力作業を中心とした作業内容もある程度遂行できる見通しであったことから就職に結びついた（配属先は実習を行った営業所）。

知的障害のある者の雇用は初めてということもあり、本社人事課長、営業所所長が中心となり、日常的な勤務、及び業務指導や相談等の体制を慎重に構築した。
また、直属の上司である所長並びに課長に人事課での勤務経験があったことから、障害者雇用に関する理解が深かったことに加え、事業所内での課題等を本社人事課と共有することで、総合的なバックアップ体制が取れたと考えている。

対象者がパソコン操作を得意としていたこともあり、当初はパソコンを使った入力業務が主であったが、現在では簡単なチラシの作成等、新たな業務への意欲を見せており、仕事の幅が確実に広がっている。

入社当初は先輩社員によるマンツーマンでの指導が中心であったが、仕事の習熟により現在では日々の仕事のスケジュールを自分で立て、運行記録の入力も自分で行えるまでになった。
問題や困ったことが発生した場合は、スタッフみんなでフォローする意識を持っている。

採用時、自宅に比較的近い職場での勤務も想定したが、本人が職場実習で現在勤務する営業所に対し良い印象を持っていたことに加え、バスへの関心が強く、乗り換えも苦にならないことから（逆にバスに乗れる喜びがある）、本人の希望を優先し、自宅からは少し遠い今の職場への配属となった。
ただし、通勤に負担が生じていないかは営業所長他直属の上司が本人に常時声掛けする等で気を配っている。

知的障害のある者の雇用は初めてであったが、前述の通り、直属の上司である所長並びに課長に人事課での勤務経験があったことから、元々障害者雇用に関する理解は深かった。

支援学校在校時に、職場実習（2回・計3週間程度）を経験していたこともあり、入社当初から会社の環境や雰囲気に早く慣れ、事前に想像していたほど、特別な配慮は必要なかったと考えている。
なお、今後就労上の課題等が生じた場合は、出身校の進路指導教諭等と連携し解決にあたる方針である。