・本事例の事業所（以下「同社」という。）は特例子会社であり、障害者の採用にあたっては支援機関との連携をとっており、必要に応じて本人同意のうえで面接に先立ち支援機関からの情報の聞き取りなどを行っている。
・同社は在宅勤務での障害者雇用にも取り組んでおり、対象者も在宅勤務での求人に応募、採用された事例である。
・在宅勤務を前提とした採用にあたっては、採用前に同社の精神保健福祉士が自宅訪問、支援機関との面談、通院している者については通院同行などを行い、採用後に必要な配慮事項の確認や連携体制の確立に取り組んでいる。対象者についてもそれらの取組を行っている。

　在宅勤務の障害のある社員に対しては、就労支援担当部署であるワークサポートチームの精神保健福祉士を支援担当者として定め、常時、チャットで「困り事（SOS）」等を発信できる体制にしている。一方、精神保健福祉士も週1回（障害特性や体調により頻度は変化）、チャットで声掛けを行い、必要に応じ、オンラインでの面談を織り交ぜながら対応するとともに、月1回はオンラインでの定期面談を行っている。
・対象者への業務指導は開発部のチームリーダー(課長職)及びインストラクターが障害特性に応じて行っている。また、本社のチーム内に、オンライン用のタブレットを1台設置しており、MicrosoftTeamsを活用し在宅勤務者とオンラインでのコミュニケーションを図っている。
具体的には毎日（朝・夕2回）のミーティング及び週1回のチーム会を行うことでチーム内の意思疎通を行うなど、在宅による孤独を感じさせないようにしている。業務指示は主にチャットで行っている。（Webカメラで、在宅勤務者はオフィス側の状況を常時見ることができる。音声もつながっており、オフィスの社員と常時会話することも可能である。）

・必要な指示は文章にして、事前に渡した上で説明を実施する。
・口頭で指示した内容のうち、重要な箇所は文章で残す。
・計画したスケジュールの中で、先に見通しを立てたうえで作業に入ってもらう。
・MicrosoftTeamsの画面共有機能を利用し、認識の統一を図る。

・フレックスタイム制（コアタイム11時から15時）を導入しており、社員の状況に応じて1か月の中で勤務時間の調整が可能である。
・有給休暇に定期通院を充てざるを得ない社員に対し、有給休暇を取得しきった場合には最大6日の特別休暇（無給）を使える通院休暇制度を設けている。
・長期療養が必要な社員については病気休暇（有休・療養期間が4日以上3か月以内であること）の取得が可能である。

在宅勤務により、聴覚過敏等の対象者の特性に応じた作業環境を提供している。

・障害のある社員については、各人の特性等をまとめた社内共有情報シートを本人と精神保健福祉士の協働で作成し、上司やインストラクター等本人に関わる関係者に開示している。シートの内容は必要に応じて更新している。
・障害のある社員のそれぞれの障害特性や希望する配慮事項について、本人の了解のもとに全社昼礼において本人から話してもらうこととしている。

・本人が登録している障害者就業・生活支援センター等の支援機関と社内の担当者が必要に応じて電話、メール及びオンラインで支援者会議を行い、情報を共有し、意見交換を行っている。