本事例の事業所（以下「事業所」という。）では、障害者との面接時に本人からの希望があれば、家族・学校関係者・支援機関の担当者などの同席を認めている。対象者についても、本人が支援を受けている障害者就業・生活支援センター（以下「支援センター」という。）の担当者が同席している。

障害者雇用について、事業所では次のような取組を行っている。

・採用における取組として、中途採用に関しては会社が期待する業務適性を明確にしたうえで公共職業安定所・養護学校・障害者支援機関と連携しながら募集を進めており、就職希望者には面接前の職場見学を積極的に勧めている。また、市・ハローワークが主催する障害者就職面接会等にも毎年参加・募集している。
・新卒採用に関しては県の教育委員会の「高等学校就職支援教員」（ジョブ・サポート・ティーチャー）と連携した職場体験（半日程度）や職場実習（数日から三週間程度）の受け入れを行っている。
・職場実習（以下「実習」という。）は、適切な採用や就労継続に有用と考えている。そのため、採用後のミスマッチを防止することを目的に「障害者就職チャレンジ事業」等を活用し、特に採用時には実習参加者が会社や職場にどのような配慮を望んでいるかを重点的に本人や関係者（学校・支援機関）からヒアリングし、実習期間中での就業環境の整備に取り組んでいる。
・採用後も総務人事と配属部門が常に障害のある従業員の身体面・情意面の状態を共有するため、定期的な面談とフォローを実施している。
・配属に関しては、本人の希望も含めどのような適性があるかを研修中に確認し、各工程長が協議し正社員登用時に決定している。
・本人のやりたいこと・できることを増やしたい社員には、様々な作業にチャレンジする機会を設け、仕事の幅が広がるような取組を実施している。その結果、チャレンジした作業ができるようになり、仕事の幅が広がっている。

障害のある従業員が配属された部門では、各部門で現場責任者を決定しており、課長、係長、または先輩が担っている。
業務内容に関しての説明と指示、相談などは課長が現場責任者となっており、定期的に声掛けをして対応している。入社してしばらくの間は、週1回の面談を実施して当該従業員の悩み・心配などの把握に努めている。

業務については、それまでの業務内容・勤務状態を把握し現場責任者からの聞き取り、本人の意向なども考慮し総合的に判断し決定している。

対象者の担当業務（包装・梱包等）では扱う商品が多品種にわたっており、どの段ボールにどの商品を入れるのかわかりにくいものに関しては、写真等を用いて箱のサイズやテープの色等が分かる早見表を作成し、入れる個数についても対象者が判断しやすい10～20個の個数にするようにしている。

障害のあるなしに関わらず、従業員は始業時に体調に関して記入する用紙（入室チェック表）があり、管理課が体調不良等にチェックの入っていた従業員に対して聞き取りをして、現場責任者へ報告している。
また、体調が悪い場合は事前に上司や周囲社員へ報告をするようにしている。
朝礼時において、顔色や表情を確認し、ふだんと異なる兆候が見られた場合は他の従業員がいない時・場所で聞き取りをしている。

障害の特性や必要な配慮等については、障害のある従業員本人にどこまで話をしてよいのかを確認したうえで、配属先の全員に周知している。
また、人事・労務関係の管理職に関しては、労務管理上障害の特性等を把握しておく必要があるため、情報の共有を行っている。

・対象者については、支援センターの担当者が対象者の相談役となっており、相談内容については必要に応じ、事業所に内容をフィードバックされる体制を構築している。
・対象者が、文章作成が苦手であるため、毎日の日報については同じ工程を担当している別の従業員を担当としている。