・本事例の事業所（以下「事業所」という。）ではインターンシップ制度を導入しており、対象者も面接前のインターンシップで全工程作業を経験することによって、仕事の内容を理解した。
・対象者は、応募時は特別支援学校に在籍中で、面接時には特別支援学校の先生も同席し、対象者の希望する溶接加工の仕事の説明も行なった。

知的障害者に対する接し方について、高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者雇用に関するマニュアルなども参考にした。

溶接作業

・現場のリーダーが指導担当者（以下「指導者」という）となり、対象者と同行し、ヒヤリハット活動、KY活動、安全パトロール活動などに積極的に参加させ、労働安全教育を行なうことで安全な行動をとるよう意識付けをした。なお、対象者は入社2年目ながら、安全衛生委員に選出された。
・新たに障害者職業生活相談員の有資格者を配置した。対象者と常にコミュニケーションをとってもらい、気軽に話せる場所づくりをすすめている。

・指導者は定期的に技術・技能などの勉強会で、レベルに応じて教育をしている。
・社内インターンシップの実施の際には、他部署にて交流を深め、他工程の研修を通して段階的に技術・技能の向上を図っている。現在、対象者は溶接加工のほかに、プレス加工や部品供給係もこなしている。

・マニュアルは実際の写真やイラストを活用することで、理解しやすいよう工夫している。　　　　　　　　
・支援者はまず「やって見せる」、次に対象者に「やってもらう」、対象者ができたら「しばらく一人でやってもらい、出来具合を確認する」という繰り返し手順で習得できるようにしている。　　　
・作業手順等はまとめて説明するのではなく、工程や作業ごとに細分化し、疑問点がないかを確認しながら説明する。

勉強会

マニュアル

・日々の体調管理には留意し、具合がよくないと感じたら、グループ内ですぐ声掛けをするようにした。　　　
・疲労がたまらないよう、昼休憩のほかに一日2回の小休憩（午前・午後各15分程度）を設けている。

　　　　　　　　

障害を持った社員に対する理解が、自然と社内に広まっていることから改めて説明することはないが、同じグループ内では仕事上、社員同士の理解が必要となるため、障害の内容・特性などについては十分な説明をしている。