知的障害者のサービス業（介護用品のレンタル事業）における合理的配慮事例｜障害者雇用事例リファレンスサービス

知的障害者のサービス業（介護用品の
レンタル事業）における合理的配慮事例

2024年度掲載

事業所名: 合理的配慮事例・2024204
業種: サービス業
従業員数: 87名
職種・従事作業: リネンのクリーニング作業
障害種別: 知的障害
障害の内容・特性 就労上の課題: 本事例の対象者（以下「対象者」という。）は、計算や漢字を読むことが苦手である。

募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

ハローワークと障害者の就労支援機関の担当者各1名の同席を得て実施した。

その他の配慮

・面接に併せて工場見学を行った。その後、県の職場実習制度（県独自の取組で、最長10日間の職場体験を行う。対象者も10日間実施）を利用。職場実習後に対象者本人への入社意思を確認し、採用を決めた。

・採用にあたっては、対象者の家族への意向確認も行った。また、社内の関係者（工場長や職場実習先の従業員）にも意見を聞いた。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

・相談や指導等の総合的な担当者として工場長を定めた。

・総合的な担当者は工場長であるが、対象者と一緒に働く従業員も、本人が困っていたら声を掛けるなど、全員で対象者の支援をしている。

本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと

・対象者の担当業務について、まずは簡単な工程から始め、習熟度に応じて次の工程へと段階的に進めた。各工程では作業手順を憶えることに加え、徐々に作業量を増やすことも目指した。

（そうした配慮・指導により、最終的には対象者は全作業工程を習得し、憶えることができた。）

・工場内には様々な業務があり、事業所では、全従業員がそれらの業務をこなせる必要があることため、対象者も含めた全従業員は毎日同じ業務を繰り返すのではなく、2人1組のローテーションを組み、日によって違う業務に従事することとしている。対象者もそうした経験を経ることで、今ではすべての業務をこなすことができるようになっている。

2人1組で行う、ロール仕上げ機によるシーツの仕上げ作業

手作業によるタオル等のたたみ作業

図等を活用した業務マニュアルを作成する、業務指示は内容を明確にし、一つずつ行う等作業手順を分かりやすく示すこと

・クリーニングの顧客名などはひらがな表記とし、間違いを防ぐようにしている。

・洗濯機や乾燥機の終了はブザーと共に該当のランプが点灯するようになっており、見える化することで他の作業をしていても分かるようにしている。

　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　洗濯・乾燥作業終了を知らせるランプ

・危険箇所には分かるよう警告表示がしてあるが、これは障害のある従業員だけでなく全従業員のためでもあり、ほかに気付くことがあればその都度対象者と話をしたり一緒に考えたりしている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　危険個所への警告表示

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

・事業所の通常の勤務は一日8時間である。対象者の場合は、職場実習では一日の作業時間は4時間から5時間であり、入社当初は短時間勤務とした。

（習熟するにつれて勤務時間を延ばし、比較的早い段階で通常勤務となった。現在は遅刻、欠勤等はなく、勤務状況は良好。健康状態も同様である。）

・現在は、昼休みのほかに、10時と15時にそれぞれ10分間の休憩を取り、気分転換を図ったり、皆とコミュニケーションをとったりしている。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

適切な作業指導等を行う上では、障害について現場の従業員が理解しておく必要があると考えたことから、職場実習の段階で対象者の了解を得た上で、工場の従業員全員に障害についての説明をしている。

その他の配慮

・必ずベテランの従業員と一緒に作業を行い、有事にはすぐ対応できるようにしている。

・計算が必要な場合は対象者が計算した数をベテラン従業員が必ず再確認している。

・臨機応変な対応を求められる場面では、判断が難しく混乱してしまうため、対象者が出すサイン（困った様子や表情など）を見逃さないようにし、その場にいる従業員がその都度フォローしている。

・採用後2年ほどは、半年に1度、支援機関の担当者にサポートをしてもらっていた。

（5年目の現在は、そうしたことはほとんどない。別件で支援機関の担当者が来社した際に、対象者に声掛けをする程度になっている。）

障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細

・入社当時は困ったことがないかなどの聞き取りや話し合いを担当者がこまめに行っていたが、現在は気づいた従業員が自然に対象者に手を貸している。
・入社当初は衝突やうまくいかないこともあったが、根気よく説明や相談をし、また話を聞いたことによって、対象者と担当者（工場長）、従業員との信頼関係を築くことにつながった。
・対象者と共に働くことで、障害のない従業員も気づかされることが多々あり、対象者と共に成長することができている。

配慮を受けている障害者の意見・感想等

（事業所の障害者雇用担当者と工場長による対象者へのコメント）
対象者は、以前にいくつかの事業所で働いた経験はあったが、どこも長続きしなかったようです。しかし、当社入社後は欠勤等もなく、積極的に仕事にも取組み、戦力として周りの従業員からとても信頼されています。対象者自身も楽しく働くことができているとのことです。

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