（1）事業所の概要

　大畑建設株式会社（以下「当社」という）は昭和28年の創立で、土木工事、建築工事、造園工事、交通安全施設工事の設計施工を行い、総合建設業として幅広い営業活動を続けている。本社は島根県益田市にあり、松江市、山口県萩市に営業所がある。

（2）障害者雇用の経緯

　当社が島根県立万葉公園の指定管理者となったことが大きなきっかけだった。その際には、万葉公園の維持管理作業員として以前より勤務していた障害のある方を当社で雇用した。そして、その方の仕事ぶりが作業員として十分なものであったことから障害者雇用に取り組むこととし、以後、今日まで積極的に障害者を雇用している。

（1）肢体不自由のある社員

本社の経営管理部情報システム課にて事務担当として勤務している。主な業務は伝票の入力作業やインターネット回線の契約などのシステム業務である。

（2）内部障害のある社員

本社の土木部で勤務している。もともと土木の施工管理経験のある方で、その経験を活かして主に積算業務に従事している。

（3）知的障害のある社員

3名おり、各自の業務は次のとおりである。
　1名は当社が指定管理を任されている万葉公園に勤務している。除草作業や運搬作業などに従事している。
　1名は本社の造園部に勤務している。庭木の剪定や除草作業に従事している。
　1名は当社グループ会社の農園に勤務している。農園内での生産品の管理などを当社が受託し、当該業務に従事している。

（4）精神障害のある社員

万葉公園に勤務している。除草作業や運搬作業などに従事している。

（1）取組の内容

ア．募集・採用

　ハローワーク、障害者就業・生活支援センター（以下「支援センター」という。）と連携しながら募集・採用活動を進めている。

イ．障害に応じた個別の取組内容など

（ア）肢体不自由のある社員への配慮など

上肢・体幹機能障害のある社員がおり、トイレを利用する際にはサポートが必要であった。そのため、トイレに手摺などを設置し、本人のみで利用できる環境を整備した。

　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　整備後のトイレ
　
　また上肢機能障害のため両手でのキーボード入力が難しい面があった。そのため、片手でも入力できる専用のキーボードを購入し、パソコン作業がしやすい環境を整備した。　　　　　　　


　　　　　　　
　　　　　　　　　　　専用キーボード

（イ）知的障害のある社員、精神障害のある社員への配慮など

所属部署の上長を中心に業務管理・相談にあたっている。ただし、所属部署では判断に迷う場合や対応が困難な場面が生じた場合には、人事関係も担当する経営管理部を中心として、支援センターを交えた相談体制をとっている。

（ウ）障害者雇用に係る社員全体の理解促進の取組

　障害のある社員の配属に際しては、事前に所属長や配属部署の社員に障害特性などを説明している。そして、一緒に働く中で徐々に理解を深めていけるようにしている。

（エ）安全確保への取組

　機械の操作や脚立に登っての作業などがあることから、事故防止等には細心の注意を払っている。しかし、障害があるからそうした作業をさせないというようなことはしていない。事前にリスクの洗い出しと対策を講じ、安全教育も徹底し、安全に作業できる環境を整えている。 

　この他にも当社では様々な取組を行っている。詳しくは、島根労働局のホームページに掲載されている「もにすの知恵袋」で紹介している。知恵袋では当社以外の取組も紹介されているので、ご興味のある方は、「もにすの知恵袋」と「大畑建設」で検索いただきたい。

（2）取組の効果

障害のある社員の平均勤続年数は17年を超えており、長期的な継続雇用を実現できている。

またハローワークをはじめとする支援機関と連携することで、昨年も新規採用１名を実現できた。

当社では、経営理念として

「地域、社会の発展に貢献する」

「会社の繁栄は、社員の生活と幸せのために」

を掲げている。

　障害者雇用はその一つであるが、社員として雇用するだけではなく、障害者の就労支援施設に積極的に業務を発注するなど、障害者の就労の場の確保にも取り組んでいる。

これからも、地域貢献および人を大切にする経営の実現のため、積極的な障害者雇用に取り組んでいきたい。