ハニーズグループにおける障がい者雇用の取組
- 事業所名
- 株式会社ハニーズハートフルサポート
(法人番号: 7380001022429) - 業種
- サービス業
- 所在地
- 福島県いわき市
- 事業内容
- 事務補助、商品管理業務、清掃業務
- 従業員数
- 37名
- うち障害者数
- 24名
-
障害 人数 従事業務 聴覚・言語障害 3名 キズ仕分け、事務補助、清掃 知的障害 12名 キズ仕分け、清掃 精神障害 6名 キズ仕分け、事務補助、清掃 発達障害 3名 事務補助、清掃 - その他
- 特例子会社、障害者職業生活相談員
- 本事例の対象となる障害
- 聴覚・言語障害、知的障害、精神障害、発達障害
- 目次


1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
1 (1)事業所の概要
ア 設立、事業内容等
株式会社ハニーズハートフルサポート(以下「同社」という。)は、婦人服・身装小物等の企画開発及び婦人服専門店を全国に展開する株式会社ハニーズホールディングス(以下「ハニーズHD」という。)の特例子会社である。
昭和53年創業の株式会社ハニーズ(以下「ハニーズ」という。)は、福島県いわき市に本社を置いている。平成29(2017)年には持株会社体制に移行し、ハニーズHD、ハニーズ等で構成されるハニーズグループとなり、国内876店舗(令和6年5月現在)や物流センター等を運営している。
障害者雇用については、以前からハニーズやハニーズグループでも取り組んできたが、2000年代の会社の規模(店舗数)拡大に伴う社員数の増加に障害者雇用が追い付かなくなっていた。ハニーズの店舗の場合、バックヤードが大きな店舗が少ないため、多くの障害者が就業できる環境になく、障害者雇用数の増加を進めることが困難な状況にあった。
さらに、平成23(2011)年の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故に伴い、障害のある社員が辞めていく状況もあった。
こうした状況の中、平成24(2012)年に特例子会社の設立について、いわき障害者就業・生活支援センター(以下「いわきセンター」という。)からのアドバイスを受けて、経営陣が設立の検討に入り、ハローワークいわきなどの関係機関・団体との協議・連携を図りながら平成25(2013)年2月1日に「株式会社ハニーズハートフルサポート」が設立された。
同社は、ハニーズHDの本社(いわき市)内に本社事務所を置き、鹿島事務所(本社)及び物流センターの中の常磐事務所に就業場所を設けている。
イ 同社の経営方針
(ア)ハニーズグループ(ハニーズHD、ハニーズ等)の業務のサポート(事務処理・商品管理・清掃作業等)に努める。
(イ)ハニーズグループ各社の本社が所在するいわき市における障害者雇用の推進を図る。
(2)障害者雇用の経緯等
ア 雇用障害者数の推移
同社発足前の平成24(2012)年1月のハニーズの雇用障害者数は31名であったが、同社発足後の平成25年の雇用障害者数はグループ全体で43名、うち同社が15名となった。令和6(2024)年5月末現在のグループ全体の雇用障害者数は58名、うち同社は24名となっており、年々増加している。法定雇用率の引き上げもあり、今後さらに増やしていく方針である。
イ 就労支援機関等との連携
(ア)いわき障害者就業・生活支援センターとの連携
同社の障害のある社員について、本人の了解を得たうえで、いわきセンターに登録してもらい、必要な支援が受けられるようにしている。また、いわきセンターの職員を講師に定期的に障害のない社員に対し障害特性などに関する勉強会を開催している。
(イ)ハローワークいわき等との連携
トライアル雇用を活用してグループ全体の障害者雇用の推進を図るとともに、いわき市、ハローワークいわき共催の「いわき市障がい者雇用促進事業」における企業職場見学会の見学先として協力している。
(ウ)関係機関と連携したグループ全体の取組の組織図等
ハニーズグループにおける組織図と、関係機関とのネットワーク図は以下のとおりである。

組織図・ネットワーク図
障害者職業生活相談員については、物流センターと常磐事務所に1名、鹿島事務所に1名、さらにハニーズホールディングスに3名配置している。それぞれの所属において次のような役割を担っている。
・障害のある社員の一人ひとりの特性を把握し、その人に合った支援方法や配置箇所と業務内容を検討する。
・障害に応じた作業環境の整備・工夫を検討し、改善を図る。
・各々の業務を支援するとともに、作業環境、職場生活等に関する相談に応じる。
2. 障害者の従事業務と職場配置
冒頭の内訳表にあるように、事務補助や商品管理等に従事している。従事業務の選定に際しては、各人の希望や経験・知識を考慮している。必要な場合には、本人の適性等を活かした業務の創出と配置も行っている。
次に、障害のある社員4名の就労状況を紹介する。
(1)知的障害のあるAさん
ハートフル常磐事務所(ハニーズHD物流センター内)において、検品業務と清掃業務に従事している。検品業務では、障害のない社員とともに全国の店舗において試着時の化粧の付着など不良品扱いとなった返送品の状態の確認をまず行う。次に良品と不良品に仕分けを行い、不良品の中でも着用に支障のない商品に種類やキズの度合いに応じた金額のタグを添付し、再販売のための袋詰め作業を行っている。また、清掃業務としては、トイレ等の掃除を行っている。

(2)精神障害のあるBさん
ハートフル常磐事務所において、返送品の商品の検品や汚れ落とし、アイテムごとの仕分け作業、タグ付け及びプレス(アイロンがけ)作業を行っている。
(3)精神障害のあるCさん
本社において、給与計算、行政等提出書類の作成、その他本社業務の一部に携わっている。業務に活かせる資格もいくつか取得しており、レベルの高い業務も担ってもらっている。
(4)発達障害のあるDさん
第2種電気工事士の資格を有し、ハニーズHD本社内の電気設備の点検修繕や蛍光灯の交換作業を行うとともに、本社において事務補助として、郵便物や全国の店舗から届いた書類の仕分け作業に従事している。
3. 取組の内容と効果
(1)取組の内容
ア 採用・面接
応募者に対しては、まず、同社の職場を見学してもらい、その際に採用した場合の通勤方法の確認を行う。次に、1週間程度の職場実習(以下「実習」という。)をしてもらったうえで、就職を希望する場合には面接を行い、適性などを判断して採否を決定する。必要に応じてトライアル雇用を経て、採用を決定している。
面接の際は本人の希望を尊重して、本人単独の場合と、支援機関の担当者(特別支援学校の教員等)や親等が同席して行う場合がある。
こうしたステップを通して採用することが、ミスマッチや早期離職の防止につながっている。
なお、同社の採用基準は次のとおりである。
(採用基準)
〇きちんと挨拶ができる
〇正直である、誠実である
〇実習の評価が高い
〇安定して働くことが期待できる
イ 職場・業務配置及び業務遂行
業務内容決定に当たり、配慮している点及び雇用後に確認している点

障害の種別・程度に応じてあらかじめ業務内容を決めておくこともある。また、状況に応じて、ジョブコーチの支援を受けたり、配置転換を行うこともある。
ウ 送迎バスの運行
ハニーズグループでは、物流センター勤務者を対象として、主要駅や周辺地域からバスによる送迎を行っている。自家用車による通勤が困難な障害のある社員は、バスを利用することで通勤手段の確保と負担の軽減が図られ、雇用の確保と定着につながっている。
エ 教育・研修
障害のある社員に対する教育・研修にも力を入れている。特に、社内の安全確保や犯罪の被害者にならないための教育などにも注力している。
(ア)安全確保に向けた指導
入社時に事業所内を案内しながら危険箇所等の説明を必ず行う。
(イ) 犯罪・被害防止に向けた指導
「地域で安全に暮らしていくために」をテーマとして定期的に勉強会を実施している。
実施に際しては、障害特性に応じた資料を用意し、講義も分かりやすい表現とするなどの工夫を行っている。
オ 分かりやすい作業環境の整備
常磐事務所の作業場(検品・商品管理等)には、随所に作業手順等の表示を行い、障害のある社員にも分かりやすい作業環境の整備に努めている。


カ 面談の機会確保
同社人事担当による月1回の定期面談を行うほか、本人の申し出や他者から寄せられる情報をもとに必要に応じた随時の面談も実施している。
また、同社社長による年1回の定期面談を実施している。その際には、プロフィールシートに記入して提出してもらい、シートをもとに本人の現状や要望等の聞き取りを行うとともに、必要に応じたアドバイスを行っている。
こうしたことを通じて、本人の現状把握や早期の課題解決、適性に応じた業務配置や離職防止につながっている。

プロフィールシート
(2)取組の効果
ア 障害のある社員とともに業務を行っているグループ社員の意識の変化
障害のある社員が事務作業や商品管理を行うことで、グループ社員の業務に貢献し、グループ社員の意識が変化したことがある。例えば、ハニーズ店舗オープンの準備作業では、以前は店舗スタッフが行っていたハンガーに滑り止めを貼ったり、サイズチップ(SS~LL)を付けるなどの作業を事前に同社の障害のある社員が行うため、かなりの作業短縮に貢献している。
また、従来はハニーズホールディングスの業務であった物流センターでの段ボール詰めや運搬作業等を同社の障害者が請け負うようになり、障害のない社員から障害者に対して感謝の言葉を掛けるようになり、障害者はそれにやりがいを感じ、お互いに良好な関係の中で働くという環境が生まれた。
このように業務を請け負う中で、グループ社員の障害者雇用への理解が進み業務の円滑な遂行につながっている。
(3)障害のある社員へのインタビュー
ア 知的障害のあるAさん
洋服の仕事に就きたいと思っていたところ、周りの方々からハニーズの話を聞き応募し入社しました。業務は検品、タグ付け、清掃1か所を行っています。仕事中は業務に集中し、確認をしながら進めるように気を付けています。仕事のやり方の手順などを書いたものを表示してもらったりして助かっています。ミスをしてしまった時は周囲の方に報告したりするようにしています。ここで働いて感じていることは働く環境や連携もとても良く働きやすいということです。入社時は周囲の方々とコミュニケーションを取ることが少なかったですが、今は自分から話しかけることも相手から話しかけられることも多くなり、自分は変わったと思っています。
イ 精神障害のあるBさん
今の会社に入ったのは、障害者就業・生活支援センターの合同企業説明会でハニーズを知り、面接を受けたのがきっかけでした。入社前にも体験実習、職業訓練施設の技能訓練を経てトライアル雇用と段階を踏んで適性を見ながら働き始められたことも魅力だと感じました。商品の検品等の作業中は班や全体の状況を把握するため自分の仕事だけに集中しすぎないように心がけています。集中しすぎて問題点やミスに気づかなかったりしないように、時々ワンクッションおいて作業ができるようにしたいと思っています。
ここは、少しでも疑問を感じた時や悩んだ時は相談できることが心強いです。
また、体調が不安定で子供も小さいので日々問題は尽きませんが、ここで働くことで生活にメリハリが付けられるようになり、仕事だけでなく家庭でも少しずつできることが増えてきたように感じています。
4. 障害者雇用推進に当たっての今後の展望・課題
佐藤社長は次のように話された。
(1)課題
令和6(2024)年にハニーズHD物流センターが増築され、清掃の範囲が大幅に増加し、清掃業務に従事できる人材の確保が必要となっている。
また、現在雇用している障害者が長く働き続けられる環境を整備していくこと、精神障害のある社員の雇用が増加している中で、その特性を踏まえた対応を図っていくことが必要である。
さらには、グループ全体としては、雇用率引き上げには、更なる仕事の洗い出しなどによる職域拡大等を進める。他方、障害や病状によっては短時間でないと就労が困難な人もいることから、そうした人を想定した仕事の洗い出しや、体調管理の態勢づくりも課題と考える。
(2)今後の展望
上記の課題を踏まえ、次の3点を今後の目標としていきたい。
①支援機関・特別支援学校・ハローワークなどと連携を図りながら障害者個々の状況に応じて対応していくこと
②障害種別も考慮し個々のレベルに応じながら、キャリアプランを計画し、同社の『戦力』になってもらうこと
③今後、雇用拡大のためには精神障害者の雇用継続が一つの鍵になると考えており、そのフォロー体制の強化を図ること
執筆者:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
福島支部高齢・障害者業務課
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