対象者は特別支援学校（以下「支援学校」という。）の在籍者であり、障害者就業・生活支援センター（以下「支援センター」という。）の支援員及び支援学校の担当者が同席の上、面接を行った。

・採用するにあたっては、支援学校と連携し、事前に職場見学や職場実習を複数回実施の上、本人の意向や現場との関わり等、十分にマッチングできるよう取り組んだ。
・面接での緊張を軽減するため、事前に支援センターの支援員、支援学校の担当者、保護者を交えた話合いを複数回実施し、障害特性等を把握した。 
 

・本事例の事業所は医療機関であり、障害者雇用に関しては、事務長及び人事部門担当職員が統括し、就労上何らかの課題が発生したら、随時相談を受ける体制をとっている。また、配属現場での勤務時においては、現場のリーダー的役割を持つ職員を責任者としている。

・対象者の配属調理補助等の実務指導については、調理部門の先輩職員が担当している。なお、事務長自らも、対象者本人への声掛けや挨拶、近況の確認を積極的に行っている。これらの環境の中、本人は所属部署内で十分にコミュニケーションがとれ、やや苦手としている計算業務についても、随時先輩職員の支援を得ることができることで、落ち着いて業務へ取り組むことができている。

基本的には、本人の業務手順、ルーチン業務を崩さないよう配慮し、業務に取り組んでもらっている。

本人の業務習熟状況等は、定期的な面談時を中心に、調理部門の先輩職員へも確認しながら把握に努めており、昨年度は調理の下処理のみを担当していたが、今年4月より、業務の習熟状況及び本人の希望により職域を拡げ、周囲のサポートのもと、調理業務を一部担当できるようになった。

今後を見据え、現在の取組をもとに、手順を分かりやすく示したマニュアルを作成中であるが、本稿作成段階では未完成である。

・障害特性に配慮し、就業時間については、早出や遅出、残業等はなく、決められた時間内で就業でき、生活のリズムが変わらないようにした。また、シフトを組む時点で無理のない勤務となるよう配慮している。
・本人の体調管理を第一とし、必要な際は勤務日や勤務中であっても病院受診や健診を受けることができるようにし、また体調不良の際は気兼ねなく他の職員へ声を掛けられるよう、配慮している。

採用前に事務長から所属部署責任者に対し、就業時間や本人の障害特性等の留意点（計算がやや苦手であり、支援を要する場合があることや、一人きりにせず業務を教えること等）について、プライバシーに配慮した上で情報共有を行い、対応を確認した。所属部署職員に対し詳細な説明が必要な場合には、事務長から各職員へ個別に説明を行った。

支援センターの支援員を交えた面談を、2か月に1回程度実施しており、本人の悩み等を相談できる体制を整えている。なお、職場のルール等について、説明が困難な事柄は、本人が信頼する支援員から説明してもらい、理解を得ることができた。