事業所名

第一電子工業株式会社  真岡事業所

所在地

栃木県真岡市

事業内容

コンピュータや通信機器、OA機器等ハイテク産業の最前線へ、高信頼高品質を誇るコネクタを生産・販売している。

従業員数

448名

うち障害者数

8名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	6	切削、物流、金型課、他
内部障害	1	環境・安全管理室
知的障害	1	産機生産
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要と障害者雇用の経緯
2. 取り組み内容と効果
3. 最後に

事業所外観

1. 事業所の概要と障害者雇用の経緯

（1）経営理念

「お客様に、満足されるコネクタを提供しよう！」

当社の社員一同は、お客様の満足が信頼の証と考え、コネクタの開発から生産・納入までに至り管理をしている。

「青い地球を未来に！」将来を担う子供たちにこの地球を渡せるようにするため、地球環境に優しい企業活動に切り替えを図り環境保全に取り組んでいる。

当社は”つなぐ”テクノロジーと”顧客満足度”をキーワードにして、接続製品の開発・製造に注力している。Mission Vision Core Value(MVCV)は”つなぐ”テクノロジーのナビゲータの役割を担い、我々の行動基準の基盤にしている。

（2）障害者雇用の経緯

第一電子工業は、社会的責任（CSR）の一環として、親会社株式会社フジクラの関係から、以前より社会福祉法人藤倉学園の知的障害者施設への寄付を行っている。また、社内においては、肢体不自由者、内部障害等の身体障害者の方々を雇用している。

平成20年10月の、障害者合同就職面接会にて、出会いの場があり、工場見学、面接等を行った。その後体験実習を経て、最終的に2名の採用を決めることができた。

2. 取り組み内容と効果

（1）障害のある社員について

Aさん（23歳・女性）・知的障害者  B1

特別支援学校卒業後、食品会社にて軽作業に従事していたが、対人関係等で上手くいかなくなり退職。障害者就業・生活支援センターにおいて、訓練を受けながら就職を目指しており、合同面接会で当社の面接を受ける。見学・実習を経て、製造部に配属。

Bさん（22歳・男性）・身体障害者  1種2級

特別支援学校から就職することを希望していたが、叶わずに入所型の訓練校で主に事務を想定した訓練（ワード・エクセル操作、伝票整理等）を受ける。卒業後、障害者就業・生活支援センターに登録し、事務職を中心に求職活動を行う。合同面接会で当社の面接を受け、見学・実習を経て、品質保証部に配属。

Aさんの作業風景

Bさんの作業風景

（2）定着への取り組み【障害や適性への配慮・体験実習】

雇用するにあたり、まず、職務内容を考える中で、面接会や、職場見学等での様子や経歴から、Aさんについては、当初予定していた品質保証部での職務は困難であることが想定された。そのため、製造部において、コネクタ部品の製造の仕事に就いてもらうこととした。

また、見学後、すぐにトライアル雇用の活用を考えていたが、障害者就業・生活支援センターの支援者（以下、支援者）も交えて相談した結果、本人達の不安を考慮し、まずは1週間の実習を通して、職場の雰囲気や自分の仕事の内容を体験してもらうこととした。

実習を開始するに当たって、Aさんについては、支援者の話から、人間関係への注意も必要と感じたため、事前に現場の女性社員にAさんを雇用するに当たって配慮が必要であることを説明し、休憩時間については、一緒に行動することで、疎外感を感じることなく仕事に臨める環境づくりに努めた。

また、Bさんについては、パソコンスキルを生かしてデータ入力に取り組んでもらうこととした。最初は、すでに処理されているものを使用して練習するところから始めてみたものの、実際にパソコンを業務として扱うには理解が足りない部分もあった。ただ、基本的な操作は可能なことと、仕事に取り組む姿勢は真面目であったため、徐々に理解していけるよう教えていくこととした。

実習期間中、本人達も前向きに取り組んでおり、体験した上で就職を望んでいたため、そのままトライアル雇用を開始した。

（3）定着への取り組み【トライアル雇用から定着へ】

体験実習を通して、指導を担当する社員も、少しずつだが彼らの性格や特性を理解し、仕事を教えていった。どちらかと言うと特性を意識するというよりも、彼らの性格から、それぞれに合った教え方で、自然に接する中で、仕事を理解していくことができていたと言える。

Aさんについては、最初は手作業でのコネクタ製造から始め、習得具合を見ながら、簡単な機械を用いたコネクタ製造や、できた製品の数の管理等、仕事の幅を広げていった。担当社員が指示したことを理解して実行に移すことに問題はなく、何より持続力があり、作業ペースが落ちないという長所があることで、慣れてくるにつれて作業量も増えていった。実習期間も含めてしばらくの間、Aさんからは緊張している様子が見られたが、仕事を着実に覚えて、与えられた仕事をこなしていることをその都度きちんと評価することで、自信を持って臨めるように接していた。そのことがAさんのやる気や繋がり、徐々に馴染めたことで、安心して働けるようになっていった。

Bさんについては、まずは作業手順をきちんとメモに取り、それを見ながら入力作業の流れを理解することから始めたが、手順を理解し実行に移すことはできたものの、入力にミスが出る事があった。そのため、問題点の一つひとつを突き詰めて説明し、なぜミスに繋がったのかをその都度はっきりさせることで、一緒に改善に努めた。例えば、パソコンの画面を切り替えて数字を確認した後に、画面を戻して入力していく業務でミスが多く出ることがあったが、入力する情報を印刷し、確認しながら入力できるようにしたことで、大きく改善された。多くは担当社員と確認することで解決できていたが、時折、Bさんが何に困っているか、Bさん自身、上手く問題点を説明できないこともあった。そのような時には支援者に間に入って頂き、解決していった。また、自分の力量のこと等、悩みを抱えることもあったようだが、支援者に相談に乗ってもらうことで、不安も和らいだものと思われる。

AさんとBさんの業務は、どちらも同じ手順の繰り返しとなるため、集中力と持続力が求められるが、手順を丁寧に教えることで、確認こそ必要ではあるが、それぞれ基本的には一人で任せられるレベルに至り、トライアル期間終了後も、継続して雇用することとした。

3. 最後に

正式に雇用して半年が過ぎた現在では、Aさんは、作業によっては他の社員並みの生産性を誇るレベルにまで達し、引き続き多種にわたる部品の製造に取り組んでいる。また、Bさんについては、日々ミスのない仕事を目標に取り組んでおり、当初から変わらぬ向上心を持って、仕事に臨んでいる。

そこには、彼らが継続して意欲を持って勤められる人間関係があることが、Aさんの笑顔、Bさんの真剣な眼差しから感じることができる。「頑張っています！」と話す彼らの口ぶりから、これからも日々成長していく事が期待される。