事業所名

有限会社貫井園

所在地

埼玉県入間市

事業内容

原木椎茸の栽培・加工・販売、狭山茶の栽培・加工・販売

従業員数

5名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由
内部障害
知的障害
精神障害	3	椎茸の収穫・加工、林内の整備等

目次

1. 取り組みの経緯、背景
2. 安定した精神状態で働ける「作業環境づくり」を
3. 作業場・作業内容
4. 雇用管理面の取り組み
5. 今後の課題・展望

事業所外観

1. 取り組みの経緯、背景

・平成16年に、「社会福祉法人創和（埼玉県入間市）」で就労訓練を受けていた精神障害者のことで所沢保健所から相談を受け、精神障害者の社会復帰のための訓練の場を提供してきた（しいたけ栽培の補助作業）当初2名を受け入れ、1名は20ケ月後に一般企業への就労が果たせたが、1名は採用が決まらない状態が続いた。しかし、次第に本人が仕事に興味を示し始め、手順も理解してくれたこともあって「このまま、会社で働いてもらおうか」との考えに至った。（平成19年4月）

・引き続き保健所からは訓練生としての受け入れを行ったが、馴れれば充分戦力として就労できると確信を持ち、2名を増員して現在に至る。

・職場を提供して訓練を行っているものの、経営者自身専門的な研修や講習を受けた経験を持たなかったため、心がけたことは「障害特性を理解しつつ、人として接する」ことに原点を置いた。

2. 安定した精神状態で働ける「作業環境づくり」を

・精神障害者と接するうちに経験から得た教訓は、健常者との交わりを避ける反応を示すことがあるという点で、これを解消しないことには戦力として就労が難しく、そのためには、「彼らに、安心してもらうための彼らの作業環境づくり」が解決の第一優先課題だと思った。

・従来、使用していた「原木椎茸加工・お茶の加工作業所」とは全く別個な専用作業所の設置を計画して、埼玉県雇用開発協会で取り扱っている助成金が該当するかどうか相談を持ちかけた。幸い「第1種作業施設設置等助成金」を活用することになり、平成20年3月に作業所は完成した。

・新設の作業所には、健常者は作業管理者（貫井義一）が出入りするだけとなり、独立した環境の確保に成功している。

・障害者同士だと、気兼ねなく会話し、お互いを補完しながら作業に従事している。さらに、障害特性の「不安定さ」がもたらす「体調不安」で出勤できない状態や作業中に不調を訴えることもあるが、障害者同士が一緒に行動していることで作業管理者が早めに状況を把握できる。

新たに設置した作業所

3. 作業場・作業内容

・作業場は次の3ケ所

①作業所内

②ハウス内

③林内

・一日の主な作業内容は

①原木しいたけの植菌作業→冬期（12月～翌年4月）

②原木への穴あけ作業（作業所内）→年間

③原木しいたけの収穫（ハウス内）→年間

④乾燥しいたけのスライス（作業所内）→年間

⑤ほだ木の組立（林内）→年間  （注）ほだ木＝しいたけ菌を植え付けたナラ材

⑥林内の整備（林内）→夏～秋の期間

原木への穴あけ

ハウス内ラックへの移動

原木の積み出

林内の下刈り

4. 雇用管理面の取り組み

・雇用管理について、項目ごとの主な取り組みとしては

5. 今後の課題・展望

・障害者継続雇用対応マニュアルや最新の障害者情報の収集等の未整備面の改善と、支援制度の活用や支援機関との連携を強化していきたい。

・自立した職業人として育てて行くために「主治医を通じた服薬治療状況」や「家族との懇談の場」を増やす必要がある。

・精神障害者だけで作業チームを組むという最初の選択肢が効果があったことが、彼らの日々の仕事に対する「意識向上・責任感の芽生え・勤労意欲の向上」に現れていることは確実な手応えとして感じる。

・また、彼らが真剣に仕事と向き合った結果として増産体制に目途が立ち、平成20年度埼玉県椎茸ほだ場共進会において、農林水産大臣賞の受賞に至ったことは快挙だった。

・さらなる増員計画に関しては、3人の健康管理をしっかり理解し、また生産計画に立脚した経営環境確立の両面でバランスをとりながら推進していきたい。