2009年度作成

事業所名

株式会社  本埜共進

所在地

千葉県印旛郡本埜村

事業内容

一般・産業用廃棄物収集運搬・処理
産業用生ゴミ処理機販売代理店

従業員数

15名

うち障害者数

12名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	2	廃棄家電製品の解体処理
内部障害
知的障害	10	廃棄家電製品の解体処理
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 取り組み内容
4. 取り組みの効果
5. 今後の展望と課題

1. 事業所の概要

平成10年3月千葉県印西地区クリーンセンターにおいて、廃家電の解体選別を開始する。平成10年10月廃家電処理工場として印旛郡本埜村に会社を設立する。

廃家電処理設備は、計量機（20トン台貫）を設置するほか、剥離機（処理能力648kg）1台、フロンガス改修装置、移動式クレーン（2.5トン）2基、フォークリフト2台、運搬車両（2トン普通貨物）1台を有し、廃家電処理能力は、1日5トンである。

障害者従業員の作業は、20種類のドライバーやペンチ等の手工具を使用するローテク（手作業）により、手際よく分解すること。この手作業により、家電製品のリサイクル率は、テレビ99％、洗濯機90％、エアコン93％、冷蔵庫75％と、大手メーカーによるリサイクル率に比し、高いリサイクル率が評価されている。ちなみに、大手メーカーのリサイクル率は、テレビ79％、エアコン79％、洗濯機57％、冷蔵庫61％である。

2. 障害者雇用の経緯

当社は、株式会社共進を中心とする6社グループ（花泉会という）で事業を展開している1社である。グループ先達の会社では、昭和50年代に行政から障害者雇用の要請があり、これを理解して積極的に障害者雇用に努めた。（現在、グループ全体の雇用障害者は40名）また、グループ企業での情報がフィードバックされている。

このことにより、障害者雇用は違和感なく、会社の責務として当然のこととして受け入れができた。また、障害者職業生活相談員認定資格講習受講者は3名で、日常的に問題なく従業員と接している。

※  花泉会は、障害者が採用された職場の業務に不適合や業務遂行に問題があった場合には、他のグループ企業と協議をし、その会社の業務を経験させ、その業務に適合した場合には、本人と家族の合意を得て、会社間での異動を行っている。また、このことにより離職者の阻止が図られている。

3. 取り組み内容

（1）募集・採用

創業時に先達会社から配置換えによる4名の障害者を採用した。以降は、中学校生徒および授産施設等の入所者の職場実習を経て採用している。

なお、創業時の採用者4名のうち、現在3名が在職している。また、直近の離職者は平成18年4月であり、その後退職者はいない。きわめて定着率が良いために、ハローワーク（公共職業安定所）等の職業紹介施設からの紹介採用者はない。

（2）  職場定着指導

特殊な廃家電製品を除き、全員が最初から最後までの分解を習得することを目標とし、1年かけてきめ細かく指導している。このことにより、日々持ち込まれる廃家電の種類の増減に全員が対応できることで、従業員同士が業務量の競い合いをするなど就業意欲が喚起されている。また、保護者との連絡を密にし、月1回、鵬の会（花泉会親の会）を開催して情報交換等を行い、職場定着に努めている。

なお、行政によるジョブコーチ等による指導は画一的であり、当社の実態には適合していないという。

（3）  労働時間・労働条件

就業時間は9時30分から15時30分である。休憩時間は12時から13時および障害者の特性を配慮して、午前に10分、午後に10分を設けている。

なお、給与については、能力に応じて時給434円（最低賃金除外制度の適用）から850円である。

（4）  定年・継続雇用

定年は61歳である。従業員の年齢は、知的障害者が21歳から48歳である。但し、会社が必要とし、尚かつ本人が希望した場合は、65歳まで再雇用している。

（5）健康管理・安全衛生

健康診断は年1回実施しているほか、インフルエンザの予防接種を行っている職場環境は、防暑・防寒対策が困難な作業環境であるが、清掃がゆき届き、整理整頓がされているために、体感温度よりも快適な感がする。冬季の防寒対策として作業用防寒着の支給をしている等、健康状態に気を配っている。また、保護者との連絡を密にして、日常的に健康管理を行っている。

そのほか、親の会である鵬の会の年3～4回のレクリェーション活動に資金援助を行うことにより、従業員の就業意欲の喚起を行っている。

安全衛生については、職場の整理整頓をはじめ、業務中における解体工具の保管場所の徹底を行っているほか、廃家電製品の有価物のカード化を実施して作業中でも即座に見ることが出来るように工夫を図っている。また、日常の手洗いとうがいの励行を徹底させている。

4. 取り組みの効果

知的障害者の特性を生かすことを根幹に、根気強く接し、業務を習得させること。ごく単純な作業であっても、あせらず、丁寧に教えること（期間は1年間の辛抱という）で、2年後は健常者と遜色のない業務を行うことができるという。このことにより、障害者従業員に働く喜びと仕事にやりがいを与えており、離職を防止する効果が生まれている。

5. 今後の展望と課題

1日に30人の従業員で100台の廃家電の解体業務が実施できること。また、1人の従業員が1日に5台の廃家電の解体ができること。このことが当面の課題であり、展望であると橋本社長は言う。しかし、現在は一般家庭でのリサイクル事業に関する認識が浅いことがネックとなっている。

このために、一般廃棄物処理の許可があった場合には小規模業事業所でもリサイクルが出来ることの周知と昨年9月に発足したNPO法人の「市民参加型リサイクル推進協会」の具体的な活動が開始されることに期待するとともに、橋本社長自ら奮闘をしているという。

なお、従業員の給与については、「働き甲斐」や「生きがい」そして、社会的自立が出来る処遇の検討を期待したい。

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