事業所名

株式会社シューマート

所在地

長野県長野市

事業内容

履物全般の卸売・小売業

従業員数

550名

うち障害者数

2名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	1	本社流通情報部において企画業務
知的障害	0
精神障害	1	店舗内倉庫における軽作業

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と背景
3. 今後の職場の取り組み
4. 障害者雇用の効果

事業所外観（店舗）

1. 事業所の概要

当社は、1971年12月に設立し、長野市に本社を置き、現在北関東甲信越地区に35店舗を展開している。

「地域一番店」を目標に、ご来店いただく多くのお客様にご満足いただけるお店作りを目指して活動している。

そのために、店舗は「300坪」を標準とした、全国的にも珍しい広い売り場面積の中に生活関連アイテムからファッション商品まで、性別や年齢層を問わずに取り扱い、家族みんなの生活を足元からお手伝いすることを基本としている。

今後も、「地域密着」のお店作りを目指して、展開していく予定である。

2. 障害者雇用の経緯と背景

（1）障害者雇用の経緯

過去には「物流センター」という部署を構えており、そこで、複数名の障害者を雇用していたが、外部委託による物流センターの閉鎖や障害者の転職もあり、障害者雇用人数が減少していった。

会社の規模を拡大していく中で、障害者の雇用については、以前からハローワーク（公共職業安定所）篠ノ井からの雇用指導や長野県雇用開発協会の障害者雇用アドバイザーからの助言もあり、検討課題となっていた。中でも、一番の課題は、店舗の業務の中で考えられる商品補充や接客といった業務に対して障害者を受け入れることの不安や、「どんな人材で」「どんな仕事に従事する」ことが良いのか考えが浮かばずにいたことであった。

以前から雇用されている1名は、中途障害者で、何の指導も要らないベテラン社員のため、不安はなかったが、新規に障害者を雇用することに対しては漠然とした不安があり、障害者雇用が進んでいなかった。

（2）今回の採用の背景

雇用率未達成について、ハローワーク篠ノ井からの指導助言を継続的に受ける中で、当社の長野稲里店で雇用の場があるのでは、という意見があり、早速、社内において、会議を開催し会社全体で取り組むことを決定した。

検討してみると、この店舗は、当社の中でも特に大型の500坪の広さを持つ店舗で、入荷する商品も多く（以下①②）、ここなら障害者の方が作業できる場所で、職務工程を少し改善するだけでよいこと（以下③④）に、改めて気づいた。

①  長野稲里店には、商品の受け入れ業務とそれに付帯する業務が独立していること。

②  商品の受け入れの業務は毎日あること。

③  付帯する業務は、検品業務や入荷商品の仕分けなど、覚えやすい単純作業であること。

④  作業場所が店舗内ではないため、集中して指導できること。

このような背景から、店舗での軽作業求人をハローワーク篠ノ井に提出し、障害者職業相談会に参加した。そして、1名を採用するにあたり、ハローワーク篠ノ井よりステップアップ雇用制度の利用を勧められた。並行して長野障害者職業センターが支援計画を策定し、ジョブコーチの支援（第1号職場適応援助者による支援）を活用した。

採用した従業員は、当初、作業に対する適応性には欠ける面があったため、ジョブコーチが、作業内容を固定化したり、作業上のポイントをメモすること、作業手順書の活用することで適切な作業手順を習得できるよう支援したり、安全に作業が出来るよう個別指導をした。また、体調の把握、管理等を行うことで、職業生活の安定を図るように支援した。

3. 今後の職場の取り組み

精神障害者を店舗で雇用することは今回が初めてで、一番心配したことは、他の従業員が障害のある従業員を受け入れることができるか、また、コミュニケーションが円滑にできるか、しっかり仕事を教えることができるかなどの職場環境の問題であった。今回、精神障害者を1名採用したことにより漠然とした不安が解け、会社の業務を整理し受け入れ体制をしっかり作ることが出来れば、問題なく受け入れることができることが分かった。今後は、職場でできる仕事を洗い出し、定期的に家族と連絡をとって情報交換を行い、共通の認識を持てるようにし、会社内では積極的に障害者の雇用について検討し、着実に働ける職場環境を作っていきたいと思う。

そのためには、各種の障害者雇用講習会、見学会等にも積極的に参加しよい点を学び取り実施に向け努力したい。

商品仕分け作業

商品運搬作業

4. 障害者雇用の効果

今回働いている従業員は、とても明るく元気があり、他の従業員にも積極的に挨拶をし、話しかけてくれているので、職場の雰囲気が以前よりも明るくなった。

さらに、驚いたことには、新人の社員に商品検品作業の方法の教育指導を頼んだところ、わかりやすく丁寧に指導してくれた。他人に仕事を教えるということは、自分で自分の仕事を把握していないと出来ないことであり、一人前の作業員として活躍している。

こうした彼の努力と頑張りを見て他の従業員も、自分も頑張らなければ、という良い相乗効果が職場の中に出てきている。

また、彼を教えることで、あらためて人を育てるということを考え直す良い機会となった。

今後の課題としては、障害者の雇用には、まず社内体制作りが必要である。また、就職してからの人間関係が大事であることと、個人差があるため障害者の特性を見抜きそれに合った職務作り及び長期にわたり指導できる体制作りが必要であるため、会社全体で取り組みを実施したい。