事業所名

多摩川精機株式会社

所在地

長野県飯田市

事業内容

高精度センサー、モーター、ジャイロの技術開発・販売

従業員数

680名

うち障害者数

10名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	5	総務、知財
内部障害	2	総務、知財
知的障害	3	製品組立
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の現状
3. 取り組みの内容
4. 今後に向けて

事業所外観

1. 事業所の概要

多摩川精機株式会社の本社は、長野県飯田市の西に聳える風越山の麓に位置し、眼下に飯田市街を見渡し、遠く東に南アルプスの山々を眺めることができる風光明媚なところにある。本社の社屋は、昭和初期を彷彿させる木造建築が、上り坂の斜面に二十数棟も並び、幾つもの階段や渡り廊下で繋がれており、工場というよりはまるで文化財の建築物に囲まれているかのような錯覚を感じさせられるほど、歴史観のある建物で構成されている。

敷地内には会社の歴史博物館があり、会社の技術革新の歴史はもとより、当時の文化や生活を紹介した資料も展示されており、近代史を学ぶにはとてもすばらしい資料館となっている。ちなみに大戦中は俳優の岸田今日子さんもここで働いていたことがある。

会社の創立は1938年、東京蒲田の地であったが、その後、創設者の故郷である飯田市の地域の発展のために当地に工場を建設し本社を移した。航空機や船舶の計器類の製造から始まり、現在は高精度センサー、モーター、ジャイロと技術を進歩拡大させ、その高度な技術力は天体望遠鏡や宇宙ステーションにまで使われるようになってきている。特に近年注目のハイブリッドカーの実現には、当社の専門技術が非常に重要な役割を果たしている。

開発力と技術力を重視し、かつグローバルなセンスを常に磨くことで、地域に根ざした国際的企業“グローカル企業”を目指している。2005年には「ものづくり日本大賞・経済産業大臣賞」を受賞するなど、その技術力の高さは広く認められている。

平成20年時点において、従業員数は650名、売上規模は360億円、事業所が8拠点、研究所が4拠点、関連会社12社、営業所は全国各地にあり、中国を始めとして海外にも拠点を展開している。主な取引先は、JAXAや防衛省、大手自動車メーカー、電気メーカーとなっている。

歴史観のある建物

岸田今日子さんも働いていた

2. 障害者雇用の現状

（1）障害者雇用数

当社の障害者雇用は、昭和56年から始まっており、現在は10名の障害者が、他の社員と一緒に作業をしている。元々地域に根ざし、地域に貢献するのが当社の基本的考え方であり、障害者雇用も企業としての社会的責任を果たすための一貫として、推進してきている。

（2）業務内容

・ 身体（肢体と内部）障害のある人は、本社工場にて、パソコンを使ったオフィス業務である総務や知財関係の仕事に従事している。

・ 知的障害のある社員は、市街地に近い製造現場で製品の組立作業に就いている。

・ いずれも他の社員と一緒に同じ環境で働いている。

パソコンを使った総務の作業

工場での部品の組立作業

3. 取り組みの内容

（1）採用について

・ 採用は、ハローワーク（公共職業安定所）による求人を基本としている。

・ ハローワークや養護学校、就労支援機関と連携し実習や職場体験なども積極的に受入れている。

・ ハローワークの企業説明会などにも参加し、就労意欲のある方の雇用促進に力を入れている。

・ 本社工場は、階段や坂が多いため、車いすではない身体障害者が条件となる。

・ 他の工場や関連会社については、障害の状況に合わせての配置となる。
採用に至った事例としては、「職場体験に参加し、自分はこの仕事に向いていると思い、入社を希望した」「以前勤めていた会社が倒産し離職中の時に、会社説明会に参加し、障害者雇用に力を入れている会社と知り入社を希望した」、などがある。

（2）人材育成について

・ 就労にあたっての教育は、一般の社員と同等の教育を受け、不足分を個別のOJTにて行っている。

・ 職場定着に当たっては、ジョブコーチ等の支援機関による支援も活用している。

・ 指導員の教育は、外部の研修会や勉強会、交流会などにも参加させ指導のスキルアップを図っている。

（3）イベントへの参加

社内旅行や会社のスポーツイベント、忘新年会などにも参加し、毎年行われる飯田市の「飯田りんごん」お祭りにも会社として参加し、一緒に楽しんでいる。

（4）コミュニケーション活動

コミュニケーションには特に気を配っており、知的障害のある社員を中心に、必ず毎月一人ずつと個別面談を実施している。私生活を含めた悩み相談に応じたり、励ましたりして、個別指導の機会としている。

普段は無口な人も、初めはコミュニケーションが難しかったが顔を見て話すうちにだんだんと打解けてきて、話ができるようになり、今では毎月必ずやるようになった。

話の中で、実はある人が、太鼓が得意だったことが分かって話が弾んだり、また通勤途中で危ない経験をしたことが分かり指導したりと、毎日仕事をしているだけでは判らない心の変動なども理解することができるようになった。今後もコミュニケーション活動には力を入れ、充実させていく。

4. 今後に向けて

昨今の不況の影響で計画が遅れてしまってはいるが、当面の目標である特例子会社設立の実現に向けて、設立準備室を設け活動を展開している。今までは比較的軽度の身体障害者が中心だったが、今後はもっと他の障害者にも活躍をしてもらいたいと考え、平成16年から知的障害者にも頑張ってもらっている。

今後、当社のグループ全体を通して、障害者にあった業務開拓や、安心して働ける環境作り、指導者の育成などを進め、一層の雇用促進を図り、地域に根ざした企業として、その役割を果たしていきたい。