事業所名

株式会社ティー・エス・ケー

所在地

京都府京都市

事業内容

総合ビルメンテナンス業及びアミューズメント業

従業員数

107名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	2	清掃作業、人事事務
内部障害
知的障害	3	清掃作業、経理事務
精神障害	1	清掃作業

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組み内容
3. 取り組みの効果
4. 今後の課題と展望

事業所外観

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）概要

当社は、1987年にビルメンテナンスをメイン事業として創業した。主に施設内外の清掃や設備の保守・修理に携わり、病院施設清掃のプロフェッショナル認定制度である「医療関連サービスマーク」を取得した後、病院をはじめ老人保健施設・旅館・学校など、今では京都市内を中心に約70ヵ所の拠点で事業を展開している。

2000年には、激動する社会情勢に柔軟に対応し、合わせて事業の多角化を目指して「アメニティ事業部」を創設し、現在、京阪神地域を中心に飲食店、レンタル店、リサイクル店など20店舗で営業している。

メンテナンス受託先の施設を利用される方や店舗に来店されるお客様を合わせると、1日約3万人の生活者に多様なサービスを提供しており、「総合生活サービス企業」を標榜し、進化を続けている。

（2）障害者雇用の経緯

サービス業、特に清掃サービスは「きつい」「汚い」「危険」、いわゆる3K業種のイメージがつきまとい、日常的に人手不足という状態が続いていた。

2005年、新たにマンションの退室清掃業務を受注した際、当時の担当マネージャーより「慢性的人員不足の解消」「拡大を遂げている企業において社会的責任を果たす」などの観点から障害者雇用に関する発案があったこと、また、同時期に市内総合支援学校より就業前実習受入れの要請を受けたことを契機として前向きに推進する方針を決めた。

2. 取り組み内容

当初は障害者の就労に関する予備知識、ノウハウが皆無であり、実習の成果が芳しくなかったにも関わらず「人と接しない仕事だから」と安易に採用を決定、その後、会社側は健常者と同レベルでの業務遂行を期待して配属をしたものの、本人が対応しきれず、保護者との間にも意思疎通を欠いたために十分な信頼関係を築けず、1年間の契約満了時に退職という結果に止まった。

その翌年、別の支援学校より来春卒業予定であるH君の実習について受入れ要請があり、会社として前年と同じ轍を踏まないように反省し、入念な対応を図った結果、

①  専門機関との連携による障害者雇用の入念な情報収集、ノウハウの構築

②  会社の人事理念を、仕事ありきで枠にはめる「適材・適所」から個々人の適性に応じた仕事を割り振り、最大限の能力を引き出し、人と仕事のマッチングを工夫する「適人・適職」に転換

を基盤に、採用担当者とトレーニング担当者が綿密な情報交換を行い、業務日報や定期ミーティングなどの日常的なコミュニケーションの充実を図り、一人ひとりのやる気の高揚や業務スキルの向上に取り組んだ。

トイレ清掃作業の様子

廊下清掃作業の様子

3. 取り組みの効果

H君も清掃業務に従事するのは初めての経験だったが、この綿密なフォローと本人の前向きな努力の積み重ねにより、卒業までの実習期間の中で健常者と同程度の業務レベルに到達し、晴れて正規採用となった。その後はミーティング時に職場状況・メンバーの声を積極的に伝達するなど責任感の強化もあって順調にキャリアを重ね、2008年には京都府知事による青年優良勤労者奨励賞を受賞するまでに成長した。

このような中で、拠点の担当者により温度差が激しかった障害者雇用について、急速に理解が深まり、ニーズが高まった。その後は、合同面接会などにも積極的に参画し、関係各機関からの実習受入れを促進したことにより、着実に採用者が増えた。上記の取り組みを進めてきた結果として、2005年以前は1％未満であった障害者雇用率が2009年6月報告時5.14％（その他にも短時間労働者あり）に達している。

4. 今後の課題と展望

今後は採用のみにとどまらず定着促進に主眼を置くため、2008年に障害者職業生活相談員を中心とした「障害者雇用・定着推進チーム」を設置した。

採用⇒教育⇒定着のサイクルを段階別に検証・改善を重ね、「育成担当スタッフ」と適宜コミュニケーションをとり、勤務するスタッフ一人ひとりが能力を最大限に発揮し、目標を持って活き活きと仕事ができる環境づくりを目指している。

また、「欠員の充足」に加え「社会的責任」という使命を果たすため、構築したノウハウを社内だけで活用するのではなく、雇用側として関係各機関へのフィードバックを行い、より良い実習体制の実現や、契約先への事例紹介や各機関担当者への橋渡しなどによって、地域社会に障害者雇用⇒定着の輪を広げるべく、さらなる活動展開を図りたい。