障害者一人一人にとって、明るく働きがいのある職場づくりをめざす
- 事業所名
- 株式会社広島銀行
- 所在地
- 広島県広島市
- 事業内容
- 銀行業
- 従業員数
- 3,417名
- うち障害者数
- 58名
-
障害 人数 従事業務 視覚障害 2 聴覚障害 16 肢体不自由 24 内部障害 13 知的障害 1 精神障害 2 - 目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の状況
(1)概要

・ 広島銀行グループでは、「地域社会との強い信頼関係で結ばれた、頼りがいのある<ひろぎん>グループを構築する」という経営ビジョン、および5つの基本理念に基づく健全経営に徹するとともに、地域のトップバンクという誇りを持ち、<ひろぎん>グループとして、お客さまをはじめとする地域社会の皆さまから真にご信頼いただけるよう努めております。
〔経営ビジョン〕
地域社会との強い信頼関係で結ばれた、頼りがいのある<ひろぎんグループ>を構築する。
〔基本理念〕
1.地域社会への密着と貢献を強力に推進します。
2.お客さまを大切にします。
3.企業価値の持続的な向上に努めます。
4.高いコンプライアンス意識をグループ全体に浸透させます。
5.明るく働きがいのある企業をつくります。
〔中期計画<STEPS> スローガン〕
「日本一お客さまを大切にする、中四国No.1のハイクオリティ・バンク」を目指します。
(2)障害者雇用の状況
・ 当行におけるこれまでの障害者の雇用状況は次の通りである。
広島銀行の障害者雇用率の推移 | |||||
---|---|---|---|---|---|
H16 | H17 | H18 | H19 | H20 | H21 |
1.81% | 1.91% | 1.88% | 1.81% | 1.91% | 1.86% |
2. ワークサポートセンターの開設について
(1)開設の経緯
・ 上記の通り、当行では従来から障害者雇用の促進に努めており、国が定める法定雇用率はクリアし続けてきているが、これまでの当行の障害者雇用のほとんどは庶務的業務であったことから、平成19年3月、CSR(企業の社会的責任)の一環として、ノーマライゼーションの考え方に沿って、障害者が健常者とともに事務の仕事が出来る新しい職場をつくることについて検討を開始することとなった。
・ 平成19年12月、設立に向けた専担者を人事総務部へ配置のうえ、関連部とともに準備チームを設立した。
<専担者を人事総務部へ配置した理由>
・ 障害者の採用・教育(含む研修)・健康管理(含む診療所)等を一元的に人事総務部が担うことで、障害者の人事管理を的確に行なえるため。
・ 名刺の印刷等 印刷出版業務は、人事総務部総務課がそもそも所管し、関連会社に委託しているものであったため。
・ 創業130周年を迎えた平成20年3月、障害者雇用および企業の社会的責任(CSR)への取組みを強化することを目的として、本店 建物3F(約43坪)へ、手形小切手帳の印刷・製本ならびに名刺印刷を主業務とするワークサポートセンターを新設することが決定された。
・ これと並行して、障害者スタッフの採用、実習を含む事前研修、わかり易い作業マニュアルの作成、並びに他企業における先行事例の視察等の事前準備を行い、平成20年6月2日(月)よりワークサポートセンターは業務を開始した。なお、導入する備品や機器等については、車いすでの使用に配慮したことは勿論のこと、障害者に操作上の危険が無いよう、出来るだけ操作も簡単なものを選定するように努めた。また、車いす向けのトイレ・エレベーター・スライドドア・スロープなどバリアフリーの設備改修費用については、雇用開発協会を通じて助成金を申請した。
(2)人員構成(平成21年9月現在)
・ 健常者は3名。内訳は、管理職・責任者(障害者職業生活相談員資格保有)・担当者が各1名。なおワークサポートセンターの当初スタート時点では、責任者と担当者は、障害者雇用に意義と熱意を持っている者を配置する為、行内公募のポストチャレンジにより募集した。
・ 障害者は8名。内訳は、身体障害6名(うち車いす2名・聴覚障害2名)、知的障害1名、精神障害(発達障害)1名。なおワークサポートセンターの当初スタート時点からの7名については、ここまで勤務もほぼ定着化しており、更にスタートの4ヵ月後に1名を増員済みである。障害者の採用は、基本的にはハローワーク(公共職業安定所)を通じて行なっており、採用面接時の着眼点は次の通りである。
①協調性 ②意欲 ③コミュニケ-ション能力 ④継続性(一人で通勤し、元気に働き続けられるか)
(3)開設後の状況
・ 当行ではこれまでも身体障害者を中心に障害者雇用を促進してきているが、車いすや、知的障害者・精神障害者等については雇用の経験がほとんど無かったため、行政や福祉関係機関の主催する各種研修会への参加等によるノウハウ習得はもとより、障害者職業センターよりジョブコーチ、並びにハローワークより手話通訳者の度重なる派遣支援等を頂き、対応した。
・ ワークサポートセンターのスタート直後は、色々と異なった障害内容を持つ障害者の集まりという事で、とにかくコミュニケ-ションをお互いにどううまくとれるようにして行くか、という事に苦心した。特に 障害者相互間のコミュニケ-ションは、お互いの年齢・社会経験等の違いに加え、自分と異なる障害に対する理解不足・認識不足が原因で、なかなかスムーズに行かなかったように思われる。このため、お互いの障害内容についての勉強会の開催や、各自の趣味や特技等を記入した「自己紹介カード」の作成・交換や、懇親レクリエーションの実施等により、お互いの理解を深めてもらうことに注力した。同時に、少し落ち着いてからは、聴覚障害者に講師になってもらい、全員で、ほぼ毎日夕方 手話の勉強会を開催し、行員は手話検定試験にもチャレンジして資格を取得する等により コミュニケ-ション強化に努めた。また、障害者個々人が抱えていた不安や不満、要望事項等については、都度話し合いや繰り返し個別面接を実施する等して解決に努めた。なおこれらの対応に当たっては、「障害者の人達の人生を考えて」という思いを原点にして取り組んだ。
・ また、日常業務の分担にあたっては、個々の障害内容を勘案して判断するとともに、基本的に 同様の障害を持つ者同士をペアにして、お互いに相談しながら助け合って作業が出来るようにしたり、体調不良による障害者の急な休暇等にも備えられるようにした。同時に、障害が原因で同じ作業ミスが繰返されるような場合には、補助治具(じぐ)を考案したり、注意メッセージ入りの現物コピーを機械に貼付する等の工夫を行なったりして対応した。
3. 課題並びに取り組みの効果について
(1)課題について
・ ワークサポートセンターは、当初手形小切手帳の印刷・製本並びに名刺印刷を主な業務としてスタートしたが、障害者が勤務に慣れるのが想定以上にスムーズで、また仕事振りも丁寧で且つ早い為、その後、行内郵便物発送作業やパソコン入力作業等を追加しているが、今後とも障害者スタッフに適した仕事(質と量)を常時確保していくことが大きな課題である。
・ また、銀行という職場柄、挨拶やマナーの改善向上や、コンプライアンスについての内容理解・徹底等、当行従事者としての自覚を促すための意識・行動面の更なるフォローが課題である。
(2)取り組みの効果について
・ ワークサポートセンターでいろいろな障害者と一緒に仕事をしていく中で、それぞれの障害に対する理解を少しずつ深める事が出来たとともに、障害者に対するコミュニケ-ションの取り方や、対応の仕方等についてもわずかずつではあるが学ぶ事が出来た事が、取り組みの効果のひとつに挙げられる。同時に、障害者の中には高い集中力や持続力といった能力を持ち合わせている人もおり、「出来るだけいろんな仕事を自分の力でやってみたい」と考えている場合は、その意欲を尊重するようにして行く事が大切だと思われる。最初からあまり、この作業は難しいだろう、と勝手に決め付けたり、気を回し過ぎないで、実際に作業をやってもらった上で、どうしても難しい所を一緒に考えていくようにして行く方が良いのではないか、と思われる。
・ また、併せて障害者の就労支援に係る関係諸機関(雇用開発協会、障害者職業センター、ハローワーク(公共職業安定所)他)との連携を深めることが出来た事も、効果のひとつに挙げられる。今後とも、困った時にはいつでも相談しアドバイスを頂ける関係を維持して行くとともに、連携先の拡大や情報交換強化に努めていく方針である。
・ 更に、銀行内郵便物発送作業やパソコン入力作業など、これまで本店各部署がそれぞれで行なっていた非効率業務の一部をワークサポートセンターが引き受けることにより、本店各部の業務の効率化や生産性向上にも少しずつ貢献出来つつある。
・ ワークサポートセンター内の職務分担についても、各人のより一層のスキルアップを図る為、業務スタートから6ヵ月経過した時点で、少しずつ担当替えを実施した。加えて、最近では一部のルーティングな業務については、作業の受付から担当者の割り振りまで障害者の人達自身で行なって行くようにし、モチベーションの向上を図っている。
4. 施設と機器、用具等の整備について




5. 今後の方針等について
(1)今後の取り組みについて ~ 運営体制の一層の強化
・ ワークサポートセンターの業務開始以降も、平成20年9月に1名が広島県商工労働部(局)主催の「障害者ジョブサポーター養成研修」を修了、及び平成20年11月に更に1名が障害者職業生活相談員の資格を取得した。今後更に相談員やジョブサポーターを増やし、運営体制の一層の強化を図っていく予定である。
(2)ワークサポートセンターの<職場運営方針>は次の通り。
①明るく働きやすい職場づくりをめざす。このため、挨拶の徹底および職場環境の整備を推進していく。
②コミュニケ-ションの強化と、各人の能力向上に向けた指導・育成を推進する。
その為には、当行従事者としての自覚を促すための意識・行動面のフォローを実施していく。及び、健康面・生活面を含めた きめ細かなサポートを実施していく。並びに、個別の障害内容に応じたスキル開発を検討していく。
③わかりやすい説明による勉強会実施により、コンプライアンスの徹底を図り、意識の向上を図る。
④障害者一人一人が日々やりがいを持って勤務出来るような、明るい職場づくりをめざす。
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