事業所名

糸島農業協同組合

所在地

福岡県前原市

事業内容

農業協同組合

従業員数

526名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	7	ホームページ作成、広報事務、自動車事故処理、LPガス事務、カントリーエレベーターオペレーター、ガソリンスタンド関係事務、ガソリンスタンド業務
内部障害
知的障害
精神障害

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組みの具体的な内容
3. 取り組みの効果
4. 今後の課題

事業所外観

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）概要

JA糸島は、昭和37年11月に、糸島郡内14農協・2連合会が合併し発足した。現在は、組合員数12,373名の組織に発展している。事業としては、農家が生産した農畜産物の委託を受けての販売や、農業生産に必要な肥料、農薬、資材、農機具等の販売など、組合員に対する営農改善のための生産・販売指導・資材供給、資金調達の援助等を行うとともに、組合員の生活向上のための物資の供給や、貯金・共済・文化活動・財産保険等の幅広い事業を実施している。

経営理念は「生命産業である農業の振興を図り、豊かな地域社会の実現に貢献する」である。あらゆる面において地域に貢献することにより、豊かな地域社会を建設するという、協同組合としての崇高な理念を持っている。

（2）障害者雇用の経緯

経営理念とも通じるが、初代組合長が障害者福祉に関心が高く、かつては、糸島地区障害者福祉協会の事務局を担当していたこともあり、日ごろから障害者福祉を考える環境にあったと言える。

また、福岡西公共職業安定所（ハローワーク福岡西）管内にある事業所の中では、特に従業員が多く、地域へ貢献するという意味で、法定雇用率を守る体制を確立していきたいと考えていた。このようなことが障害者雇用への取り組みのきっかけとなり、平成10年、合同面談会で、3名の障害者を採用することになった。

3名の職員のうち1名は総合企画課で広報担当として、広報誌の企画や取材をしている。1名は人事課を経て、現在はLPガス販売事業で、パソコンによる検針票の取り込み等の仕事に従事している。もう1名は共済事業で事故係を担当している。

このように3名が職場で定着していく中で、平成16年には職場からの提案で、車いすを必要とする障害者を採用することになった。職場からの提案とは、必要な環境改善を行い、障害のある人も働けるようにしてはどうかというものであった。そうした提案を受け入れ、ガソリンスタンドセルフ化に伴う改修工事に合わせて、設備を改善し、車いす利用者も含めて、3名の障害者を雇用した。

2. 取り組みの具体的な内容

（1）障害者の状況に配慮した取り組み

車いす利用者に対応する環境整備が必要となり、設備を改善した。職場となるガソリンスタンドで、職場へ向かう通路をスロープ化し、休憩室や事務所入口の自動ドア、車いす用トイレを設置した。設備の設置・改修には助成金制度を活用した。

しかし、職場内の他の施設には、エレベーターがないなど、車いす利用者には不便もある。会議などで他の施設を利用する場合は、職員が介助を行うなど、職員の助け合いでカバーしている。

障害のある職員の担当業務は、専門的な仕事が多い。ホームページ制作、交通事故対応など、専門的な知識を必要とする仕事で力を発揮している。現在、車いすの職員はガソリンスタンドで仕事をしている。車いすに対応するように改修工事がおこなわれ、また、遠隔監視用の設備を導入したコントロールブース内において安全面の管理や事務の仕事を担当し、職員は、その役割と責任をしっかり果たしている。

ガソリンスタンド関係事務

LPガス事務

（2）コミュニケーションの対応

JA糸島では、障害者の定着率が高い。最初に雇用した3名は、働き始めて10年が経過した。専門的な仕事に従事し、レベルアップをし、職場ではなくてはならない専門職として活躍している人が多い。

コミュニケーションを取るために特別なことをしているわけではないが、日常の仕事の中で、上司や同僚の気配りが自然とできている。体力的に無理な仕事は他の職員がカバーするなど、助け合って仕事をしている。

職場は明るく、障害のあるなしにかかわらず、職員間のコミュニケーションが取れている。職員旅行では、障害のある職員も参加できるように様々なことに細やかに配慮するなど、助け合う姿がみられる。

3. 取り組みの効果

障害者雇用で、これまで特に問題が起きたことや、苦情があったことはない。障害のある職員が、一生懸命働く姿は、他の職員の模範ともなっている。それぞれが責任ある仕事を果たし、事業に貢献している。

仕事以外にも、注目すべきことがあった。1人の職員が、タイで開催された2007年世界障害者バトミントン大会において、金メダルを受賞した。熱心に練習を積みかさね、金メダル受賞という快挙を成し遂げた。これは職員の模範となるべきことで、職場内の善行功労表彰を受けた。本人の努力もすばらしいが、その背景には、この職員を応援し支えた上司・同僚たちの理解や配慮もあったと思う。

4. 今後の課題

JA糸島では基本的には5年ごとに配置転換がある。もちろん障害がある場合は、一律に配置転換できないが、かといって、異動がないということではない。障害者であっても、健常者であってもかわりがない。障害があるからこの仕事しかできないという狭い考え方ではなく、いろいろなことに可能性を求めてチャレンジしてほしいと考えている。本人の希望を聞き、必要であれば、違った部署で希望をかなえることもできる体制を取っている。

今後も、障害のあるなしにかかわらず、すべての職員がステップアップして成長し、それぞれの能力を最大に活かしてほしいと考えている。

また当初からの方針どおり、障害者の雇用によって、引き続き地域社会に貢献していきたいと考えている。