事業所名

社会福祉法人緑樹会 特別養護老人ホーム緑樹苑

所在地

沖縄県沖縄市

事業内容

社会福祉事業、介護保険事業、公益事業、沖縄市委託事業、障害福祉サービス事業

従業員数

180名

うち障害者数

4名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由
内部障害
知的障害
精神障害	4	看護補助（1）、清掃（3）

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 障害者の従事業務
4. 取り組みの内容
5. 取り組みの効果

事業所外観

1. 事業所の概要

昭和54年3月社会福祉法人緑樹会創立、昭和54年7月軽費老人ホーム緑樹苑開所、昭和59年5月特別養護老人ホーム緑樹苑開所、以後順次時代と地域のニーズに応えて事業は必然的に増え現在に至っている。

特に介護保険法施行後は、在宅支援事業が増えた。

当法人は、利用者の意向を最大限に尊重し、福祉サービスが総合的に提供されるよう創意工夫することにより、利用者の尊厳を保持しつつ地域社会において自立した生活を営むことができるよう支援することを目的とする。

経営の基本方針としては、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を、確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上、並びに事業経営の透明性の確保を図り、もって地域福祉の推進に努めることとし、次の社会福祉事業、介護保険事業、公益事業等に取り組んでいる。

また、障害者も社会の一員であり、社会福祉事業を営む法人としてノーマライゼーションの精神に基づき、障害者雇用を試みたところである。

2. 障害者雇用の経緯

当法人の軽費老人ホーム緑樹苑（以下「経費緑樹苑」という）は、自立した高齢者向けの入所施設である。

この施設を医療法人卯の会新垣病院を退院する高齢者が入所施設として利用している関係で新垣病院とはいろいろと関わりがあった。

当法人が障害者雇用率アップをどのように進めるか検討中のところ、タイミングよく医療法人卯の会就労支援事業所あらた舎のジョブコーチ金納氏から障害者雇用を勧められ、早速に公共職業安定所(ハローワーク)に障害者の求人を申込み、紹介を受け平成20年4月に精神障害者1人をトライアル雇用し、特別養護老人ホーム緑樹苑（以下「特養緑樹苑」という）に清掃員として配置した。

その後、平成20年8月に軽費緑樹苑の清掃担当者が1人退職することになり、その後任に、再度職安から紹介を受け、今度はステップアップ雇用奨励金の活用により1人雇用し、特養緑樹会の清掃員として配置した。

平成21年4月、前出の2人の実績が良かったことから、再々度公共職業安定所から紹介を受け、今度はトライアル雇用により1人、ステップアップ雇用により1人を雇用し、特養緑樹苑の清掃員として配置した。現在は精神障害者4人が働いている。

3. 障害者の従事業務

障害者の従事する業務は、看護補助と清掃業務であり、具体的には次のとおりである。

①平成20年4月に雇用したAさんは、平成20年4月から平成20年7月までは 特養緑樹苑にて、清掃業務に従事、月21日・1日4時間の勤務体制だった。
平成20年8月に当施設の看護師1人が退職することとなり、准看護師の有資格者であるAさんに看護補助業務を打診してみたところ、本人は、元々看護業務はやりたい仕事であり、その手伝いができるならと喜んで引き受けてくれた。8月 からは、看護補助業務に配置替えとなり、利用者さんのバイタルチェック、薬の管理、経管の後片付け等に従事している。本来やりたかった看護業務の一員となり生き生きと働いている。
本人もやりたい仕事ができて満足と話している。

看護助手の業務を行うAさん（手前）

②平成20年8月に雇用したBさんは、軽費緑樹苑の清掃業務に従事していたが、特養緑樹苑の方から清掃員の増員要望がありBさんにお願いしてみたところ、快く引き受けてくれて、現在はひと月のうち軽費緑樹苑の方は15日の1日4時間の就業形態でトイレ、浴室、ロッカー等の清掃担当である。一方特養緑樹苑の方では、6日の1日4時間30分勤務し、各居室の清掃、整理等の担当をしている。
Bさんは、仕事ができる日々は充実しているとのこと。

③平成21年4月に雇用した、CさんとDさんは、特養緑樹苑に勤務し、手摺り消毒、居室・廊下、トイレ、浴室等の清掃、清掃後の点検、漏れがあれば再清掃の一連の流れを担当。月20日・1日4時間勤務である。なお、Cさんは本人からの申出があり、9月からは1日4時間30分に延長となった。

特に手摺り消毒は利用者さんが掴まえる所であり、業務開始時と終了時の1日2回の消毒をしている。
Cさんは、指定された業務以外でも気付いた箇所は積極的に申出、清掃しているため本当に助かっている。
Cさんは、仕事をまかせてくれるので楽しく仕事ができるとのこと。
Dさんは、体力的には疲れるが集中しているのでストレスは溜まらない。
2人ともこの職場は好きだと言っている。

居室清掃を行うCさん

廊下清掃を行うDさん

4. 取り組みの内容

障害者の雇用率アップを目的に、職安に障害者雇用の求人を申し込み、トライアル雇用やステップアップ雇用の制度を活用して雇用を促進した。

トライアル雇用終了後、短時間ではあるが雇用が継続したので、特定求職者雇用開発助成金や精神障害者ステップアップ雇用奨励金のほか、社団法人沖縄雇用開発協会の業務遂行援助者の配置助成金を活用することとなった。

精神障害者雇用は初めてのことであり、彼等とどのように接し、受け入れすればよいかとても不安があった。そこで、就労支援事業所あらた舎にお願いし、精神障害者との接し方、受け入れ体制等の指導を受けスタートしたので、当初の不安は払拭され違和感なく受け入れすることができ、スムーズに業務の推進ができたと思う。又、彼等も就労支援事業所あらた舎のジョブコーチ支援を受けながら就労が継続している。

この度の障害者雇用に当たっては、行政や就労支援事業所等の連携がタイミングよくうまく噛み合って実現できたものと思料する。

5. 取り組みの効果

結論から先に言うと、とても良かった。職員が目の届かない所まで清掃しているため、本当に助かっている。

当初は、清掃担当者が指導しながら進めていたが、慣れない環境と清掃業務に戸惑いがあり不安だったと思う。（清掃漏れがあった。）

そこで、順を追ってゆっくり指導を続けながら業務に取り組ませていくうちに理解し納得。今では習慣化してトラブルもなく彼らの自主性に任せても大丈夫である。

まじめに日々の業務を坦々とこなす姿は学ぶところがある。真直ぐな気持ち、素直さ、彼等と出会えて本当に良かった。利用者さんとも同じ目線で対応し、コミュニケーションをとっている。

今後の課題としては、4人がとても良いので、諸々の条件が叶うならもっと増員してもらいたいと現場職員の声がある。専門性のある業務は専門職が、付随業務は別の職員がそれぞれ分けて従事することで、より効率的で質の高いサービスの提供につながる。また、障害者も健常者も同じ社会の一員として、心豊かに生きていけるように支援していきたいものである。