事業所名

秋田ふるさと農業協同組合（JA秋田ふるさと）

所在地

秋田県横手市

事業内容

農協法に基づくJAの各事業（信用・共済・指導・販売・購買・利用・福祉）

従業員数

583名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	4	駐車場管理、施設管理（清掃） 営農指導、配達業務
内部障害	1	貯金窓口業務、
知的障害	2	青果物集出荷業務、農産物加工業務
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・背景
3. 取り組み内容・効果
4. 今後の展望と課題

ホームページアドレス

http://www.jafurusato.net/

1. 事業所の概要

平成10年4月に1市5町3村の9つのJAが合併して誕生し、平成17年10月から市町村合併により旧郡部が1市となり、「JA秋田ふるさと」管内のほとんどが横手市となった。当地域は、秋田県内でも有数の農業生産地であり、秋田県の代表的農産物である「あきたこまち」等のお米の他に、アスパラ・スイカ・枝豆を始めとした野菜類、りんご・ぶどう・桃等の果物類、そしてきのこ類や花卉類など、各農産物で高い評価を得ているほか、県内で一番の生産量を誇る農産物も多く、量・品質ともに県内を代表する産地と自負している。

このような“元気のある農業・元気のある生産者”とともに、地域が明るくなるような事業展開を進めるため、「人が好き！大地が好き！緑が好き！」をキャッチフレーズに、農業振興はもちろん、それぞれの分野で組合員・利用者の満足を追求し、地域社会に貢献することを目指し日夜努力している。

2. 障害者雇用の経緯・背景

合併前から障害を持つ職員が在籍していたほか、採用後に障害を持つこととなった職員等もおり、それまではなんとか法定雇用率をクリアしていたが、新規事業（福祉事業）への参入で職員数が増えたことにより雇用率が低下した。

一方、部門の事業縮小や大量定年退職時代に備えた各業務の効率化への転換という、少数で事務を効率的に行う職場環境に変革してきたこともあり、なかなか障害者に対して新規に働く場の提供が出来ぬまま経過してきた。さらに、各事業所は、老朽化した建物でバリアフリーとなっていない施設が多く、障害者の働きやすい環境になっていない。

そのような中、熱心なハローワーク（公共職業安定所）担当者のアドバイスや、常勤役員の「地域貢献への更なる取組強化の方針」もあり、人事面では、障害者雇用を前向きに考慮することでその一役を担うという考えの下、知的障害者の雇用を検討してきた。

3. 取り組み内容・効果

近年は、知的障害者雇用を前提に、養護学校並びに各種団体との交流の場の設定や、養護学校の職場実習受入などにより対応の方法を学んだほか、養護学校の教諭に各事業所の作業内容を視察してもらい、就業可能な作業を検討した。

また、トライアル雇用制度を活用し、試行的に短期間雇用に取り組んだ。実際に作業した上で、適性や能力により就業可能な職種を見出したほか、通勤面なども考慮しながら就業事業所を決定した。

この取り組みで一番重要と感じた点は、各職場で受け入れる職員へのレクチャーと、日々の接し方等のアドバイスである。特に、職場適応援助者による支援制度活用の中で、ジョブコーチから適切なアドバイスを受けたことにより、受け入れる職場の職員がスムーズに対応できた点が一番重要だったと思う。

加えて、就労を支える家族と作業内容等の連絡を密にし、ハローワークの担当者との相談で課題を1つずつ解決しながら取り組んできた。実際に雇用した職場で対応する職員の苦労は多少あったものの、利用者・生産者組合員など、周りから知的障害者雇用についての理解を得られたことが、本人への配慮が的確に出来た要因であったと考えている。

障害を持った同僚が働いているという意識をせず、作業上のどこがハンディキャップなのかを職場のみんなが理解することで、職員が指導力・対応力を身につけて、的確な作業指示を行うことにより、本人も日々楽しそうに勤務している。

（1）知的障害者Aさんの職場と業務配置

Aさんは、リンゴジュース加工所に勤務し、機械等危険業務以外は、他の職員と同様の作業を行っている。作業内容は、一般箱詰め以外にある個別オーダー（個別詰め合わせやキャンペーン用等）に対応する箱詰め。1箱ずつ内容数量が異なるが、この作業を一手に担当している。また、現在フォークリフト作業免許にも挑戦している。

リンゴジュース加工所での就業の様子

（2）知的障害者Bさんの職場と業務配置

Bさんは、青果物集出荷施設に勤務。生産者が搬入した青果物を品目・規格別に荷受けを行い、集計後、指示された出荷先行き（主に関東市場）のトラックへの積み込み作業を行っている。その他生産者向けの通知発送（封入作業）や、調査・アンケート類の整理等、事務的な作業も行っている。

青果物出荷施設での就業の様子

4. 今後の展望と課題

年々、少数精鋭的人員配置による事業運営を行ってきているが、その中でもハンディキャップを持つ方の社会参加の機会を多くすることが、小さいながらも社会貢献の一環と考えている。組合員・利用者目線での事業展開という点も合わせて、障害者雇用を今まで以上に進めたいと検討している。

現在は、法定雇用率ギリギリでの取り組みであるが、今後は、全職員に障害者、特に知的障害者への認識をより一層深めてもらうとともに、一部で立ち後れているバリアフリー化についても、利用者目線で再度検証し、多くの職場で障害者が安心して働けるよう検討して行きたい。

「地域が明るく、豊かなくらしになるための1つがJA事業の存在意義である。」という考えの下、今後も関係機関との連携を密にし、障害者が毎日生きがいを持って働ける、充実した職場作りを目指したい。