2009年度作成

事業所名

生活協同組合共立社

所在地

山形県鶴岡市

事業内容

組合員活動と消費生活物資等の供給活動

従業員数

817名

うち障害者数

18名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害	1	店舗（農産物カット、包装、陳列等）
肢体不自由	11	事務、共同購入配達、店舗（陳列等）
内部障害	2	事務
知的障害	3	店舗（農産物カット、包装、陳列等）、物流
精神障害	1	共同購入、物流

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組みの内容
3. 取り組みの特徴
4. 今後の展望と課題

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

生活協同組合共立社は1955年に山形県鶴岡市で誕生した。活動内容は組合員活動と消費生活物資等の供給活動であり、具体的には店舗販売、共同購入、共済、福祉介護、環境問題への取り組み等を行っている。

1968年に組合員の紹介で、初めて身体障害者と知的障害者を採用した。1988年に本部の建物を新築する際には障害者雇用を推進するためにバリアフリー化（エレベーター、駐車場など）に配慮した。

1976年の身体障害者の雇用義務化に伴い法定雇用率の遵守に努め、調整金を受給していたが、事業拡大に伴って常勤者が増えたことにより法定雇用率を下回り、納付金を支払っていた。経済状況が悪化するなかで、納付金が経営にも影響することが社内で問題になり、法定雇用率を達成するために身体障害者を中心に障害者雇用を積極的に努めた。一方で、社員の中で加齢に伴い身体障害者手帳を取得する者も出てきた。2008年に法定雇用率を達成し、その後も雇用率は伸びている。現在は新規に採用するのは知的障害者、精神障害者が中心である。身体障害者については、在職中の従業員が中途障害によって手帳を取得することで、障害者雇用の対象者となっている。

2. 取り組みの内容

(1)募集・採用

障害者に限定した求人票は出していないが、ハローワーク(公共職業安定所)や障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、高等養護学校などからの紹介を受けて採用している。事業所からこれらの関係機関に障害者の紹介を依頼することもある。

2009年9月現在、雇用障害者数は、身体障害者が14名、知的障害者が3名、精神障害者が1名で、実雇用率は2.6％となっている。障害程度は重度障害者が5名、それ以外が14名である。

山形県立鶴岡高等養護学校や社会福祉法人山形県コロニー協会からの実習生も受け入れている。

(2)障害者の業務・職場配置

身体障害者は本部での事務作業に就いている者が多い。知的障害者、精神障害者の配置・業務は、店舗（バックヤードの袋詰めやメンテナンス、店舗での商品陳列など）、水産加工センター（魚の切り身や刺身つくりなど）、共同購入物流センター（発泡スチロールの減溶作業）である。勤務時間は4時間ぐらいの短時間勤務の人もいるが、多くは8時間程度となっている。障害者の配属については、あらかじめ所属長（部署の責任者）と打ち合わせをし、総務部だけでなくハローワーク、職業センター、ジョブコーチ等の支援があることを説明し、受け入れる現場の不安を取り除くようにしている。

(3)採用からフォローアップまで

①面接

採用にあたってはまず親を交えての面接を実施する。この面接で不採用ということは基本的にはなく、採用を前提として、本人・家族と事業所の間でさまざまな事項についての確認をするという意味合いが強い。例えば、働くにあたって家族の協力がどのくらい得られるのか、本人の生協という職場への興味はどの程度があるのかなどである。本人の能力などについて紹介機関から情報を得ることが多いが、場合によってはこの面接でも確認することとしている。

面接の時点ですでに、その人を配属する店舗、仕事内容は決定しているため、面接時には配属予定部署の所属長、実際に一緒に仕事をし、その人の面倒をみてくれる担当者も同席する。担当者は通常パート労働者の女性であるが、これは「お母さん」的な存在となってもらうことを期待しての工夫である。

②採用決定後の学習会

採用が確定した後、雇用1ヶ月前に「学習会」が開かれる。内容は採用が決まった本人の紹介で、どのような障害があり、どのような対応が必要か等の具体的な説明と質問である。「学習会」の参加者は、本人、店長、所属長、担当者、担当者以外の同僚、紹介機関（学校、ハローワーク、ジョブコーチなど）などである。本人が参加しない場合もある。

③採用後の労働条件等についての面談

学習会の後、本人と賃金、労働時間、仕事内容の説明などについての面談を行う。労働時間については本人の希望を優先するようにしている。

④制度の活用

ジョブコーチ制度、各種助成金、トライアル雇用なども活用している。何か問題が発生した場合にはその都度、ハローワークや職業センター、学校、ジョブコーチなどに相談し協力を得ている。

⑤フォローアップ

採用1週間後に、本人・ジョブコーチとの打ち合わせをし、様子を聞く。その後、1ヵ月後、3ヵ月後、1年後にも本人はもちろんのこと、ハローワークや職業センター、ジョブコーチ、学校、家庭を含めて面談を行う。フォローアップはその他必要に応じて行っている。

本人が働き始めると、ついつい現場任せになってしまうことが多いが、細かいことに配慮が必要なことも多く、現場にとって負担になっていることも多い。この点で総務部が現場に気配りすることも重要であり、そのためにフォローアップを活用している。

3. 取り組みの特徴

共立社の障害者雇用の取り組みの特徴は、総務部の役割にある。

日常的な支援は本人が働いている職場の担当者や配属先の所属長が担っているが、総務部は“支援している側”を支援する役割を果たしている。何か問題があった時も総務部が対応している。例えば、現在、仕事を休みがちの人がいる。その人は能力も高く「一人前」として期待されているのだが、突然休んだりすることがあり、一度休むと続けて休む傾向もあり、現場も困っている。総務部では、例えばその人が週末の休み（本人の希望で土・日が休日となっている）に入る前、毎週金曜日の退勤時に15分ほど面談をしている。内容はその週の振り返りや励まし、そして「来週の月曜日もきちんと来るように」というようなものである。職業人としての自覚を促すように励ましている。このような対応は現場にとってはかなり負担となるため、総務部が行っている。

共立社は積極的に関係機関（ハローワークや障害者就業・生活支援センター、学校、ジョブコーチ）の協力を取り入れていることも特徴である。

4. 今後の展望と課題

障害者雇用については、受け入れ体制の整備をしてから取り組むということも大切であるが、共立社では、まず雇ってみるという姿勢で取り組んできた。生協の「地域の消費者に根ざした活動を目指す」という方針のなかで、障害者雇用に取り組むことは必要であると考えているからである。生協ということで、地域から障害者の雇用を頼まれることも少なくない。地域と密着している企業というイメージがあるからであろう。

しかし今後は、障害者雇用についての事業所の方針、マニュアル作成、担当者への対応などを全社的に整備していくことが重要だと考えている。現在は日常的な支援は「現場任せ」「担当者任せ」になっている点も多く、障害者本人への配慮も担当者への配慮・フォローもなかなかできていないところもある。障害者にとって担当者の存在は大きいようで、担当者が休むと不安になる障害者もいる。担当者はどちらかというと仕事上の指導が中心で、仕事や生活の相談にのっている人はそんなに多くはない。事業所としては担当者にはよりきめ細かな支援をしてほしいと考えているが、そのためには担当者へのフォローが必要になってくる。

また、障害者の受け入れ先として頼みやすい店舗、部署に配置しがちであるが、今後は各店舗に1人ずつの配置を行うことで、障害者の雇用をさらに進めたいと考えている。そのためにも、障害者雇用についてのマニュアル作成は必要である。

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