事業所名

「認定こども園オリーブの木」学校法人栄光学園  栄光保育園

所在地

福島県須賀川市

事業内容

乳幼児保育（0，1，2歳）

従業員数

28名

うち障害者数

1名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由
内部障害
知的障害	1	園内の清掃
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・工夫
3. まとめ、これからの課題

事業所の外観

1. 事業所の概要

「栄光保育園」は、学校法人栄光学園を母体とし平成17年4月に認可保育園として開設された。栄光学園には「認定こども園オリーブの木栄光幼稚園・栄光保育園」、「認定こども園ぶどうの木鏡石栄光幼稚園・鏡石栄光保育園」、「認定こども園ポプラの木聖和幼稚園・聖和保育園」（平成22年開設）の3つの「認定こども園」と、「愛星幼稚園」の1つの幼稚園がある。いずれも日本キリスト教団須賀川教会の付属事業として開園された。（栄光幼稚園は昭和24年に開園）

保育方針は、キリスト教精神を基盤として「一人ひとりを大切にする保育」「子どもの主体性を大切にする保育」「栄光幼稚園との協力による一貫保育」である。

さらに、全ての子育て家庭を対象に、子育ての不安に対応した相談活動や、園開放の場を設けて子育て支援を行っている。

障害者の雇用は栄光幼稚園・栄光保育園・鏡石栄光保育園でされており、平成22年度より聖和保育園にも雇用の予定である。

2. 障害者雇用の経緯・工夫

（1）経緯

栄光幼稚園には、16年間雇用を継続している障害者がおり、保育園で障害者を雇用するに当たっても大きな不安はなかった。

（2）採用時・採用後の工夫

（イ） 採用のときの適性判断材料：子ども園での就労には、たえず子どもの中にいる職場であることから、なによりも子どもが好きであること。

（ロ） 採用に向けて：雇用前2週間の体験実習とトライアル雇用3ケ月を経て正式採用、業務内容の決定や職場定着を図るために当初よりジョブコーチが支援を行った。

（ハ） 仕事の手順：仕事の手順は絵カード（写真参照）を使用して仕事の内容を明確に印象付け、一日の活動として固定化し、内容の活動後はシールを貼り（写真参照）、なるべく早く評価する方法を取り入れている。他に「おしごとカード」（写真参照）、「仕事かくにん表」（写真参照）など使用。この方法は視覚支援・視覚優位と言われていて、詳しくは、TEACCHプログラム（Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped children）。

（ニ） 家族との連携：連絡帳の活用、園から家族へ分かりやすく具体的な内容を伝えるための事務連絡用として活用している。

（ホ） 職員の配備：障害者によっては、だれとでもうまくコミュニケーションが取りにくい場合があるので、責任者として配置箇所のリーダーが対応にあたっている。

（へ） 福利厚生・健康管理：全職員と同一の処遇が配慮されている。

（ト） 職場配慮：勤務時間は、午前8時15分から午後3時15分までとし、バスの時間と連携している。

（チ） 職員間の連携：月一回の定期的なケース会議（参加者—職員・ジョブコーチ・本人）を開き、この時に本人の業務内容の確認を中心に行い、その中で改善を要する箇所がある場合には其の事を説明し練習を交えながら指導を行っている。

（リ） 障害者を生かすには（ある専門家の総合的アドバイス）：本人の長所・短所をよく把握（アセスメント）すること、長所を生かすプログラムを配慮する、出来るだけ視覚を活かし、動画より静止画を使う（視覚支援:視覚優位）。言葉の説明は少なく、やさしく・簡単に指導する。その仕事がはかどりだし、さらにもう一つの仕事をさせる場合は、混乱することのないよう細心の注意を払う。

園内の様子

絵カード

シールを貼った絵カード

おしごとカード

仕事かくにん表

3. まとめ、これからの課題

（1）まとめ

「認定こども園オリーブの木」では、その先駆的役割を果たしながら、核家族の脆弱化に対応する新しい子育て支援サービスの効能を実証し、さらに、障害者の就労支援にも一役貢献していること等が高く評価される。

ことに障害者の受け入れには、上記の参考となる数々の視点を提供している。家族との連携、障害者のアセスメントが良くなされ、身体的状況・精神的状況・社会的状況等をよく理解したうえで仕事の内容を組み立て、働きやすい環境整備に力を入れ、継続性を図っている。また、ジョブコーチとの連携を通して、就労者の能力開発・実践との関連づけを図っている。

（2）これからの課題

高齢化の傾向が早いとされる問題点への準備も必要である。一般に、障害者は50歳あたりから加齢による病状を併発する可能性が高い。従って、障害のない人以上に加齢に伴う体力の低下防止・体力維持等の健康管理やQOLの向上が今後の課題となる。ジョブコーチのアドバイスを受けながら本人・家族・雇用者の4者の話し合いが定期的に行われ、効率的な無理のない職場環境の設定を図る必要がある。

採用者の年齢構成にも注意する必要がある。個人差もあることだが、年齢が進むにつれてどのような問題（仕事の量と内容・可能なレベル・仕事の量の増やし方）が発生するのか、時系列で検討し、障害者の就労の可能性の範囲・期間・年齢等との相関関係を科学的実証するデータとして残すことは、意義のあることと考える。